「今年の利益率が3%だけど低いのかな」「5%が平均って聞いたけど本当?」——株を始めると、数字が気になって落ち着かない時期があります。
けれど利益率は“1つの数値”ではなく、売買益なのか配当なのか、期間はどれくらいか、税金や手数料を含めるかで意味が変わります。
本記事では、株の利益率をわかりやすく整理し、計算のしかた、目安の考え方、そして自分の利益率を納得感を持って評価するコツまで順番に解説します。
株式投資における利益率とは?
株式投資で得られる利益は「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の大きく分けて2種類があります。
よって、算出することのできる利益率も1つだけではありません。
まずは、株式投資における利益率について、詳しく見ていきましょう。
キャピタルゲインの利益率
1つめは、キャピタルゲインの利益率です。
キャピタルゲインは株式投資のメインともいえる利益で、「売買益」や「譲渡益」とも呼びます。株式を売買したときに得られる利益のことで、たとえば株式を売却するときには、「(売却時の株価×株数)-(購入時の株価×株数)」がキャピタルゲインになります。
株式投資をしている方なら小口投資の場合でも狙いやすく、だれでも得ることができるという特徴があります。
また、売買を繰り返せば繰り返すだけ、1年の間に何回でも利益を得ることが可能です。
キャピタルゲインの利益率は、投資元本の何%の利益が出ているかということなので、「キャピタルゲイン÷投資元本×100」から算出することができます。
インカムゲインの利益率
2つめは、インカムゲインの利益率です。
インカムゲインは企業から受け取ることができる配当金のことで、利益率は「配当利回り」と呼ばれることが多いです。
日本企業が配当金を支払う回数は基本的に年2回なので、インカムゲインを得ることができるのも、1年の間に最大で2回程度となります。
キャピタルゲインとは違って回数が決まっているため、限られた回数のなかで利益率を高めるのは少し難易度が高いかもしれません。
注意点として、企業は業績次第では減配を決定することがあるので、本来得ることができていたはずのインカムゲインを得ることができないというリスクがあります。
また、インカムゲインを得ることができても、購入時より株価が下落していて損失が上回る可能性もあるので(キャピタルロス)、総合的にはマイナスになってしまう可能性もあるのです。
インカムゲインからまとまった利益を得ようと思うと、膨大な投資資金が必要になるかもしれません。
インカムゲインの利益率は、購入した株価の何%の年間配当金を受け取れるかということなので、「1株あたりの年間配当金÷株価×100(単元株)」から算出することができます。
株式投資における利益率、平均値はどれくらい?
では、株式投資では一体どれくらいの利益率を目指して取引をすれば良いのでしょうか?
株式投資では定期預金よりも高い利益率が期待されやすく、キャピタルゲインの平均利益率は年間で5%前後といわれています。
さらに、運用期間が中長期になると、4%~7%前後が目安になります。
一方でインカムゲインの利益率は、2020年7月時点で、プライム市場に上場している有配会社(配当金を支払っている会社)の平均利益率(平均配当利回り)は2.25%です。
ちなみにスタンダード市場上場有配会社の場合は、2.51%とプライム市場よりも高くなっています。
ご自身の利益率を評価するときは、このような平均利回りを参考にするとよいでしょう。
株式投資で利益率を高めるには「テクニカル分析」が有効
せっかく株式投資をするからには、平均よりも高い利益率を目指したいですよね。
株式投資の手法には「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類がありますが、これから利益率を高めようと取り組まれるのであれば、株価の値動きを予測するのに有効なテクニカル分析がおすすめです。
まずファンダメンタルズ分析は、金融やビジネスに関する専門知識が必要になることがあり、1つの企業を分析するだけでもかなりの時間を要します。
また、株式投資をしている方すべてがファンダメンタルズの要素を考慮して投資判断をしているわけではなく、また一つの要因を取ってもトレーダーによってとらえ方が異なることもあります。
例えば、好決算の場合は比較的株価が上がりやすいと考えられますが、材料出尽くしとなって株価下落に繋がると考える人もいるかもしれません。
また、全ての要因を把握した上で分析をするのは、個人投資家にとっては不可能に近いことと言えるでしょう。
そのようななかずっとファンダメンタルズ分析で立ち向かっていても、時間がかかるわりになかなか予想が当たらないといった事態に追い込まれてしまうかもしれません。
一方でテクニカル分析は、ファンダメンタルズ分析のように企業の業績やビジネスモデルなどの要素をもとに割安感・割高感を判断するのではなく、「株価チャート」にだけ集中して過去の値動きをもとに上昇トレンド・下落トレンドや株価変動のパターンを判断する方法です。
