投資信託の分配金とは?デメリットを解説

投資信託,分配金

このような謳い文句を聞いたことはありませんか?

「投資信託の分配金で毎月お小遣いがもらえる」
「投資信託の分配金は年金代わりになる」
「毎月分配金がもらえるなんて、オトク!」

投資信託には、投資家に毎月分配金が支払われる「分配型」の商品があります。

お小遣い代わりや年金代わりになるとして、特に初心者や高齢者を中心に高い人気がある商品です。

しかし分配型の投資信託にはデメリットも多くあり、知らずに購入してしまうと思わぬ損失を被ってしまう場合もあります。

今回は、分配型投資信託のリスクについて、詳しく見ていきましょう。

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目次

(1) 投資信託の分配金とは何か?

投資信託には、分配型というタイプの投資信託があります。

一定の頻度で決められた日に決算が行われ、投資家が分配金を受け取れるというものです。

分配金は、投資信託で運用している資金の一部を現金化して取り崩すことによって支払われます。

分配金が支払われる頻度や金額は、投資信託の交付目論見書に記載されている分配方針に沿って、運用会社が決めています。

分配の頻度は、年1~2回という商品もありますが、「毎月」が主流です。

毎月定期的に分配金を受け取れるという安心感から、分配型投資信託を選ぶ初心者は少なくありません。

また「年金代わりに」と、高齢者からも人気があります。

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(2) 分配型投資信託のデメリット

毎月お金が受け取れる点が魅力と思われることの多い分配型投資信託ですが、実はデメリットも多くあるのはご存知でしょうか?

ここからは主な3つのデメリットについてご説明していきます。

①投資資金を取り崩してしまう

分配金について、預貯金で得られる利息と同じように考えている人もいますが、実は全く異なります。

預貯金の利息は、預けた元本からではなく、金融機関の資産から支払われます。

そのため利息が支払われても、預けている元本は変わりません。

一方で投資信託の分配金は、運用資産から取り崩されるため、投資信託の基準価格はその分下がってしまいます。

分配金は必ずしも運用利益から支払われているとは限らず、投資家が預けている元本を切り崩している場合が少なくありません。

2018年に行われた調査では、分配金のうちなんと約9割が元本の取り崩しによって支払われていることが明らかになりました。

つまり自分がせっかく積み立てている投資資金が「ただ返却されるだけ」ということです。

運用中の手数料を考慮すると、むしろ損失になっている可能性さえあります。

元本の返却を分配金のプレゼントやボーナスのように感じている人は少なくありません。

しかし実際には、自分が積み立てているお金を単に「取り崩している」ことに他ならないのです。

投資信託協会が行ったアンケート調査によれば、分配金に元本が含まれていることを知っていたのは36.4%に留まりました。

7割近い投資家が、分配型投資信託の仕組みをきちんと理解しないまま購入しているのです。

②複利効果が薄まる

投資によって資産を増やす際に欠かせないのが「複利効果」という考え方です。

複利効果とは、複利運用で雪だるま式に資産が増える! 株式投資で利益を大幅に増やすにはの記事の中でも詳しく解説していますが、投資によって得られた利益を再投資することで、さらなる利益を得ることです。

長期的に再投資を続けることで、雪だるま式に資産が増えていく可能性があります。

一方、分配金を受け取るということは「再投資していれば得られたかもしれないお金を受け取れない」ということです。

長期的な資産形成を望むのであれば、分配金として受け取るよりも、再投資して複利効果を最大限発揮させる方が、より多くの資産を増やせるはずです。

複利効果を最大限享受しようとする投資家は、分配型ではなく再投資型の投資商品を選ぶ場合がほとんどでしょう。

③運用成績が悪くなる可能性がある

ファンドの運用成績が好調であれば、運用利益から分配金を支払うことで、順調に運用を継続していくことができるでしょう。

しかしマーケットの状況や、ファンドマネージャーの手腕によっては、運用成績が芳しくない場合も出てくるでしょう。

分配金は運用成績に応じて支払われるとは限らず、あらかじめ毎月分配金が決まっている場合がほとんどです。

運用成績が悪くても、ファンド側は決められた金額の分配金を支払わなくてはなりません。

運用利益がなければ元本を取り崩して支払わなくてはならず、運用資金はどんどん減っていってしまいます。

十分な運用資金がなければ、運用成績はさらに悪化してしまう可能性が高くなります。

毎月分配型投資信託として有名なのが、1997年に登場した「グローバル・ソブリン・オープン」、略して「グロソブ」です。

世界主要先進国の国債や政府債券などの、公的機関が発行するソブリン債を投資対象とし、安全性が高く毎月分配金が受け取れるとして、高い人気を集めました。

ピーク時には約6兆円近くの資金を集めましたが、為替相場の変動や、分配金による資金の目減りなどにより、運用資金は今や4,000億円を下回ってしまいました。

ピーク時に1万円を超えていた基準価格は、今や5,000円を下回り、半分以下になってしまっています。

毎月分配型を受け取れても、トータルで損をしてしまえば元も子もありません。

毎月分配型という言葉に惑わされて、肝心の運用成績への注意がおろそかにならないよう、特に初心者は注意する必要があります。

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まとめ

分配型投資信託とは何か、そのデメリットを交えてご紹介しました。

一世を風靡した「グロソブ」をはじめとして、分配型投資信託は高い人気を集めてきました。

一時は多くの分配型投資信託が元本を取り崩している実態が明らかになるなど、その問題点が指摘されたものの、現在でも初心者や高齢者を中心に根強い人気があります。

毎月分配型投資信託は、お小遣いや年金のように「毎月お金が受け取れる」と魅力を感じてしまいがちです。

しかし多くの場合、自分が預けた投資資金を取り崩しているだけで、せっかくの福利効果を自ら放棄してしまうことになります。

マーケットの状況が悪化しても分配金を支払い続けることで、運用資金が流出し、肝心の運用成績が悪化してしまうケースも少なくありません。

特に初心者は、安易に分配型投資信託に手を出すことは避けた方が良いでしょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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