チャートに大陽線が出ると、つい強いサインと受け取りがちです。
ただ、形だけで判断すると誤読が起きやすいのも事実です。
本記事では、大陽線の基本定義と代表パターン、読み方の手順(価格位置・出来高・節目・イベント)を整理します。
テクニカル分析をするうえでも大陽線との正しい向き合い方を知っておきましょう。
大陽線とは何か

大陽線とは、始値<終値の陽線のうち実体が直近平均より明確に長い足を指します。
一般的には、直近の平均的な値動きと比べて実体が明確に長い場合に大陽線と見なされます。
大陽線が出現したときは、買いを検討するタイミングでもあります。
そんな大陽線からは、2つの意味が読み取れます。
- 買いの意欲が高まっている
- 株価上昇の可能性アリ
チャートに時折出現する大陽線を、どうとらえればいいのか見てきましょう。
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買いの意欲が高まっている
大陽線が出たら、「買いの意欲が高まっている」という意味が読み取れます。
なぜなら、買い手側のほうがかなり多い場合に大陽線が出るからです。
そもそも、陽線は株価が上昇して終了したことを表しています。
買い手が多ければ多いほど株価は上昇しますから、売るよりも買う勢いのほうが強かったということですね。
その上昇幅が大きくなると大陽線になるわけですから、それだけ買い手の勢いがあるということになります。
買いの意欲がとても高いことが、大陽線でわかるのです。
株価上昇の可能性アリ
大陽線の出現は、株価上昇の可能性があることも示しています。
買いの意欲が高まっているということは、投資家たちは「今後価値は上がっていくだろう」と期待しているのです。
それだけ多くの投資家たちが強気に出ているわけですから、株価上昇の可能性は高いといえます。
大陽線の中でも特徴的なパターン3つ

大陽線の中でも、特徴的なパターンが3つあります。
それぞれ異なる内容が読み取れますから、しっかり区別しておけるようにしましょう。
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丸坊主

丸坊主は、大陽線がただの四角で、線が上からも下からも出ていない状態のものです。
用語を使えば、上ヒゲも下ヒゲもない状態です。
この場合、始値を下回ることもなく、常に買いの勢いが強かったということを示します。
大陽線の中でももっとも強気のサインともいえ、株価が急上昇する際に出現することが多いです。
実際の例として、ヤマシナ(5955)のチャートを見てみましょう。

2024年5月25日に丸坊主の大陽線が出現、その後株価が上昇しています。
大引け坊主

大引け坊主は、下ヒゲだけある大陽線です。
始値より一時は下げたものの、最終的には大きく上昇しているパターンが多いです。
通常の大陽線同様、今後株価が上昇することが期待できます。
株価が大きく下落しているときに出現すると、下落から上昇に反転するきっかけになるケースもあります。
サイオス(3744)の例を見てみましょう。

株価が動いていなかったところで陽線の大引け坊主が出現、その後株価が上昇しています。
寄付き坊主

寄付き坊主は、上ヒゲだけがある大陽線です。
強気のサインではあるものの、高値圏で出現した場合には下落する可能性もあるので要注意。
サイオス(3744)の実例を見てみましょう。

大陽線の寄付き坊主が出ていますが、株価は下がっています。
より広い範囲でチャートを見てみましょう。

矢印の位置が先ほどの寄付き坊主の位置です。
高値圏の位置で出現していることがわかります。
このように高値圏で出現する場合は、上昇から一転、下落していくきっかけとなる場合があるため注意しましょう。
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買い時といえる大陽線
実際のトレードに活かすためにも、買い時といえる大陽線がどんなものか覚えましょう。
買い時といえる大陽線のパターンは3種類。
それぞれ詳しく解説していきます。
小さな値動きが続いているところから出現
株価が停滞しているとき、つまり小さな値動きが続いているときに大陽線が出現したら要チェック。
株価上昇の可能性が高いため買い時だといえます。
ワシントンホテル(4691)の例を見てみましょう。

株価が横ばいになっていたところで、突如大陽線が出現、その後株価が上昇していることがわかります。
直前に下ヒゲ陰線が連続して出現している
大陽線が出現する直前に下ヒゲ陰線が連続して出ていれば要注目です。
下ヒゲが長いほど、それだけ株価が下がってから持ち直したということでもあります。
買いの勢いもある程度あることが読み取れ、そこからの大陽線なので、売りから買いへと勢いが切り替わった可能性が高いのです。
そうなれば株価は上がっていくわけです。
中央自動車工業(8117)の例を見てみましょう。