人間の感情を織り込んだ過去の値動きが株価チャートを見ることにより把握できるため、株価チャートを読み解く技術を身に付けることができれば、その後の株価の動きを予想することができるようになります。
株価チャートの見方については株価チャートはどうやって見ればいい?テクニカル分析の基本とはの記事をご覧になってみてください。
また、テクニカル分析にはテクニカル指標と呼ばれる分析するための道具が必要ですが、証券会社が提供しているトレーディングツールなどでも株価チャート上に簡単に表示させることができるので、株式投資初心者の方でも比較的取り組みやすくなっています。
1度分析方法の習得さえすれば、すべての銘柄に応用し続けることが可能です。
ただし、銘柄を選定する上では注意しておくべき点もあります。
当サイトの監修者である株歴38年以上のプロトレーダー「相場師朗(あいばしろう)」先生曰く、株トレードをする際に気を付けておくべきポイントは3つあるようです。
初心者におすすめの株の買い方とは?プロも活用する3つの基本ポイントを押さえようの中で詳しく解説しているので、ご覧になってみてください。
とくにキャピタルゲインは、回数に上限なく売買を繰り返して狙うことができるので、トレーダーの感情をその都度読み解くことができるテクニカル分析を行えば、短期集中型でコツコツ利益を出して利益率を高めることも可能になります。
継続して利益を狙い続けるためには練習を積み重ねることが大事なので、地道に練習を繰り返していけば利益を上げられるようになっていくでしょう。
株式投資で利益率を高める考え方
「利益率を上げたい」と思うと、つい“当たる方法”や“優れた分析”に意識が向きます。
でも実際は、利益率は一つのテクニックだけで決まらず、勝率・損益比・資金管理など複数の要素の掛け算で形になります。
とくに初心者のうちは、勝率を上げるよりも、損失を抑えたり、判断をルール化するほうが数字が安定しやすい場面もあります。
利益率を押し上げる3要素
結論は、利益率は「勝率」だけでなく「期待値」で考えると改善点が見えやすいです。
理由は、勝率が高くても1回の負けが大きければ利益が残りにくく、逆に勝率が高くなくても損小利大ならトータルが整うことがあるからです。
補足として、期待値は「勝率×平均利益 − 負け率×平均損失」でイメージできます。
具体例として、勝率60%でも平均利益が1、平均損失が2だと、勝っても負けが重く、トータルが伸びにくく感じます。
一方、勝率40%でも平均利益が3、平均損失が1なら、少ない勝ちでも積み上がる可能性が出てきます。
ここで効いてくるのが損益比(平均利益÷平均損失)と、1回の損失許容(資金管理)です。
注意点は、勝率だけを追ってしまうことです。
勝率が気になるほど、負けを避けたくなって損切りが遅れたり、利確が早くなりがちです。
数字を整えるには、勝ち方より“負け方の設計”が落ち着きにつながる場面があります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 利益率は「1回の取引」と「年間」、どちらで見ればいいですか?
A. 目的によって使い分けると整理しやすいです。1回の取引の利益率は「その売買の質」を確認するのに向きます。
一方、年間(または四半期・月次)の利益率は「運用として増えたか」を把握しやすく、ブレも平均化されます。
迷う場合は、まず期間を決めて集計し、そのうえで代表的な取引を振り返る流れがスムーズです。
Q2. 含み益・含み損は利益率に入れるべきですか?
A:「確定」と「未確定」を分けると混乱が減ります。
含み益・含み損は相場で変動するため、確定損益と混ぜると評価がぶれやすくなります。
まずは「確定した利益(売却益+配当)」で利益率を出し、別枠で評価損益を見ておくと、納得感のある振り返りができます。
まとめ
- 株式投資における利益率とは、投資した金額の何%の利益が出ているかを示す数値
- キャピタルゲインの平均利益率は年間で5%前後、インカムゲインの平均利益率は25%~2.51%
- 利益率を高めるには、テクニカル分析の正しい技術を身に付けて、短期的に株価チャート上で利益を狙うことが大切
いかがでしたでしょうか?
ご自身の株式投資における利益率を評価する際は、本記事でご紹介した平均値を参考にするようにしてください。
また、株式投資における利益率のうち、なかでもキャピタルゲインの利益率を高めるには、短期的な株価の値動きを予想することができるテクニカル分析の活用がおすすめです。
テクニカル分析は、技術を磨けば磨くほど応用の幅が広がるため、プロの投資家にも見劣りしないほど利益をあげることができる可能性もあります。テクニカル分析を利用して投資資金の負担と分析にかける時間を最低限に抑えて、もっと利益を狙っていきましょう。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







