みなさんは「価格帯別出来高」という言葉をご存知でしょうか?
価格帯別出来高はトレードをする際に確認することができるもので、証券口座を持っていれば簡単に普段利用している株価チャート画面に表示させることが可能です。
とくにテクニカル分析をおもに行っているという方は、普段の分析と合わせて価格帯別出来高も確認しておくと、さらにマーケットの動きを把握しやすくなるでしょう。
今回は価格帯別出来高について、詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 出来高の意味
- 価格帯別出来高の意味と出来高との違い
- 価格帯別出来高をトレードに生かすコツ
価格帯別出来高とは?
「価格帯別出来高」の意味を理解する前に、株用語である「出来高」の意味について理解しておくと分かりやすいので、まずは「出来高」から説明していきます。
(図1)
上記の図を見ていただくと、下の方に棒グラフが表示されていると思います。
こちらの棒グラフが「出来高」を示しているグラフです。
出来高とは、ある期間中に成立した株の売買の数量のことを意味しています。
つまり、“いつどれくらいの売買がおこなわれたのか“を表したものです。
上の図は日足のチャートになるので、こちらの出来高は1日あたりでこれくらいの取引があったということを示したグラフになります。
株の売買は、買い手と売り手それぞれの希望価格と株数がぴったり合って初めて、成立するものですよね。
よって出来高は、売買が成立した時点で時間別に棒グラフに反映されます。
つまり出来高が多いと“この株は売り手や買い手が多くて人気なのかな”、逆に少なければ“この株は売り手や買い手が少なくて人気がないのかな”というように、その銘柄の人気度を目で見て把握することができるので、株式投資において重要な指標です。
このように出来高とは、ある期間ごとにどれだけの売買がおこなわれたのかを確認できる指標だといえます。
では出来高の意味がわかったところで、次は本題である「価格帯別出来高」の意味について見ていきましょう。
価格帯別出来高は出来高と違って、株価ごとに成立した株の売買の数量のことを意味しています。
つまり、“いくらでどれくらいの売買がおこなわれたのか“を表したものです。
この説明ではイメージが湧きにくい方もいらっしゃるかと思いますので、例を用いてみます。
株価 | 出来高 |
600円 | 10,000株 |
605円 | 15,000株 |
610円 | 30,000株 |
615円 | 5,000株 |
(図2 )
A株は、図2のように株価600円~615円の間で合計60,000株の出来高が発生したとします。
このとき、A株にとって1番適正とされる株価はいくらでしょうか?
図2を見ると、株価が610円のとき30,000株の出来高が発生していて、株価600円~615円の間では1番売買がおこなわれていることが分かります。
つまり、A株の適正な株価は610円と考えて多くのトレーダーがA株の取引をおこなっているということです。
このように価格帯別出来高は、トレーダーの気持ちを汲み取って株の需要と供給を読み取ることができます。
価格帯別出来高の表示は、証券会社にもよりますがスマホ版では表示させられないこともあるのでご注意ください。
また表示方法も証券会社によって異なりますが、たいていの場合はローソク足の株価チャートの右側や左側に、横向きの棒グラフとして表示されることが多いです。
(図3)
図3の赤色の点線で囲んでいるグラフは、価格帯別出来高です。
価格帯別出来高を見ると一定の範囲で値が大きくなっており、左側にある株価チャートを見ると同じ株価帯で多くローソク足が推移していることが分かります。
以上が価格帯別出来高の基本的な説明です。
価格帯別出来高をトレードに生かすには?
ここまでで、価格帯別出来高の意味についてはお分かりいただけたかと思います。
ただし実際にトレードに生かすことができなければ、意味はありませんよね。
そこで、価格帯別出来高をトレードに生かすコツをわかりやすく解説していきます。
まず価格帯別出来高が多い部分では、株価がいったん足踏みする傾向にあるということを知っておく必要があります。
というのも図3で見たように価格帯別出来高は一定の範囲内で値が大きくなっていて、株価チャートも同範囲で推移しやすい状態といえるでしょう。
このとき上限の線を「上値抵抗線」、下限の線を「下値支持線」といい、上値抵抗線まで株価が上がると売りが優勢になり株価が上昇しにくく、下値支持線まで株価が下がると買いが優勢になり株価が下落しにくくなる指標として見ることができます。
上値抵抗線と下値支持線は、株価の値動きにとっての“壁”、“遮り”のようなものになりやすく、注意が必要なポイントです。
では価格帯別出来高と株価の関係について知ったところで、トレード方法を見ていきましょう。
上記で、価格帯別出来高が多い部分では株価はあまり動かないと説明しました。
その裏を返せば、価格帯別出来高が少ない部分では株価は変動しやすいということになります。
もし株価が下値支持線を下抜けて下落していった場合どうなるでしょうか?
その株価での価格帯別出来高は少ない、もしくはほとんどないことも考えられるので、もしこの部分にまで株価が下落したらさらに勢いよく株価が急落する可能性があります。
つまり、現在価格帯別出来高が多い部分で株を保有していて、そろそろ下値支持線を下抜けそうだと思ったら早めに株を売りましょう。
そうすることで損失から身を守ることができます。
また、逆に株価が上値抵抗線を上抜けた場合は売りよりも買いが優勢になっていると考えられるので、今後の株価上昇が期待できます。
しかし、この指標だけで売買を判断するのは危険です。移動平均線や前の高値・安値など様々な指標を加味してトレードの判断をする必要があるので、安易な建玉はしないようにしましょう。
まとめ
- 出来高とは“いつどれくらいの株が売買されたか
- 価格帯別出来高とは“いくらでどれくらいの株が売買されたか
- 価格帯別出来高が多い部分では、株価の変動が止まりやすいので注意が必要
いかがでしょうか。
本記事では「価格帯別出来高」の意味やトレードに活かす方法を解説してきました。
適正な株価を読み取ることができたり、株価がどの範囲でおもに推移しているのかを視覚的に把握できたりするので、非常に便利な指標ですよね。
ふだんローソク足の株価チャートだけを見て分析をしているという方も、ぜひ価格帯別出来高をプラスαしてさらに精度の高い分析をしていきましょう。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。