このような謳い文句を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「投資信託を積み立てて放置したら、数年後に資金がたくさん増えていた」
「将来に備えて投資信託でコツコツ資産を増やしましょう」
「ハイリスクな投資より、手堅い投資信託で地道に資産を増やそう」
多数の「億り人」が生まれたことで注目された仮想通貨投資や、主婦が家を買えるほど大儲けした事例がもてはやされたFX投資などの派手な投資に比べると、投資信託は地味なイメージがあります。
そのようなイメージから、投資信託について「地味な投資だから、損するリスクも少ないだろう」「とりあえず積み立てれば勝手に増えていくんでしょ?」と考えている初心者も少なくありません。
しかし投資信託には、元本割れのリスクも十分に存在します。
今回は、投資信託における元本割れのリスクについて、詳しく解説していきます。
(1)投資信託に元本保証はない
元本保証とは、投資した元本が額面金額を割り込まないことです。
「元本保証の投資信託は存在するのか?」
このような疑問を持っている方は多いと思います。
そして投資信託を購入するのなら元本保証型の商品がいいと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし残念ながら、元本保証型の投資信託は存在しません。
投資信託の投資対象である株式や債券には、元本保証がないためです。
運用が好調なら資産は増えますが、運用に失敗すれば損失が生じるリスクがあります。
投資信託を購入する以上は、元本割れのリスクを覚悟しておく必要があります。
(2)「投資信託は元本割れしない」と勘違いしてしまう理由
元本保証の投資信託はないのにも関わらず、なぜ「投資信託は元本割れしない」と勘違いしてしまう人がいるのでしょうか。
その主な理由2つをご紹介します。
①「元本確保型」の勘違い
まず考えられるのが「元本確保型」という言葉を「元本保証型」と混同してしまうことです。
投資信託には、元本確保型の商品があります。
元本確保型とは、元本を下回らないような運用方法で元本確保を目指す商品です。
具体的には運用資金を「安定運用」と「積極運用」に分けて、積極運用で損失が生じても、安定運用の利益によってカバーしようとするものです。
当然、損失が大きければカバーできない場合もあり、あくまで努力目標に過ぎません。
元本確保型は元本割れを起こすリスクがあり、元本保証とは全く異なるものです。
しかし言葉や仕組みが分かりづらいため、特に初心者であれば元本保証と混同してしまう場合もあるでしょう。
②国内債券型投資信託に対する勘違い
株式に投資する投資信託や、海外の債券に投資する投資信託の場合は、元本割れのリスクがあることは一般的にも知られているケースが多いといえるでしょう。
新型コロナウイルスの影響により、株価が暴落していることは連日報道されています。
また近年トルコの政情悪化に伴ってトルコ債券ファンドが大きく値下がりしたことも、多くの人の知るところとなりました。
一方で、国内債券型の投資信託については「元本保証されている」というイメージを持っている人が少なくないようです。
国内債券型の投資信託とは、国が発行する債券「国債」や、企業が発行する債券「社債」を投資対象とする投資信託です。
国内債券型の投資信託は、比較的値動きが安定していて、金利を定期的に受け取れるとされています。
その安定的なイメージから「元本割れしない」と勘違いしている人も多くいるようです。
特に国債は国が破綻する可能性は低いとして、その安定性に魅力を感じる人は少なくありません。
しかし2016年に「マイナス金利」が導入されたことで、日本の10年物国債の最終利回りはマイナスになってしまいました。
債券の価格は変動するため、運用成績がマイナスになることもあり得るのです。
さらに債券の発行者が破綻等により元本を返済できない「デフォルト」に陥ることで、元本割れしてしまうリスクもあります。
また、途中解約することで元本割れしてしまうこともあります。
しかも前回の「手数料の罠」でも取り上げた通り、投資信託には様々な手数料が発生します。
このため国内債券型投資信託で運用益が生じても、手数料で相殺されてしまい、結局元本割れしてしまうということも考えられるのです。
まとめ
今回は、投資信託の元本割れリスクについてご紹介しました。
投資信託は仮想通貨や株式投資などに比べて「手堅い」イメージを持っている人も少なくありません。
しかし投資信託には、元本割れするリスクがあります。
努力目標に過ぎない「元本確保型」を元本保証と混同したり、「国内債券型なら元本割れしない」といったイメージから、元本割れのリスクを意識しないまま投資信託を購入してしまうと、思わぬ損失を抱えてしまうこともあります。
投資信託には元本割れのリスクがあるということを忘れないようにしましょう。
元本割れのリスクがあるというのは、株式投資も同様です。
自分にとってどの投資が最適なのか、イメージに惑わされず正しい知識に基づいて判断できるようにしたいですね。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。