VYMは本当におすすめしない?実際のデメリットと注目される理由を解説

米国ETFであるVYMはおすすめしないという話を聞いて、本当のところはどうなのか知りたいと思ってはいませんか?

米国の高配当ETFとして人気の高い「VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)」。

一方で、「VYMはおすすめしない」「他のETFのほうが良い」といった意見を目にすることも少なくありません。

果たして、VYMは本当に避けるべきETFなのでしょうか?

本記事では、VYMがおすすめしないといわれる理由を整理しつつ、実際にどんな人に向いている商品なのかをわかりやすく解説します。

メリット・デメリットの両面を理解し、自分に合った投資判断をするための材料として参考にしてください。

SPYDはおすすめしない?おすすめする理由を徹底解説

   
目次

VYMとは?基本概要と特徴

VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)は、米国の高配当株で構成されたETFです。

大型で安定した企業を中心に約500銘柄を組み入れており、配当収入を重視する投資家から長く支持されています。

主な特徴は以下の通りです。

項目 内容
運用会社 バンガード
経費率 0.06%
主な構成銘柄 JPモルガン、ブロードコム、エクソンモービル、P&Gなど
配当利回り(2024年6月時点) 約2.2%
組入銘柄数 約500銘柄

VYMは、リスクを抑えつつ安定した配当を狙えるETFとして知られていますが、必ずしもすべての投資家に適しているとは限りません。

【結論】配当目的で長期保有するならVYMはおすすめ

結論から言えば、配当目的で長期保有するならVYMはおすすめです。

VYMは高配当かつ、長期であれば売却益も期待できるからです。

運用コストも低いですし、少額から投資できるのも嬉しいポイント。

とはいえ、さらに高配当であるSPYDという米国ETFもありますから、配当面だけでいえば正直微妙なところではあります。

SPYDと比べれば組み入れ銘柄数は多いため、分散効果高めなところがVYMの強み。

リスクを抑えつつ、利益もそこそこ狙いたい方には特におすすめです。

一方で、短期で大きな利益を狙いたい方には、VYMはおすすめできません。

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VYMはおすすめしないといわれる理由

VYMがおすすめしないといわれる理由をまとめました。

メリットだけでなく、デメリットにもきちんと目を向けておきましょう。

利回りが思ったほど高くない

VYMの配当利回りは2.38%前後で、確かに高配当ではありますが、他のETFと比べると突出しているわけではありません。

実際に他の米国ETFと利回りを比較してみましょう。

VYM 2.38%
VOO 1.15%
SPYD 4.41%
VTI 1.12%
QQQ 0.45%
SPY 1.07%

※2024年6月18日時点

決して悪くない利回りではあるものの、VYMよりも高配当のETFもあることがわかります。

確かに利回りがもっともすぐれているETFとはいえませんね。

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成熟企業が多く、株価上昇が期待できない

成熟企業が多く、株価上昇が期待できない点も、VYMをおすすめしないといわれる理由の一つです。

VYMの組み入れ銘柄を一部ピックアップしてみました。

  • JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー
  • ブロードコム
  • エクソンモービル
  • プロクター・アンド・ギャンブル
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン
  • ウォルマート

