外貨預金の利益に確定申告は必要?外貨預金でかかる税金から申告不要なケースまで解説

外貨預金の利益に確定申告は必要?外貨預金でかかる税金から申告不要なケースまで解説

「外貨預金で利益が出たら税金はどうなるの?」「確定申告って必要なの?」と気になっていませんか?

外貨預金をはじめたけど、税金の仕組みがよくわからないとおもっている投資初心者の方が多いようです。

そこで本記事では、外貨預金の税金の基礎について初心者の方向けにまとめました。

確定申告が必要なケースと不要なケース、必要書類についてもお伝えしていきます。

記事を読み終えるころには、外貨預金の税金について正しく理解し、安心して預金に取り組めるでしょう。

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目次

外貨預金とは

外貨預金とは、日本円を外国の通貨に換えて預ける預金のことです。

為替の変動や金利の差を活用して、資産を増やす金融商品として注目されています。

外貨預金は、円預金よりも高い金利による利息を期待できるのが魅力です。

日本は長期間にわたって低金利政策が続いているため、円預金では満足のいく利息収入を得るのが困難な状況だといえます。

ですが、外貨預金では外国の高い金利が適用されるため、円預金をするよりも多くの利息が得られる可能性が大きいです。

さらに、円安が進んだときには為替差益が得られるチャンスもあります。

たとえば、1米ドル=100円のときに1万ドルを預けて1米ドル=150円になったときに円に換金すれば、50万円の為替差益を得られます。

つまり外貨預金は、利息収入と為替差益の2つの利益を期待できる資産運用方法です。

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外貨預金の2種類の利益にかかる税金

外貨預金で得られる利益は、利息と為替差益の2種類です。

それぞれに対して適用される税金のルールは異なっているため、外貨預金をはじめたら理解しておく必要があります。
それぞれ詳しく解説していきます。

利息にかかる税金

外貨預金の利息には「利子所得」として、20.315%の税金がかかります。

利子所得の税率の内訳は、以下のとおりです。

  • 所得税(国税):15%
  • 住民税(地方税):5%
  • 復興特別所得税:0.315%

たとえば、外貨預金で年間10万円の利息を受け取った場合は20,315円が税金として差し引かれ、実際に受け取れるのは約79,685円になります。

為替差益にかかる税金

外貨預金で為替差益が出ると、「雑所得」として税金がかかります。

雑所得は、お給料などほかの収入と合わせて計算される「総合課税」の対象です。

年収が多い人ほど高い税率が適用される累進課税となっており、所得税が5%〜45%で住民税は原則として一律10%で課税されます。

つまり、為替差益で得た利益が大きいほど、より多くの税金を支払わなければなりません。

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外貨預金の利益は確定申告が必要?

外貨預金で得た利益に対する確定申告の要否は、利息と為替差益で異なります。

利息は基本的に申告不要ですが、為替差益は原則として申告が必要になる場合が多いです。

それぞれ解説していきます。

外貨預金の利息は原則として不要

外貨預金の利息については、原則として確定申告は不要です。

なぜなら、利息が発生した際に金融機関があらかじめ税金を差し引いて支払う「源泉分離課税」方式が採用されているからです。

そのため、利息から自動的に20.315%の税金が差し引かれるので、別途申告する必要はありません。

注意点として、海外の金融機関で外貨預金をした場合の利息は日本での源泉徴収が行われないため、確定申告が必要になる場合があります。

外貨預金の為替差益は原則として必要

外貨預金の為替差益が発生した場合、原則として確定申告が必要になります。

為替差益は雑所得として扱われ、給与所得などほかの所得と合算する総合課税の対象となるためです。

雑所得は源泉徴収されないため、自分で所得を計算して申告しなければなりません。

ただし、一定の条件を満たせば、確定申告が不要になるケースもあります。

以下の章では、確定申告が不要なケースについて解説していきます。

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外貨預金の為替差益の確定申告が不要なケース

原則として確定申告が必要な為替差益ですが、以下の条件を満たせば申告が不要になります。

  • 給与所得者でほかの所得が20万円以下の場合
  • 年金受給者で年金収入が400万円以下かつほかの所得が20万円以下の場合
  • 年間の所得が48万円以下の場合

給与所得者や年金受給者、所得が少ない方には特例が用意されているので、該当するかどうか確認してみましょう。

給与所得者でほかの所得が20万円以下の場合

給与所得者が外貨預金で得た為替差益を含め、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。

外貨預金の為替差益は通常「雑所得」として確定申告が必要です。

ですが、給与所得者の場合は給与以外の所得が20万円以下であれば特例により申告義務が免除されます。

たとえば、為替差益が17万円、副業の雑所得が2万円なら合計19万円となり、20万円以下なので申告不要です。

注意点として所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要な場合があります。

そのため、住民税の申告については住んでいる地域の自治体に確認するようにしましょう。

年金受給者で年金収入が400万円以下かつほかの所得が20万円以下の場合

年金受給者にも、確定申告が不要になる特例があります。

年金収入が400万円以下で、為替差益を含む年金以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告は不要です。

