ニュースで「歴史的な円安」「1ドル160円台」といった見出しを見るたびに、「結局、円安って何がどうまずいの?」とモヤモヤしていないでしょうか。
物価は上がっているのに給料はあまり変わらず、「日本の資産価値が下がっている」という言葉も耳にして、不安だけが先に立つ人も多いはずです。
本記事では、「円安とは何か」をできるだけシンプルに整理しながら、企業・家計・資産にどんな影響が出やすいのかを、身近な例と数字を使って解説します。
そのうえで、円安局面で取り上げられやすい外貨預金や外貨建て投資信託、株式の特徴と、考えるときの注意点もあわせて紹介します。
円安とは?初心者へわかりやすく解説
まずは、「そもそも円安ってどんな状態なのか」をはっきりさせましょう。
円安という言葉はよく聞きますが、「円の価値が下がる」と言われても、イメージしづらいかもしれません。
ここからは、「同じ1ドルを買うのに、必要な円の量が増えるのが円安」というポイントを軸に、円高との違いを解説します。
円安とはなに?
円安とは、外国の通貨と比べて円の価値が低くなることです。
為替レートが、1ドル100円から120円になれば円安です。

上の例で見ると、1ドル100円のときは1ドルの商品を100円払えば購入できたのに円安になると120円払わないと買えなくなります。
このように、20円分多く払わないと同じものを買えなくなったことから円の価値が下がったと言えます。
円高とはなに?
円高は円安とは反対に、外国の通貨と比べて円の価値が上がることを指します。
たとえば、為替レートが100円から80円になった場合は円高です。

1ドルの商品を100円払って購入していたのに、円高になると80円払うだけで1ドルのものを買えるようになります。
このことからわかるように、円高は他の国の通貨と比べて円の価値が高くなったと言えます。
円安になる理由とは?
円安になる理由は、円よりも外貨の需要が大きいため円安になります。
通貨の価値は、需要と供給で決まります。
需要と供給の法則はどちらかが多くなると、価格が動いて受給バランスを取ろうとする法則です。

円の需要や供給を生み出す要因は様々ですが、最も通貨の需給バランスに影響を与えるのは金利だと言われています。
金利とは、お金を借りるときのコストです。
銀行預金をイメージするとわかりやすいですね。
私たちが銀行にお金を預ける(貸している)お礼として、利息が払われます。
金利が高い国の通貨でお金の貸し借りをすれば、その分多くの利息を受け取れます。
このことから、通貨を交換する大口の投資家たちは金利が高い国の通貨にお金を交換することが多いです。
円安になる理由としては、金利やなんらかの理由で円の需要が外貨よりも少なくなったため円安になります。
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円安のメリット・デメリット
円安によるメリットやデメリットは、自分が属する業界や立場によって変わります。
3章では円安や円高が、特に大きな影響を与える他国との輸入出の観点からみたメリット、デメリットについて解説します。
円安のメリット
円安になると、輸出企業が有利になります。
輸出企業とは、自動車関連、電気機器、精密機器などの業界があげられます。
たとえば、1ドル100円のとき10万ドル(1,000万)の車を輸出してドルを円に換金すれば1,000万円です。
ですが、1ドル120円のときに10万ドルの車を輸出して円に換金すれば1,200万円受け取れます。
このように円安が進むと、同じドルで多くの円に換えられるため輸出企業は売上が増加します。
この200万円の差を活かして、同じ性能の車を安く提供できるなど競争優位性を高められるのは大きなメリットです。
円安のデメリット
円安は、輸入企業にとってはデメリットです。
仕入れを輸入していた場合、円安になると以前に比べて商品の調達にお金がかかるようになります。
たとえば、1ドル100円のときブランド品を10万円で輸入できていたとします。
ですが、1ドル120円になると12万円払わないと輸入できません。
この2万円の差を埋められないと、企業としては損失になってしまいます。
値上げや経費削減が強いられるため、輸入企業にとってはデメリットです。
ちなみに輸入企業は食料品、電気・ガス、紙・パルプなどの業界があげられます。
円安になると個人が受ける影響
3章では、マクロな視点から円安の影響について解説しました。
ここでは、個人が実生活で受ける影響について解説します。
3章ではメリットやデメリットは立場や業界によると解説しましたが、円安を日本全体で見るとプラスだと言われています。
ですが、個人が受ける影響としてはマイナスであることが多いです。
それぞれ解説します。
家計が苦しくなる
円安の影響を最も実感しやすいのは、日々の生活費かもしれません。
代表的なのは、食料品とエネルギー、そして海外旅行です。
日本は、食料や飼料、燃料、原材料など、多くを海外から輸入しています。
円安になると、同じドル建ての輸入価格でも、円に直したときのコストが増えやすくなります。
その結果、以下のような形で影響が出ることがあります。
- スーパーの輸入食品や原材料を使った加工食品の値上げ
- ガソリン代や電気・ガス料金の上昇
- 外食産業の仕入れコスト増からくるメニュー価格の見直し
また、海外旅行をする場合も、宿泊費や食事、現地での交通費などがドルやユーロ建てでかかるため、円安になるほど、「同じ旅程でも、日本円で必要な金額が増えやすい」状況になります。
もちろん、物価の動きは円安だけで決まるわけではありませんが、「輸入に依存しているものほど、円安の影響を受けやすい」という視点を持っておくと、ニュースの見方が変わってきます。
日本円でもっている資産は価値が減少する
円安になると、日本でもっている資産の価値は下がります。
たとえば、外国人が1ドル100円のときの日本円で1,000万円の価値の土地を買うには10万ドル必要です。
ですが、1ドル200円になった場合5万ドルでその土地を買えるようになります。