大手有名企業で構成されているETFだといえますね。

実際の株価の動きも見てみましょう。

VYM,チャート

一部コロナショックなどの影響で下がっている場面もありますが、基本的には右肩上がりのチャートだといえます。

まったく期待できないわけではなさそうですね。

「S&P500」のほうが優れている

VYMより「S&P500」のほうが優れているから、おすすめできないといわれています。

「S&P500」は500の米国企業が採用されている株価指数です。

S&P500に連動した投資信託やETFが人気を集めています。

では実際にS&P500に連動して運用されるETF「VOO」とVYMを比較してみましょう。

VYM,VOO,比較

上図は、約12年間のVOOとVYMのチャートです。

確かに、VOOのほうが途中から上昇率が大きくなっています。

価格だけで比較すれば、VOOのほうが優れているといえそうです。

しかし、2024年6月時点の配当利回りはVOOが1.23%、VYMが2.20%なので、VYMのほうが優れています。

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為替リスクがある

米国ETFであるVYMには、為替リスクが存在します。

日本円でなくドル換算となりますから、円高・円安の影響を受けてしまうのです。

場合によっては、思っているより利益が少ない…なんてことにもあるでしょう。

逆に、思っているより利益が多かったという可能性もあります。

重要なのは、為替リスクのことを踏まえて投資できるかどうかです。

リスクをきちんと理解してから投資するようにしましょう。

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米国の税金が発生する

VYMでは、米国の税金が発生します。

米国の税率は10%、それに加えて日本の税率20.315%も発生してしまいます。

合計約30%が税金として受け取れなくなってしまうわけです。

新NISAを活用して、日本の税金だけでも0にしておくのがオススメです。

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「VYMはおすすめしない」に対する反論

VYMはおすすめしないという意見に対する反論をまとめました。

VYMは配当目的の長期投資であれば、おすすめできるETFです。

おすすめできる理由を一つずつ解説していきます。

増配の実績が多い

VYMは増配の実績が多いです。

VYM,配当金

上図は、直近10年間のVYMの配当金推移です。

順調に右肩上がりになっているのがわかりますね。

VYMは増配の実績が多いため、今後の配当金にも期待できるでしょう。

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構成銘柄が多く分散効果は高め

VYMは構成銘柄が多いです。

実際に他の米国ETFと比較してみましょう。

VYM 約500銘柄
VOO 約500銘柄
SPYD 約80銘柄
VTI 約3,400銘柄
QQQ 約100銘柄
SPY 約500銘柄

とびぬけて多いというわけではありませんが、VYM一つに投資するだけで、約500もの銘柄に分散投資できると考えると大きなメリットですね。

リスクを低くして投資したい方にはおすすめのETFです。

運用コストは低め

運用コストが低めなのも、VYMの魅力の一つ。

投資信託であれば、「購入時手数料・運用管理費・信託財産留保額」といった手数料がかかります。

しかしVYMなどのETFは、購入時手数料しかかからないため、運用コストが抑えられるのです。

VYMの経費率は0.06%ですから、無駄な出費を抑えて効率よく投資ができますね。

長期であれば売却益も期待できる

VYMは、長期であれば売却益も期待できます。

VYM,長期投資

もし2010年の時点で購入していれば、現在は約3倍の価格になっています。

投資した資産が3倍になるわけですから、大きな利益といえますね。

長期間であれば、利益をコツコツ積み上げていけるのです。

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短期で利益を狙うならVYMはおすすめしない

短期で利益を狙いたいなら、VYMはおすすめできません。

値動きが激しいわけではないですから、短期であればVYMよりも優れた商品はたくさんあります。

あくまでも、配当目的かつ長期投資の方におすすめです。

短期で利益を積み重ねていきたい方は、ETFだけでなく、個別株やCFDも検討してみましょう。

自分に合った投資スタイルを探してみてくださいね。

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よくある質問Q&A

Q1. VYMとSPYD、どちらが良いの?

A. 配当利回りを重視するならSPYDのほうが高い傾向にあります。

一方、VYMは銘柄数が多く、分散効果が高いためリスクを抑えた運用に適しています。

Q2. VYMは短期売買に向いていますか?

A. VYMは短期で大きな値動きを狙うタイプではありません。

長期的な配当と緩やかな値上がりを重視する人に向いています。

まとめ

VYMは「安定した配当」と「低コストの長期運用」を両立できる米国ETFです。

ただし、短期での値上がりを狙う投資家や、高配当だけを重視する人にとっては物足りなく感じるかもしれません。

構成銘柄の多くは成熟企業であり、大きな成長は期待しづらいものの、堅実な配当と分散効果の高さが魅力です。

一方で、為替リスクや二重課税といったデメリットもあるため、リスク許容度に応じた判断が必要です。

結論として、VYMは「リスクを抑えながら安定的に配当を得たい人」に適したETFといえます。

自分の投資目的が「短期利益」か「長期安定」かを明確にし、他のETF(SPYD・VOOなど)とも比較しながら検討するとよいでしょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

これまで10以上のメディア運営に従事。現在は自身も株塾で学びつつ、毎日コンテンツ作成をし続ける。

あらゆるジャンルで編集者として活動してきた経験を活かし、初心者から上級者まで役立つ記事を作成。

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