投資信託を買った直後に基準価格が下がったのを見て「もう損してる?」と感じたことはありませんか?
その疑問、仕組みを知れば納得できるかもしれません。
この記事では、「投資信託の基準価格はいつ決まるのか?」という疑問に対して、タイミングや反映の仕組みを解説します。
価格のズレに焦らなくなれば、もっと落ち着いて長期投資に取り組めるようになりますよ。
そもそも投資信託の「基準価格(基準価額)」とは?
まずは、「基準価格」とは何かについて、基本から確認していきましょう。
基準価格は投資信託の値段
投資信託の基準価格とは、一般的に1万口あたりの価格のことを指します。
ある投資信託の基準価格が12,345円であれば、それはそのファンドの1万口が12,345円で評価されているという意味です。
この価格は、株式や債券、為替など、そのファンドが保有する資産の評価額によって決まります。
つまり、投資信託の基準価格は、その時点の運用成果の反映値ともいえるものです。
ただし、株式のようにリアルタイムで変動しているわけではなく、決まったタイミングで1日1回更新されるという点が最大の特徴です。
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更新のタイミングは1日1回
基準価格は、原則として平日の取引終了後に1回だけ更新されます。
たとえば、日本の公募投資信託の場合は、国内市場が閉まる15時以降に、基準価格の計算が始まります。
その結果は、通常は18〜21時頃に証券会社のサイトやアプリに反映されるのが一般的です。
つまり、日中にアプリで基準価格を確認しても、それは前営業日の価格であることが多く、「思っていた価格と違う」というギャップが生まれやすくなるのです。
基準価額の算出方法は?
基準価額の計算式は「基準価額 = 純資産総額 ÷ 総口数」です。
算出は、以下のような手順で行われます。
①投資信託が保有している全資産(株・債券・為替など)の時価評価額を合計
②そこから、信託報酬や手数料などのコストを差し引き
③最後に、その純資産を投資信託の総口数で割る
このようにして出された数値が、1万口あたりの価格=基準価格になります。
基準価格はいつ決まって、いつ反映されるの?
ここでは、「投資信託を注文したのに、価格が反映されない」「損しているように見える」という初心者がよく感じる不安について、価格決定と反映のタイミングから解説していきます。
注文と約定のタイミングは?
投資信託では、注文したその瞬間に価格が確定するわけではありません。
価格は後決め方式で、注文を出したあとに価格が決まる仕組みです。
平日の15時までに注文を出すと、その日の取引終了後に基準価格が計算されます。
このとき決まった価格で、翌営業日に約定する流れです。
約定とは、正式な購入手続きの成立を指します。
逆に15時を過ぎた注文は翌営業日分として受付され、さらにその日の終値をもとに価格が決まり、約定はその翌営業日になります。
このように投資信託は即時売買ができる商品ではないため、注文のタイミングと適用される価格の間にズレが生じる点に注意が必要です。
買ったあとに損したように見える理由
「投資信託を買った翌日、もう含み損になっていた」という経験がある方もいるのではないでしょうか。
これは、前述の注文と価格決定のタイミングのズレによって生じることが多いです。
たとえば月曜日の朝に注文を出し、その日の取引終了後に基準価格が計算されるとします。
その間に、為替レートが円高に振れたり、海外株式市場が下落したりすると、基準価格が下がってしまう可能性があるのです。
その結果、注文したときのイメージより安く買えず、損したように見える状態になります。
しかし、これは仕組みによる一時的な見え方であり、長期的なパフォーマンスには直結しないことがほとんどです。
申し込み時点で基準価格がわからない理由
投資信託の基準価格は、その日の取引終了後にしか決まらないため、申し込み時点ではいくらで買えるかがわかりません。
これは投資信託の特性であり、リアルタイムで売買できる株式やETFとは異なる点です。
証券会社の取引画面に表示されている価格も、基本的には前営業日時点の価格であり、参考情報に過ぎません。
投資信託は価格を見て即買いするような商品ではないという前提を理解した運用スタイルを心がけることが大切です。