このように、円安になると日本で保有している土地や株などの資産価値は減っていると言えます。
資産を保有する際は、為替リスクも考えた分散された資産構成にするのがいいですね。
円安のときに有利になる投資を3つ紹介
円安は、個人レベルで見るとデメリットが多いです。
そのため、円安を逆手にとった投資で対策するのも1つの手だと言えます。
5章では、円安の時に価値が上がる資産について解説します。
外貨預金
外貨預金をしておくと、円安のリスクヘッジになります。
外貨預金とは、円を外貨に交換して預けておくことです。
1ドル100円のとき外貨預金を始めて、100万円をドルに交換したとします。
その後円安になり1ドル120円になったら、100万円の価値は円に換算すると120万円になります。
円安で家計は苦しくなっていても、資産は増えているので円安のリスクを下げることが可能です。
円を外貨に交換するタイミングが難しいと思う方は、積立購入をおすすめします。
積立購入とは、決まった期日に決まった金額を外貨に交換することです。
積立購入すると、単価が平均されるためタイミングを測る必要がなくなります。
外貨預金をする際は、将来的に円高に振れる可能性もあるため資産の数パーセントを交換するのがいいですね。
投資信託
外貨建ての投資信託も、円安のときに有利になる投資の1つです。
外貨建ての投資信託とは、ドルやユーロなどの外貨で取引できる投資信託のことです。
代表的な外貨建て投資信託として、外貨建てMMFがあげられます。
国債や債券などで運用されているため、比較的リスクが低い投資商品だと言えます。
リスクは低いですが、投資ですので元本割れの可能性があることはわかっておきましょう。
外貨建てMMFは円安リスクを低減させながら資産形成ができるので、円安のリスクヘッジとしてはおすすめの商品です。
株式投資
円安のときに有利な投資として、輸出企業の株を保有するのも1つの手です。
3章でも解説しましたが、輸出企業は円安になるに連れて売上が増加します。
そのため輸出企業の株を保有しておけば、円安で家計が苦しいときも多くの配当金を生み出してくれるでしょう。
有名な企業でいうと、トヨタや日産自動車などがいいですね。
また、値上がり益も期待できるかもしれません。
個別株は今回紹介した3つの投資商品の中ではリスクが1番大きいですが、少量保有しておくのもおすすめです。
円安に関するよくあるQ&A
Q1. 円安になると、なぜガソリン代や電気代が上がりやすいの?
A. 日本は、原油や天然ガスなどのエネルギー資源を多く海外から輸入しています。
その代金は、主にドルなどの外貨で支払われます。
1ドル=100円のときと、1ドル=150円のときを比べると、同じ100ドル分の原油を買う場合でも、
-
100円のとき:1万円
-
150円のとき:1万5,000円
と、日本円でみた支払い額は増えます。
このように、円安で「エネルギーの仕入れコスト」が高くなりやすいことが、ガソリン代や電気・ガス料金の上昇につながる一因になります。
Q2. 円安だと海外旅行はどれくらい割高になるの?
A. 海外旅行の費用には、航空券・ホテル代・食事・現地交通費など、外貨建てで支払う部分が多く含まれます。
そのため、為替レートが変わるだけでも、トータルの日本円ベースの費用が変わりやすくなります。
たとえば、現地で使うお金を「1,000ドル」と想定している場合、
-
1ドル=100円:10万円
-
1ドル=150円:15万円
となり、為替だけで5万円の差が出ます。
実際には、ツアー料金や航空券代に為替や燃油サーチャージなどが反映されるため、「円安の時期は全体的に割高になりやすい」というイメージを持っておくと、予算を立てるときの目安になります。
まとめ
円安という言葉は、ニュースやSNSで頻繁に登場しますが、その中身を一度整理しておくと、日々の情報に振り回されにくくなります。
本記事では、
- 円安とは「同じ1ドルを買うのに、より多くの円が必要になる状態」であり、円の購買力が相対的に弱くなっていること
- 円安が企業にとっては、輸出企業には追い風、輸入企業には逆風になりやすい一方で、業界やビジネスモデルによって影響は分かれること
- 個人の生活では、輸入品やエネルギー、海外旅行などを通じて家計に影響が出やすいこと
- 円安局面で話題に上りやすい外貨預金や外貨建て投信、輸出関連株には、それぞれ特徴とリスクがあり、為替の動きだけで判断するのは難しいこと
といったポイントを見てきました。
円安のニュースを見たときには、「誰の立場の話なのか」「どの期間の話なのか」「物価・賃金・企業収益のバランスはどうか」という視点を持ちつつ、自分の家計や将来の計画と照らし合わせて考えてみると、判断の軸がぶれにくくなります。
「円安はなんとなく怖い」という感覚から一歩進んで、「こういう仕組みで動いていて、自分の生活にはこういう形で関係してくる」という理解に変えていくことで、必要な情報を選び取り、ベストな行動ができるはずです。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。







