米国株投資を検討していると必ず目にする「VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)」ですが、インターネット上では「VYMはおすすめしない」という否定的な意見も散見されます。
高い配当を求めて投資を始めたのに、思ったより資産が増えなかったり、効率が悪いと言われたりするのは不安ですよね。
実は、VYMを「おすすめしない」とする意見の多くは、投資目的と商品の特性がミスマッチを起こしていることに起因しています。
VYMは爆発的な株価上昇を狙うものではなく、約500社への広範な分散と、着実な増配を積み重ねる「守りの資産」としての側面が強いからです。
本記事では、投資ジャンルに精通したライターが、VYMのデメリットとされるポイントを客観的なデータで検証します。
VYMとは?基本概要と特徴
VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)は、米国の高配当株で構成されたETFです。
大型で安定した企業を中心に約500銘柄を組み入れており、配当収入を重視する投資家から長く支持されています。
主な特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運用会社 | バンガード |
| 経費率 | 0.06% |
| 主な構成銘柄 | JPモルガン、ブロードコム、エクソンモービル、P&Gなど |
| 配当利回り(2026年3月時点) | 約2.4% |
| 組入銘柄数 | 約500銘柄 |
VYMは、リスクを抑えつつ安定した配当を狙えるETFとして知られていますが、必ずしもすべての投資家に適しているとは限りません。
【結論】配当目的で長期保有するならVYMはおすすめ
結論から言えば、配当目的で長期保有するならVYMはおすすめです。
VYMは高配当かつ、長期であれば売却益も期待できるからです。
運用コストも低いですし、少額から投資できるのも嬉しいポイント。
とはいえ、さらに高配当であるSPYDという米国ETFもありますから、配当面だけでいえば正直微妙なところではあります。
SPYDと比べれば組み入れ銘柄数は多いため、分散効果高めなところがVYMの強み。
リスクを抑えつつ、利益もそこそこ狙いたい方には特におすすめです。
一方で、短期で大きな利益を狙いたい方には、VYMはおすすめできません。
VYMはおすすめしないといわれる理由
VYMがおすすめしないといわれる理由をまとめました。
メリットだけでなく、デメリットにもきちんと目を向けておきましょう。
利回りが思ったほど高くない
VYMの配当利回りは2.38%前後で、確かに高配当ではありますが、他のETFと比べると突出しているわけではありません。
実際に他の米国ETFと利回りを比較してみましょう。
| VYM | 2.38% |
|---|---|
| VOO | 1.15% |
| SPYD | 4.41% |
| VTI | 1.12% |
| QQQ | 0.45% |
| SPY | 1.07% |
※2024年6月18日時点
決して悪くない利回りではあるものの、VYMよりも高配当のETFもあることがわかります。
確かに利回りがもっともすぐれているETFとはいえませんね。
成熟企業が多く、株価上昇が期待できない
成熟企業が多く、株価上昇が期待できない点も、VYMをおすすめしないといわれる理由の一つです。
VYMの組み入れ銘柄を一部ピックアップしてみました。
- JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー
- ブロードコム
- エクソンモービル
- プロクター・アンド・ギャンブル
- ジョンソン・エンド・ジョンソン
- ウォルマート
大手有名企業で構成されているETFだといえますね。
実際の株価の動きも見てみましょう。

一部コロナショックなどの影響で下がっている場面もありますが、基本的には右肩上がりのチャートだといえます。
まったく期待できないわけではなさそうですね。
「S&P500」のほうが優れている
VYMより「S&P500」のほうが優れているから、おすすめできないといわれています。
「S&P500」は500の米国企業が採用されている株価指数です。
S&P500に連動した投資信託やETFが人気を集めています。
では実際にS&P500に連動して運用されるETF「VOO」とVYMを比較してみましょう。

