「円高」や「円安」という言葉をよくニュースで耳にしますよね。
「円高」や「円安」とは海外の通貨に対して、日本円の価値が高いのか低いのかを表した言葉です。
ですが、「なぜ円高は起こるの?」と疑問が出てくるでしょう。
そこで今回は、なぜ日本円の価値が上下して円高になるのか為替の基礎知識を解説します。
また円高が株式市場に与えるメリット・デメリットや、円高による消費者への影響について紹介します。
なぜ円高になるのか
冒頭で円高や円安は、円の価値が外貨に対して高いのか低いのかによって変わることを述べました。
1章では、日本円の価値が高い状態とはどういう状況なのかについて解説します。
また、なぜ価値が変動するのかについても紹介します。
円高とは円の価値が高い状態
円高とは、日本円の価値が外貨に対して高い状況のことを指します。
たとえば、1ドル100円のときに100円で1ドルのペンが買えていたとしましょう。
そこで為替レートが1ドル80円になった場合、1ドルのペンが80円で買えるようになります。
同じものを少ないお金で買えるということは、円の価値が上がったと言えますね。
このように、日本円の価値が上がることを円高と言います。
通貨の価値は需要と供給で決まる
通貨の価値は、需要と供給の法則により上下します。
需要と供給の法則とは、どちらか一方が多くなると価格が動いてバランスを取ろうとする法則です。
たとえば、需要が供給を上回るとバランスを取ろうとして通貨の価値は上がります。
また供給が需要を上回ると通貨の価値が下落します。
このように、通貨の価値は買いたい人と売りたい人のバランスで決まると言えますね。
円高とは、外貨よりも日本円の需要が高くなったことを表しています。
円高に動く基本的な3つの要因
通貨の価値は、様々な要因により上下します。
その中でも、特に大きな影響を与える要因は基本的に以下の3つです。
- 景気の拡大
- 金利差の縮小
- 貿易収支の黒字
これら以外にも、国のトップの意向など短期的に見ると様々な要因があります。
ですがここでは、長期的に続く大きな影響を与える3つの要因を解説します。
景気の拡大
景気が良くなると、円高になります。
国内で商品の供給が多くなり、余った製品を輸出するようになるからです。
景気がよくなるとモノが売れるため、日本企業の生産が増加します。
生産しすぎた商品は、基本的に輸出に向かいます。
輸出して手に入れた外貨を、円に換えなくてはなりません。
そうなると外貨売り、円買いが起こり円高になります。
金利差の縮小
金利差とは、日本と海外の金利の差です。
通常金利が上昇すると、その国の通貨の価値は上昇します。
金利が高い国の通貨でお金を預金していたほうが、多くの利息を受け取れるからです。
金利が高い国にお金が集まってくることから、その国の通貨の価値は上がります。
日本の政策金利は現在0.5%と他国に比べて低いですが、他国との金利差が縮まるにつれ円高に戻っていきます。
ちなみに、他国の政策金利は以下のとおりです。
米国 | 4.25%~4.50% |
ユーロ | 2.75% |
英国 | 4.50% |
※2025年2月10日現在
貿易収支
貿易収支が黒字だと、円高になります。
貿易収支とは、ある期間の輸出額から輸入額を引いた差です。
貿易収支が黒字であれば、稼いだ外貨は円に換えることになり円買い外貨売りとなるので円高です。
逆に貿易収支が赤字であれば、海外に円が流出していることになります。
そのため、円を買うより外貨を売るほうが多くなるので円安に振れてしまいます。
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円高が株式市場に与える影響
円高は、株式市場にとってプラスかマイナスか一概に言えません。
ですが、上場企業の中には円高によって大きな影響を受ける会社もあります。
それは、輸入企業と輸出企業です。
そこで3章では、輸入企業と輸出企業がそれぞれ円高によって受ける影響を解説します。
円高が輸入企業に与える影響
円高は、輸入企業にとってはメリットとなります。
円高になると海外製品を安く仕入れられるため、その分競争優位性ができ有利に会社を経営できるからです。
たとえば、1,000ドルの海外製の鞄を1ドル100円のときに輸入すると10万円かかります。
ですが、1ドル80円のときに輸入すると8万円で仕入れられます。
このように、仕入れ代金が安くなり、その分は利益となるので円高は輸入企業にとってはメリットです。
ちなみに、原材料を輸入しているような食品業界などにとって追い風となります。
円高が輸出企業に与える影響
輸出企業にとって円高はデメリットです。
なぜなら円高になると、売上が減ってしまうからです。
たとえば、10万ドルの車を輸出する場合で見てみましょう。
1ドル100円のときは1,000万円受け取れます。
ですが、1ドル80円のときは、800万円しかお金を受け取れません。
このように為替レートによって売上が変わるため、輸出企業にとってはデメリットとなります。
ちなみに、輸出企業は自動車関連の会社などが挙げられます。
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円高が実生活に与える影響
私たち消費者にとって、円高はメリットが大きいです。
製品を作る際に必要な原材料費が安くなるため、モノの値段が下がります。
またガソリンなどのエネルギーや、輸入している食料品を企業は安く仕入れられます。
そうなると、消費者へ品物を安く提供することが可能です。
他にも日本円の価値が上がるので、海外旅行や留学もお得にいけるようになり消費者にとってはメリットが多いです。
反対にデメリットとして、海外資産を保有していた場合価値の目減りがあげられます。
ですが、普通に生活していると気にするほどのデメリットはないと言えます。
まとめ
今回は、なぜ円高になるのかについて解説しました。
様々な要因で需要と供給が生み出され、通貨の価値は変化します。 円高は個人の生活レベルで見ると、家計に優しいことが多いです。 ですが、円高はいつまでも続くわけではありません。 円安になると物価は高騰し、生活は苦しくなります。 そのため、円高の内に円安時にできる対策を考えておく必要があります。 そこで、当メディアを参考にしたりや株塾などのセミナーなどで勉強したりするのがおすすめです。 |
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