下ヒゲの陰線が連続して出現しているところで、大陽線が出て株価が上昇していっています。
大陽線出現翌日、その半値を下回らない
大陽線が出現した翌日、その半値を下回らない場合も買い時といえます。
それだけ買いの意欲が強いことを示している状態であり、株価上昇の可能性が高いからです。
日産自動車(7201)の例を見てみます。

大陽線が出た翌日、その半値よりも上の状態で陽線が出ています。
その後株価は上昇していますね。
では半値を下回った場合はどうでしょうか。
同じく日産自動車(7201)を例に見てみましょう。

株価が下落していっていることがわかりますね。
大陽線の半値を下回った場合は、買い時とは言えないのです。
注意したい大陽線の特徴
注意すべき大陽線の特徴も押さえておきましょう。
大陽線だからと飛びついてみたのものの、結局株価が下がっていってしまい注意することもあります。
株価が上がるとは限らない大陽線について解説していきます。
長い上ヒゲである
長い上ヒゲができている大陽線には注意してください。
上ヒゲが長いということは、その日の高値と終値にそれだけの差があるということです。
例えば100円でスタートして、その日に500円まで上がったが結局300円で一日が終了した場合で考えてみましょう。
400円分上げるほどの買いの勢いはあったものの、200円下げるという売りの抵抗もかなりあったことがわかります。
そのため、大陽線だったとしてもその後売りの勢いが強まり株価は下がってしまう可能性があるのです。
楽天グループ(4755)の例を見てみましょう。

上ヒゲが長い大陽線の後に、株価が下がっていっています。
買い時だと思っても、大陽線の上ヒゲが長い時は、一度立ち止まって買うべきかどうか検討するようにしましょう。
翌日かぶさるように陰線が出現
大陽線が出た翌日、かぶさるように陰線が出現したときは要注意。
買いではなく売りの勢いのほうが強くなっているため、株価が下がってしまう可能性があります。
実際にツムラ(4540)を例に見てみましょう。

大陽線は出ているものの、翌日かぶさるように陰線が出現、その後株価が下がっていることがわかります。
大陽線が出たとしても、必ずしも株価が上昇するわけではないことは、肝に銘じておきましょう。
大陽線だけで判断しないことが大切
大陽線だけで、株価の動きを判断しないことが大切です。
他にも株価の動きを予測するための指標・理論はたくさんあります。
さまざま組み合わせて、自分なりに勝てる法則を見つけて再現していくようにしましょう。
大陽線は、あくまでも要素の一つにすぎません。
株で利益を出していくためにも、日々勉強して鍛錬するようにしましょう。
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大陽線が出た後の読み方の手順(チェックリスト)
下記は大陽線が出た後に「文脈をそろえて読む」ための最小チェックリストです。
可視化すると、感覚によるブレを抑えやすくなります。
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上位足の整合(上位足=一つ上の時間軸):週足・日足の方向と矛盾していませんか。移動平均の傾きも確認。
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価格の位置:直近高安・主要MA(移動平均線)・レンジ上限/下限・ラウンドナンバーのどこで出現しましたか。
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出来高の平常比(日足なら5日/25日平均比、分足なら直近N本平均比):平常時より明確に増えていますか。
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支持・抵抗:価格帯別出来高の厚い帯や水平線にぶつかっていませんか。乖離は適正ですか。
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イベント:決算・業績修正・権利取り/落ち・重要開示・マクロ指標などの前後ではありませんか。
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翌日の確認(事後評価):大陽線の実体半値を保てたか、窓(ギャップ)を維持しているか。
この6点を同じ順序で記録し、月次で振り返ると、再現性のある判断基準になりやすいです。
よくある疑問(Q&A)
Q1. 大陽線=必ず上昇の合図?
A. 断定はできません。
位置・出来高・節目・イベントの状況により、その後の推移は変わります。
Q2. 上ヒゲが長い大陽線は弱い?
A. 利確や戻り売りの影響が出た可能性はありますが、下位足での押し目形成や出来高の裏づけによって解釈が分かれます。
Q3. 大陽線翌日は続伸しやすい?
A. 窓や半値の維持、上位足との整合が取れているか次第です。
ギャップやイベント通過で反転することもあります。
まとめ
大陽線は、その日の強い値上がりを示す“勢いのスナップショット”です。
ただし、形だけで結論を出さず、上位足・価格位置・出来高・支持抵抗・イベントの順に確認することで解釈が安定します。
チェックリストを使って記録・振り返りを重ねれば、再現性のある読み方に近づけます。
基礎を押さえた上で、自分に合う投資判断を重ねていくことが大切です。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