上図は、約12年間のVOOとVYMのチャートです。
確かに、VOOのほうが途中から上昇率が大きくなっています。
価格だけで比較すれば、VOOのほうが優れているといえそうです。
しかし、2024年6月時点の配当利回りはVOOが1.23%、VYMが2.20%なので、VYMのほうが優れています。
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為替リスクがある
米国ETFであるVYMには、為替リスクが存在します。
日本円でなくドル換算となりますから、円高・円安の影響を受けてしまうのです。
場合によっては、思っているより利益が少ない…なんてことにもあるでしょう。
逆に、思っているより利益が多かったという可能性もあります。
重要なのは、為替リスクのことを踏まえて投資できるかどうかです。
リスクをきちんと理解してから投資するようにしましょう。
米国の税金が発生する
VYMでは、米国の税金が発生します。
米国の税率は10%、それに加えて日本の税率20.315%も発生してしまいます。
合計約30%が税金として受け取れなくなってしまうわけです。
新NISAを活用して、日本の税金だけでも0にしておくのがオススメです。
「VYMはおすすめしない」に対する反論
VYMはおすすめしないという意見に対する反論をまとめました。
VYMは配当目的の長期投資であれば、おすすめできるETFです。
おすすめできる理由を一つずつ解説していきます。
増配の実績が多い
VYMは増配の実績が多いです。

上図は、直近10年間のVYMの配当金推移です。
順調に右肩上がりになっているのがわかりますね。
VYMは増配の実績が多いため、今後の配当金にも期待できるでしょう。
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約500銘柄という圧倒的な分散力による安定性
VYMの最大の特徴は、その構成銘柄数の多さです。
約80銘柄に集中投資するSPYDなどと比較して、VYMは約500もの銘柄に分散投資されています。
| VYM | 約500銘柄 |
|---|---|
| VOO | 約500銘柄 |
| SPYD | 約80銘柄 |
| VTI | 約3,400銘柄 |
| QQQ | 約100銘柄 |
| SPY | 約500銘柄 |
これは米国市場の大型高配当株をほぼ丸ごと保有しているのと同義です。
特定の企業が不祥事を起こしたり、業績悪化で減配を決定したりしても、ポートフォリオ全体に与える影響は極めて小さく抑えられます。
金融ショックや景気後退局面でも、500社が互いの弱点をカバーし合うため、株価の暴落耐性が比較的高いのが魅力です。
投資において「大負けしないこと」を重視する人にとって、この分散力は最強の武器になります。
リスクを低くして投資したい方にはおすすめのETFです。
運用コストは低め
運用コストが低めなのも、VYMの魅力の一つ。
投資信託であれば、「購入時手数料・運用管理費・信託財産留保額」といった手数料がかかります。
しかしVYMなどのETFは、購入時手数料しかかからないため、運用コストが抑えられるのです。
VYMの経費率は0.06%ですから、無駄な出費を抑えて効率よく投資ができますね。
長期であれば売却益も期待できる
VYMは、長期であれば売却益も期待できます。