基準価格について初心者が知っておきたいポイント
ここでは、投資信託の基準価格を確認・活用する上で、初心者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントを3つに分けてお伝えします。
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価格は日々変動するもの
投資信託の基準価格は、株式や債券、為替など、ファンドが保有するさまざまな資産の価値をもとに毎日変動します。
そのため、前日とまったく同じ価格になることはほとんどなく、日々少しずつ上がったり下がったりします。
こうした価格の動きは、国内外の経済情勢や市場の変化によって大きく左右されます。
とくに、海外資産に投資しているファンドの場合、為替相場の変動が基準価格に大きく影響することもあるため、急に下がったと感じることもあるかもしれません。
しかし、それは投資信託の特性であり、あくまで一時的な変動です。
長期的な視点で見ると、短期の価格差に振り回されない姿勢がとても大切になります。
見るべきタイミングは夜か翌朝
基準価格は1日1回、取引終了後に更新されるため、日中にアプリやサイトを見ても前営業日の価格しか反映されていないことがほとんどです。
基準価格を正しく把握したい場合は、18時以降や翌朝にチェックするのがおすすめです。
このタイミングなら、その日の新しい基準価格が反映されており、より正確な資産状況を確認できますよ。
基準価額で割安・割高などの判断はできない
投資信託の基準価格は、株式の株価のように、数値だけを見て「今は安い」「今は高い」と判断するものではありません。
たとえば、基準価格が12,000円の投資信託と、20,000円の投資信託があったとしても、その数字の大小は割安・割高とは関係がありません。
なぜなら、これはファンドがどのくらいの資産を保有しているか、どのような運用をしているかによって決まるものであり、価格だけでは本質的な価値は判断できないからです。
基準価額は相対的な評価には使えず、あくまでそのファンド内での評価額であることを覚えておくとよいでしょう。
投資信託の基準価格に関するよくある質問
最後に、投資信託の基準価格に関してよくある質問をお答えしていきます。
Q1. 15時を過ぎて注文したら、どの基準価格になりますか?
15時を過ぎて投資信託を注文した場合、その日の取引としては受付されず、翌営業日分として扱われます。
基準価格は注文日の翌営業日に計算されるので、約定はさらにその次の営業日になります。
この15時の締切は、証券会社ごとにカットオフタイムとして定められており、それを過ぎると自動的に翌日受付に切り替わります。
タイミングによっては、週末や祝日を挟むことで、想像以上に約定日が先延ばしになることもあるため注意が必要です。
Q2. 買うタイミングを見極めるには、どうすればいい?
投資信託は、株式のように「今が安いから買いだ!」というリアルタイム判断ができない商品です。
なぜなら、価格が後から決まる後決め方式だからです。
そのため、短期の価格変動を気にして注文のタイミングをはかるよりも、長期的な積立や分散投資を通じて平均購入価格をならしていくことが基本的な戦略となります。
Q3. 土日や祝日は基準価格の更新はありますか?
土日や祝日は更新がありません。
基準価格は、日本の取引所が開いている平日の営業日にのみ計算・更新されます。
金曜日に注文を出した場合、その日の基準価格が出るのはその夜ですが、約定は翌週の月曜日となります。
また、月曜日が祝日だった場合は、さらに火曜日以降にずれ込むことになります。
週末や連休を挟むと、確認できるタイミングも後ろ倒しになるため、投資初心者の方は少し余裕を持って資産の動きを見る姿勢が大切です。
まとめ
投資信託の基準価格は、株価のようにリアルタイムで動くものではなく、1日1回、取引終了後に算出される価格です。
注文を出した時点では価格がわからず、タイムラグによって損したように見えることもありますが、それは仕組み上当然のことです。
価格の動きに一喜一憂せず、夜や翌朝に冷静にチェックすることがポイントです。
長期目線で資産形成に取り組むことで、日々の変動に惑わされず、安定した投資を継続できますよ。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。