安定操作取引とは?株初心者でも理解できるその仕組みと影響

安定操作取引

みなさんは「安定操作取引」という言葉をご存知でしょうか?

これは主に株式を発行する企業がおこなう行為のことなのですが、基本的には金融商品取引法によって禁じられている行為です。

ですが例外的に認められていることもあり、この場合私たちトレーダーも情報を得ることができるので、注意して見ておくこともできます。

本記事では、そんな安定操作取引について徹底解説していきます。

この記事でわかること

  • 安定操作取引の意味
  • 安定操作取引が認められている例外的ケース
  • 安定操作取引銘柄は儲かるのか?

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目次

禁止されている!?安定操作取引とは何か

まずは「安定操作取引」がどういった事柄を表しているのかを、ご説明していきます。

安定操作取引は、株式を発行することで資金調達をおこなっている企業(株式会社)が、資金調達をよりスムーズに進めるためにおこなう行為のことです。

「株価の固定(釘付け)」と呼ばれることもあります。

では、具体的にはどのような行為のことを指しているのでしょうか?

わかりやすくいうと安定操作取引とは、発行した株式をたくさんの株主に買ってもらうために自社株買いをおこなって、株価が下がらないように調整する行為を指します。

ただしこのような、意図的に株価の変動を操る目的で株式売買をおこなうことは「相場操縦行為」と呼ばれていて、金融商品取引法の第159条3項において禁じられています。

なぜ禁止されているのかというと、このような意図的な取引がおこなわれることで公正な株価が反映されなかったり、すでにその株式を保有している株主に損害を及ぼす可能性が生じたりするからです。

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【例外】安定操作取引が認められるケースとは

このように、株式市場の公平性や透明性が失われるという懸念から禁止されている安定操作取引ですが、実は例外的に認められているケースがあります。なぜ認められているケースがあるのか気になる方も多いと思うので、以下で解説していきます。

企業が資金調達を目的に株式を発行すると、悪意はなくてもやむを得ず株式市場の需給バランスが急激に変動してしまうので、株価が大きく動いてしまうリスクが生じます。

このような事態は市場参加者にとってよくありませんので、企業が株を発行するときは一定の条件を満たしたなかで株価を安定させるための行為をとることが認められています。

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安定操作取引に対してトレーダーはどうするべき?

ここまでで安定操作取引の意味についてはお分かりいただけたかと思います。

気になるのが、私たちトレーダーは安定操作取引がおこなわれる株式に対してどのような体制をとればいいのかということですよね。

結論からいうと、トレーダーは安定操作取引がおこなわれている株式に対しては気を配っておく必要があります。

「安定操作取引がおこなわれているのかを見破ることができるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。

実は安定操作取引をおこなうことを決定した企業は「安定操作取引届出書」、「安定操作報告書」を提出する義務があります。

そのため、私たちトレーダーは東京証券取引所の公式ホームページにアクセスすれば、安定操作取引をおこなう企業の情報を入手することが可能です。

では、安定操作取引がおこなわれる株式が判明したところで、株式投資に生かすことができるのでしょうか?

それには、安定操作取引がおこなわれた株式がどのような株価変動をするのかを知っておく必要がありますよね。以下で解説していきましょう。

もしA社が新株発行をしようとしたとき、売りだそうとしていた株価が現在の株式市場での株価よりも高かったとします。

これでは、新株を買ってもらうことは難しく、資金調達がスムーズに進まない可能性がありますよね。

ここで必要になるのが安定操作取引です。資金調達をするためには、新株を希望する株価水準で買ってもらう必要があります。

A社は、設定している新株の株価とすでに流通している株価の差額を埋めるために(新株の株価に近づけたい)一定の条件下で安定操作取引をおこない、すでに流通している株式の株価を上げにかかります。

ここまでのメカニズムを知っておけば、「買いだ!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際にはその後株価がすぐに下落トレンドに突入したりするケースもあるので、この指標だけを見て安易に建玉することはおすすめしません。

株価チャートを分析して、より精度の高いエントリータイミングを見極める必要があるでしょう。

株価チャートの見方については、株価チャートはどうやって見ればいい? テクニカル分析の基本とはの記事をご覧ください。

安定操作取引が行われると、それに乗じて株価が上昇するケースも多いですが、通常では考えにくいような株価変動をする可能性もあるので、注意しておく必要があるでしょう。

このような市場の仕組みを知っておくことで、こうした銘柄は避けてトレードをするという選択肢を取ることもできます。

自分のトレードスキルと総合的に見てみて、こうした銘柄でも勝負するのか、もう少し読みやすい銘柄で勝負していくのか、考えていく必要があるでしょう。

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まとめ

  • 安定操作取引とは、株式発行による資金調達をスムーズにおこなう目的で自社株買いをおこなって、株価を安定させようとする行為のこと
  • 基本的には禁止されているが、一定の条件下であれば認められている
  • 安定操作取引がおこなわれる株式をチェックしておけば、取引後利益を得られる可能性もある

本記事では安定操作取引の意味や例外的に認められているケース、投資投資時に注意すべき点について解説してきました。

安定操作取引については、株式投資をおこなううえで知っておくべき知識の1つです。

一定の条件下で合法的におこなわれることもあり、その場合は情報を入手して注意しておくとよいでしょう。

ぜひ本記事を参考に、安定操作取引銘柄についても気を配ってみてください。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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