もし2010年の時点で購入していれば、現在は約3倍の価格になっています。
投資した資産が3倍になるわけですから、大きな利益といえますね。
長期間であれば、利益をコツコツ積み上げていけるのです。
VYM投資で失敗しないための具体的な戦略と注意点
VYMは優れた金融商品ですが、買い方や運用の仕方を間違えると、本来のメリットを享受できなくなります。
特に投資初心者が陥りやすい「落とし穴」を回避するためのポイントを3つにまとめました。
新NISA(成長投資枠)をフル活用して非課税メリットを受ける
VYMへの投資において最大の敵は税金です。
しかし、日本の「新NISA(成長投資枠)」を活用すれば、国内での20.315%の課税をゼロにすることができます。
ただし、注意点があります。
NISA口座を使っても、米国現地での10%課税は回避できません。
また、NISA口座内での運用は外国税額控除の対象外となるため、この10%分はどうしても引かれてしまいます。
それでも、国内課税がなくなるメリットは非常に大きいため、VYMを買うならまずはNISA口座から優先的に埋めていくのが鉄則です。
この仕組みを理解していないと、特定口座で無駄な税金を払い続けることになり、長期的なリターンに大きな差が出てしまいます。
為替相場の変動に一喜一憂せず「ドルコスト平均法」で積み立てる
VYMは米国ドル建ての商品であるため、円高・円安の影響をダイレクトに受けます。購入時に1ドル=150円だったものが、将来1ドル=130円になれば、株価が変わらなくても円建ての資産価値は減少します。
この為替リスクを和らげる最善の方法は、一度に大金を投じるのではなく、毎月一定額をコツコツ買い続ける「ドルコスト平均法」です。
円高の時には多くの口数を買え、円安の時には少なく買うことになるため、長期的に購入単価を平準化できます。
「今は円安だから損だ」とタイミングを計りすぎると、投資のチャンスを逃してしまうため、自動積立設定などを利用して機械的に継続することが成功の鍵です。
最低でも10年以上の投資期間を想定して保有し続ける
VYMは短期売買で利益を出すためのツールではありません。
その真価は、保有期間が長くなればなるほど、増配によって「もらえる配当金」が加速度的に増えていく点にあります。
もし数年以内に使う予定があるお金であれば、VYMではなく現金や債券で持っておくべきです。
株価が一時的に低迷する時期があったとしても、構成銘柄である米国を代表する500社が利益を上げ続ける限り、配当は維持・拡大される可能性が高いです。
目先の株価の上下でパニックにならず、配当金を再投資しながら10年、20年と寄り添う覚悟を持つことが、最終的に大きな果実を得るための絶対条件となります。
よくある質問Q&A
Q1. VYMは今から買っても遅くないですか?
A. 投資に「遅すぎる」ということはありません。
VYMの株価は歴史的に右肩上がりですが、それは構成銘柄である米国企業の成長が続いているからです。
一括投資が不安な場合は、少額からの積立投資から始めることで、高値掴みのリスクを抑えつつスタートできます。
将来の増配を考慮すれば、早く始めた分だけ累積の配当受取額は多くなります。
Q2. 配当金は再投資すべきですか、それとも使ってもいいですか?
A. 資産を最速で増やしたいのであれば、受け取った配当金でさらにVYMを買い増す「再投資」が最も効率的です(複利効果)。
しかし、配当金の魅力は「今使えるお金」が増えることにあります。
モチベーション維持のために半分は再投資し、半分は生活費や趣味に使うといった、自分なりのルールを決めるのも投資を長続きさせるコツです。
Q3. VYMが暴落した時はどうすればいいですか?
A. 結論から言えば「何もしない」か「買い増す」のが正解です。
VYMは約500社に分散されているため、価値がゼロになることは考えにくいです。
過去のコロナショック時なども一時的に下落しましたが、その後は配当を維持しつつ株価も回復しました。
優良な企業の詰め合わせパックを安く買えるチャンスだと捉え、淡々と保有し続ける忍耐力が試される場面です。
まとめ
VYMは「安定した配当」と「低コストの長期運用」を両立できる米国ETFです。
ただし、短期での値上がりを狙う投資家や、高配当だけを重視する人にとっては物足りなく感じるかもしれません。
構成銘柄の多くは成熟企業であり、大きな成長は期待しづらいものの、堅実な配当と分散効果の高さが魅力です。
一方で、為替リスクや二重課税といったデメリットもあるため、リスク許容度に応じた判断が必要です。
結論として、VYMは「リスクを抑えながら安定的に配当を得たい人」に適したETFといえます。
自分の投資目的が「短期利益」か「長期安定」かを明確にし、他のETF(SPYD・VOOなど)とも比較しながら検討するとよいでしょう。

これまで10以上のメディア運営に従事。現在は自身も株塾で学びつつ、毎日コンテンツ作成をし続ける。
あらゆるジャンルで編集者として活動してきた経験を活かし、初心者から上級者まで役立つ記事を作成。






