初心者でもすぐにわかる!ドローダウンとは?

初心者でもすぐにわかる!ドローダウンとは?

投資を始めたばかりの方やこれから挑戦する方は、損失への恐怖心があると思います。

せっかくお金を貯めたのに、取引に失敗してゼロになってしまったらどうしようと考えたことが、一度はあるのではないでしょうか。

そんな方にぜひ学んでほしいのが、ドローダウンです。

今回は、ドローダウンとは何か、どのように活用できるかについて解説します。

目次

ドローダウンとは

まずは、ドローダウンとは何か、定義や計算方法などについて解説します。

ドローダウンの定義と計算方法

ドローダウンはFXなどの投資で使われる用語の一つで、トレーダーの最大試算に対する損失割合です。

ドローダウンは、以下の方法で計算します。

初心者でもすぐにわかる!ドローダウンとは?

ドローダウンには、3つの種類があります。

1つ目が、最大ドローダウンです。

これは、一定の期間において最大金額のドローダウンを指します。

「最大ドローダウン」とは最大どのくらいの損失を受け入れるのか、に通じます。

最大ドローダウンを大きくした場合、大きな振れ幅を許容することになり、そのまま手当をすることができなければ、大きな損失を抱える可能性があります。

最大ドローダウンの許容範囲は、20~30%が目安となります。

投資信託だけでなく裁量取引でも資金記録を残しておくことで、最大ドローダウンを把握して損失の原因を分析できます。

2つ目が、相対ドローダウンです。

これは、口座残高のピークを基準に、割合ベースで最大のドローダウンを示したものです。

最大ドローダウンの単位は金額になりますが、相対ドローダウンはパーセント単位となります。

資産規模が違う場合も、同じ基準で相対的なリスクを評価できる点がポイントです。

3つ目が、絶対ドローダウンです。

これは、運用を開始した時点から資産がどれだけ減ったかを表します。

絶対ドローダウンが大きくなると資金回復が難しくなり、破産リスクの評価に欠かせません。

また、ドローダウンを確認する際は、、含み損も加味して考えるのが一般的です。

両者の違いは、含み損が未確定の損失であるのに対し、ドローダウンはすでに損失が確定していることです。

自分の持っている資産の価値がどんなに下がっても、決済していなければドローダウンはありません。

ドローダウンの重要性

ドローダウンが大きいほど原本回復に必要な利益率は大きくなるため、常に数値かを理解しておくことが重要です。

例えば、損失割合が10%であれば原本回復に必要な利益率は11%ですが、損失割合が30%、50%、90%と増えると、利益率は43%、100%、900%と必要になります。

ドローダウンを用いたリスク評価も、非常に重要です。

まず、ドローダウンを分析することで投資戦略のリスクを評価できます。

大きなドローダウンは、それだけリスクが大きいことを示しています。

ドローダウンを利用して、個人のリスク許容度に基づいた投資戦略をとりましょう。

また、大きなドローダウンが発生した時には、投資手法やポートフォリオを再評価しましょう。

さらに、投資を始める前に最大ドローダウンを設定し、それ以下を目指すことで過度に大きなリスクを避けられます。

過去のドローダウン事例

実際にどのようなドローダウンがあったのか、過去の事例を紹介します。

下記は、2000年以降に発生したドローダウンの上位5ファンドの一覧です。

初心者でもすぐにわかる!ドローダウンとは?

