自社株買いとは?企業が行う理由と株主にとってのメリットを解説

「○○会社、自社株買いの実施を発表」

みなさんはこのようなニュースを目にしたことはありませんか?

「自社株買い」とは言葉のとおり、企業が自社の株を買うことを意味しているのですが、どういう理由で自社株買いをおこなうのかについて疑問を持たれている方も少なくないと思います。

よって本記事では、自社株買いの意味やおこなう理由、株主にとってのメリットについて解説していきます。

株式投資をおこなううえで知っておきたい知識なので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 自社株買いの意味
  • 自社株買いをおこなう理由
  • 株主にとってのメリット

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目次

自社株買いって何?

まずは「自社株買い」の意味についてご説明していきます。

自社株買いはその名のとおり、「企業が自社(企業自身)の株を買うこと」を意味します。

日本ではここ数年で自社株買いをおこなう企業がどんどん増えてきています。その勢いは、「日本に自社株買いの時代が到来した」といわれるほどです。

ちなみにここ最近で自社株買いを発表した有名企業としては、ソフトバンクグループがあります。

ソフトバンクグループは、1年間で2.5兆円ほどの大きな自社株買いを行うとして、話題にもなりました。

私たちトレーダーは株式市場に流通している株式を売買していますが、そもそも企業が株式を発行する理由は「資金調達をするため」だと理解しているかと思います。

それなのになぜ、企業は自社株買いをおこなうのでしょうか?

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企業が自社株買いをおこなう理由

企業が自社株買いをおこなう理由を様々です。

私たちトレーダーに関わってくる部分もあるので、見ていきましょう。

株主還元を手厚くするため

自社株買いは、株主還元策の1つとしておこなわれることがあります。

日本企業における株主還元といえば、配当金や株主優待が頭に浮かぶかと思いますが、実は自社株買いという形でも株主を喜ばせることが可能です。

ところでなぜ、自社株買いをおこなうことが株主還元だといえるのでしょうか?

まず企業が自社株買いをおこなうと、その分発行済株式数が減少します。

ここでEPS(1株当たり利益)という指標を思い出してみてください。

EPSは「当期純利益÷発行済株式数」で算出することができる指標で、自社の株を買ってくれた株主が持つ1株に対しての企業の成果を表しています。

つまり数値が大きいほど株主にとって望ましく、他社との比較にも用いることができる重要な指標です。

そんなEPSですが、自社株買いをおこなう前と後とで当期純利益が変化しないとすると、自社株買いをおこなった後の値はどうなるでしょうか?

もちろん、自社買いをすることにより発行済株式数が減少し、EPSつまり1株当たり利益が増加します。

このことは、上記でも触れたように株主にとって望ましくプラスの要因となるので株主還元としてはたらくだけではなく、結果としてトレーダーからの好感によって企業も恩恵を得ることができると考えられているのです。。

ストックオプションを活用して従業員の意欲を高めるため

みなさんは「ストックオプション」という言葉をご存知でしょうか?

ストックオプションとは、企業の従業員が自社株をあらかじめ定められた金額(権利行使価格)で取得できる権利を付与されることをいいます。

ストックオプションに権利を行使する時期は自由ですが、基本的には自社の株価が上昇して権利行使価格よりも高値になったときに取得(自社株買い)してすぐに売却をすれば「時価-権利行使価格」分の利益を手に入れることができるので、そのようなタイミングで権利が行使されることが多いです。

ストックオプションの権利を持っている従業員からすると、利益をできるだけ多く得るためには自社の株価を上げていきたいはずです。

そのため従業員自身が仕事に力を入れるようになり、それが結果として企業の生産性のアップ→業績アップに繋がり、思惑通り株価が上昇する要因になります。

これは従業員にとっても企業にとってもメリットがあることなので、ストックオプションといった仕組みとしての自社株買いを導入する企業も存在します。

買収されないようにするため

自社株買いは、買収(M&A)対策の一環としておこなわれることもあります。

というのも、自社株買いをおこなって株価を引き上げることで企業の買収に必要な取得額が高くなり簡単には買収されにくくなるからです。

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自社株買いによるおおよそのメリットを計算する

ここまで説明してきたように、自社株買いがおこなわれると基本的には株価が一時的に上昇することが多いでしょう。

もし自分が保有している銘柄の企業を対象に自社株買いが発表されたとき、自分へのメリットをおおよそで計算することが可能です。

まず、企業は自社株買いをおこなうことを発表するときは以下の項目について記載することがほとんどです。

  • 取得する株式の種類
  • 取得する株式の総数(発行済株式数に対する割合)
  • 取得する株式の総額
  • 取得期間
  • 取得方法

このとき株主がチェックするべきなのは、自社株買いがおこなわれる株式の総数を示した「発行済株式数に対する割合」です。

もしこの数値が5%だったとすると、企業は発行済株式数の5%に対して自社株買いをおこなうことになります。

つまり、この自社株買いによって企業の発行済株式数は5%減少するので、上記で紹介したEPS(1株当たり利益)の算出式によればEPSは5%程度増加し、株価も同程度の増加が期待できるかもしれません。

しかし、実際に株価が動く際はその他の要因も加味されて変動していきます。

株価チャートを見て下落トレンドだとしたら、仮に一時的に株価が上がる可能性があるとしても、その後すぐに失速してしまう可能性もあります。

テクニカル分析でしっかりと判断した上で、玉を入れるのか手仕舞うのか、継続して保有するのかなど判断していくようにしましょう。

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まとめ

  • 自社株買いとは、企業が自社の株を買うこと
  • 株主還元や株価上昇を目的としておこなわれることが多い
  • 投資判断をする際は、株価チャートも動きも参考にする

本記事では、自社株買いについて徹底解説してきました。

一見不思議な行為ではありますが、企業はさまざまな理由で自社株買いをおこなっていることがお分かりいただけたかと思います。

また近年では日本企業の自社株買い総額が増加傾向にあるので、株式投資をする際に注意しておくべきポイントのひとつかもしれませんね。

自分が保有している銘柄が自社株買い対象となった際に慌てないためにも、しっかりと自社株買いに関する知識を身に付けていきましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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