たとえば、年金収入が年間350万円で、外貨預金の為替差益など年金以外の所得が合計15万円の場合、確定申告は不要となります。

ただし、確定申告が不要な場合でも医療費控除や生命保険料控除など追加の控除を受けたい場合は、住民税の申告が必要なケースがあります。

住民税の申告要否については、お住まいの自治体に確認してみてください。

年間の所得が48万円以下の場合

所得税には「基礎控除(48万円)」があり、給与収入や年金収入を除いたその他の所得(たとえば為替差益のみ)が年間48万円以下であれば、確定申告は不要となる場合があります。

たとえば、年間の所得が為替差益を含めて47万円だった場合の所得税は以下のようになります。

47万円 – 48万円= -1万円

上記の場合は、マイナスのため所得税は0円となります。

ただし、給与所得や年金収入がある場合は、給与や年金以外からもたらされた所得の合計が年間20万円を超えると確定申告の必要があります。

また、住民税を申告しなければならない場合があるので、住民税については住んでいる地域の自治体に確認してみてください。

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外貨預金の確定申告でよくある質問

本章では、外貨預金の確定申告の際に、多く寄せられる質問に応えていきます。

外貨預金の確定申告について、よく寄せられる質問は以下のとおりです。

  • 確定申告での必要書類は?
  • 外貨預金の確定申告をする際の注意点は?
  • 税務署に確認すべきケース

それぞれ解説していきます。

確定申告での必要書類は?

確定申告を行う際には、複数の書類を準備する必要があります。

主要な必要書類は、以下のとおりです。

基本書類

  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードまたは通知カード+運転免許証等)

所得関連書類

  • 源泉徴収票
  • 青色申告決算書または収支内訳書
  • 支払調書など

控除関連書類

  • 医療費控除の領収書
  • 明細書生命保険料控除証明書
  • 寄附金受領証明書
  • 住宅ローン控除の登記事項証明書など

その他

  • 還付金受取用の銀行口座がわかる書類(通帳のコピーなど)

申告内容や個人の状況によって必要書類が追加される場合があるため、自分の控除や収入の種類に応じて、該当する書類を事前に確認して準備するようにしましょう。

外貨預金の確定申告をする際の注意点は?

外貨預金で為替差益が発生し確定申告が必要な場合に申告をしないと、ペナルティが課されます。

必要な確定申告を怠ると課されるペナルティは、以下のとおりです。

無申告加算税:本来の税額に対して原則15%、50万円を超える部分は20%が上乗せ
延滞税:納付が遅れた期間に応じて最大年14.6%が課される

たとえば、本来10万円の税金を支払うべきだった場合、無申告加算税として15,000円が追加され、さらに延滞税も加算されます。

外貨預金で為替差益が出たら、確定申告の必要性を必ず確認し期限内に申告することが大切です。

なお、確定申告は、1月1日から12月31日までの所得について、翌年の2月16日から3月15日までの期間に行わなければいけません。

上記の期限内に確定申告して、ペナルティを受けないようにしましょう。

税務署に確認すべきケース

外貨預金の確定申告では、税務署に確認した方がいいケースがいくつかあります。

たとえば、年間取引が複数回ある場合が挙げられます。

1年間に何度も取引を行うと、取引記録の管理や計算が複雑になるため、事前に計算方法や必要書類について税務署に確認しておくことが重要です。

ほかにも海外銀行口座を利用している場合は、国内の外貨預金とは税金の取扱いが異なる可能性があります。

特に外国税額控除の適用可否や、現地で源泉徴収された税金の処理方法について、申告前に税務署で手続きの確認をしておくとよいでしょう。

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まとめ

今回は外貨預金の確定申告について、投資初心者の方でも理解しやすいように詳しく解説してきました。

外貨預金には利息と為替差益の2つの利益があり、それぞれ税金の扱いが異なることがポイントです。

利息は源泉分離課税で自動的に税金が差し引かれるため基本的に確定申告は不要ですが、為替差益は雑所得として原則確定申告が必要になります。

ただし、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下の場合など、確定申告が不要になるケースもあります。

外貨預金は確定申告の要否に様々なケースがあるので、税金の仕組みをしっかり理解して適切な申告を行うようにしましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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