最も大きいドローダウンは2007年11月から2008年11月の「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」で、63.6%の下落となっています。

また、コロナ禍でも相場は荒れており、2020年2月から3月の1か月で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は34.4%下落しました。

過去にこれだけ大きなドローダウンがあることを知っておくだけで、自分自身に起きたドローダウンを冷静に受け止められるでしょう。

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ドローダウンの活用方法

ドローダウンについて学んだら、その知識をどのように活かせばよいか、活用法を解説します。

ドローダウンを活用するには、まず正常なドローダウンと問題があるドローダウンを見分け、それぞれ別の使い方をしましょう。

正常なドローダウンの使い方

正常なドローダウンとは、トレーダーの脅威となるようなものではなく、相場環境による取引の浮き沈みや、トレードプランからの小規模なズレなどにより発生するものです。

正常なドローダウンが起きたら自身の取引がトレードプランに沿っているか確認し、早急に回復できるのか、現状より悪い状態に陥らないのかを確認しましょう。

投資では常に成功する戦略はなく、相場環境によって結果が左右されるものです。

そのため、計画を続けることが難しいシーンもありますが、戦略はころころ変えず維持していきましょう。

ただし、ドローダウンが起きたらポジションサイズを小さくするといった対応は必要です。

リスクを小さくして心理的な落ち着きを保持し、客観的な取引を続けましょう。

問題あるドローダウンの使い方

問題があるドローダウンは、リスク管理や取引回数などにおいて複数の問題が同時発生しているときに引き起こされます。

この時、最も重要なのはドローダウンの原因を特定することです。

どのような問題がいくつ起きているか特定し、どの順番でどのように対処するか、早急に決定してください。

問題あるドローダウンが発生したら、ポジションを小さくしたり、事前に決めたタイミングで損切りしたりといった対応が必要です。

また、衝動的な取引をしていなかったかも振り返ってください。

優れた投資家はチェックリストを作り、いいセットアップの条件を明確化しています。

エントリー前にすべての項目が当てはまっているか確認する癖をつけるとよいでしょう。

さらに、分散投資も問題あるドローダウンへの対処法として有効です。

米ドルだけでなく豪ドルやユーロなどに分散させておくことで、大きな値動きをした通貨があっても損失を最小限に抑えられます。

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ドローダウンを小さく抑える3つの方法

ドローダウンを小さくおさえるには、3つの方法があります。

損切りラインをあらかじめ決めておく

ドローダウンを最小限に抑えるには、損切ラインをあらかじめ決めておくことが重要です。

目の前で相場が下落していき、「きっといつか戻るはず」と根拠なく信じてしまうケースは非常に多いです。

それにより売却のタイミングを失い、ポジションを持ち続けて最後は大きなドローダウンを引き起こします。

しかし、事前に損切りラインを決めておけばその都度考えたり感情に流されたりせず、自動的に損切して被害を抑えることが可能です。

また、トレードごとの最大損失がわかりやすくなり、全体のリスクコントロールにもつながります。

投資先の分散でリスクを広げすぎない

投資をする上で常勝し続けることは不可能で、勝ったり負けたりするものです。

投資先を分散しておくことで、負けた時の損失を最小限に抑えられます。

例えば、アメリカで政治的な動きがあり米ドルが一気に下落した場合、米ドルしか持っていなければ大損失となってしまいます。

しかし、円やユーロ、ポンド、スイスフランなどがあれば、全体の損失は抑えられるものです。

また、最大ドローダウンはピークからどれだけ落ちたかを意味するため、全体での資産が抑えられればドローダウンは小さくできます。

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ポジションサイズを小さくする

1回のトレードに使う金額を小さくすることで、失敗した時のダメージを抑えることができます。

投資をしていると連敗することもありますが、ポジションが大きいと数回の取引で資金の大部分を失いかねません。

また、ポジションが大きければ大きいほど恐怖心が高まり、不安な気持ちに揺さぶられて感情的な判断をしてしまいます。

こういった悪循環によって、ドローダウンが大きくなってしまいがちです。

特にまだ経験が浅いうちは、ポジションを小さくして何度も取引を重ねるようにしましょう。

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まとめ

今回は、ドローダウンについて解説しました。

投資を通じてリターンを得るためには、ある程度の振れ幅を許容しなければなりません。

しかし、人間の心理として損を受け入れられず、なかなか決めた戦略を実行できないのが実態です。

だからこそ、あらかじめ受け入れられる振れ幅を決めてトレードする必要があります。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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