これから投資を始めようというタイミングで、「どのくらいのお金を投資に回すべき?」と悩む方は多いでしょう。
年齢や投資の目的によって割合は変わるため、一概に「この割合がよい」とは言い切れません。
そこで今回は、どのような割合にすればよいのか考えるときに役立つ要素を解説します。
貯金と投資の割合を決める3つの方法
まずは、何を基準に割合を決めるべきかポイントをお伝えします。
基本的には、以下の3つの考え方で貯金と投資の割合を決めましょう。
- 手元の資金を用途ごとに分類する
- 投資の目的とゴール金額を決める
- リスク許容度を設定する
手元の資金を用途ごとに分類する
投資を始める際にまずやるべきことは、手元の資金の分類です。
基本的には、3つにわける方法をおすすめします。
1つ目は、「使うためのお金」です。
これはいわゆる生活費で、家賃や水道光熱費、交際費、住宅ローンなど、毎月必ず発生する支出をまかなうお金を指しています。
これがなければ生活が成り立たないため、このお金を投資に回すことはできません。
2つ目は、「万が一に備えるためのお金」です。
怪我や病気は誰にでも起こりうることですし、勤め先が倒産したり業績悪化で給与が下がったりすることもあります。
保険に入っていてもすぐにキャッシュが入るとは限らないので、こういった万が一のシーンでも生活を守れるようお金を備えておくこと必要です。
このお金はある程度は投資に回すこともできますが、半年分程度の生活費は貯金として確保しておきましょう。
3つ目は、「将来のためのお金」です。
結婚式や出産、住宅購入などのライフイベントでは、大きな支出が発生します。
また、年金だけで生活することが難しい今、老後に使えるお金も必要です。
その時に備えて、将来のためにお金を準備しておきましょう。
これは直近でキャッシュが必要になるわけではないため、貯金だけでなく投資で準備する方法がおすすめです。
投資の目的とゴール金額を決める
投資をする際、なぜお金が必要か目的を明らかにしましょう。
目的を達成するのに必要なお金を算出し、ゴールとなる金額を決めてください。
目的とゴールを決めることで、達成までにどのくらいの時間がかかるのかが見えてきます。
ちなみに、投資についてのリサーチによると全体の半数を超える53.2%が、投資の目的を「老後に備えるため」と回答しています。
引用:みんなのマネ活「投資の目的は?どんな資産を持っている?投票結果からわかった、投資にまつわるリアルな話」
他にも、子供の教育費用や住宅の購入などが考えられるでしょう。
リスク許容度を設定する
リスク許容度とは、「自分はどのくらいの損失を受け入れられるか」という基準です。
事前に決めておくことで、焦って拙速な売却をしてしまったり、必要なお金までなくなってしまったりといったことが避けられます。
リスク許容度を決める際、資金が必要な時期までの期間が長いほど大きくなります。
また、投資経験が豊富な人ほどより許容ができます。
ほかにも、家族構成や年収などを鑑みて決定しましょう。
目的別の貯金・投資割合の決め方
上記3つの整理が終わったら、いよいよ貯金と投資の割合を決めていきましょう。
まずは、目的別の割合の決め方を解説します。
老後資金
老後資金を目的とする場合、まず何歳で退職するかを考え、日本人の平均寿命をもとに年金生活が何年続くかを算出します。
次に、世帯として毎月どのくらいの年金が入ってくるかを割り出してください。
2022年のデータによると、70歳以上の消費支出額は23万7203円だったため、退職から寿命までの年数で「老後にいくら必要か」を出します。
引用:統計局「家計調査報告家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
将来、自分がどのくらい年金をもらえるかを調べ、必要な金額から差し引くと「自身で準備しなくてはならない老後資金」がいくらかわかります。
最後に、現在の貯金額から老後に必要な金額を差し引くと、これからいくら準備しなくてはいけないかがわかるでしょう。
この金額が少額であれば貯金の割合が大きくてもよいですが、多くの資金を貯めなくてはいけないとなると投資の割合を増やす方がおすすめです。
※年金生活は女性の平均寿命が87歳であるデータから逆算
上記の場合、1年で50万円ずつ貯金すると、退職を迎える65歳までに貯金額は1000万円となります。
不足分は380万円と少額なため、投資割合は半分以下でも事足りるでしょう。
同じ年齢でも、「個人事業主のため厚生年金がもらえず毎月の収入がもらえる年金の額は半分以下になる」「貯金がほとんどない」といったケースではより多くの金額を自分で用意しなくてはならないため、投資割合が大きくなる可能性があります。
住宅資金
住宅資金を目的とするのであれば、まず購入する住宅の条件を整理し、いくつかの候補を洗い出します。
一般的に住宅購入の場合は全体金額の2割を頭金として支払う必要があります。
さらに引っ越し費用や家具家電の購入で物件の3~10%ほど初期費用としてかかるため、それだけの金額はキャッシュで用意しましょう。
頭金と初期費用を支払った上でいくら必要になるかを算出し、残額が大きければ投資の割合を大きくしてお金を増やしながら返済していく方法がおすすめです。
教育資金
教育資金のため投資を始めるのであれば、まず子供の人数と一人あたりにかける教育費の上限を決めます。
教育費は進学先が公立か私立かで大きく変わります。
例えば幼稚園から高校まですべて私立であれば446万6655円、すべて公立であれば156万9462円が必要です。
さらに大学進学では、私立か公立か、文系か理系か医歯学系かによっても異なります。
必要な金額を割り出したら、それぞれの入学タイミングでいくら必要かを整理し、「〇年後に〇万円を準備する」という計画を作りましょう。
例えば「幼稚園や小学校入学など直近の費用は貯金で賄い、大学進学までに投資で増やす」といった計画を立てた際には、まずは貯金割合を大きくし、幼稚園と小学校の費用がたまった段階で投資割合を大きくするといったことが可能です。
ステータス別の貯金・投資割合状況
目的以外にも、ご自身のステータス次第で貯金と投資の割合は変わります。
自分の年齢や世帯状況に合わせて割合を設定しましょう。
年代別割合:若いほど貯金割合が高い
引用:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]」
年代別に見てみると、若い人ほど貯金の割合が高い傾向です。
特に20代は51.4%が預貯金となっており、資産全体の半分以上を現金として寝かせています。
そのため、貯金と投資の割合を決める際は、年を追うごとに投資の割合を増やしていく方がおすすめです。
年収別割合:高収入世帯は貯金割合が低い
引用:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]」
年収別に見てみると、収入が大きければ大きいほど、貯金割合が低くなっています。
これは、収入が高いほど「使うためのお金」を用意しやすく、投資に回す余裕が持ちやすいためと考えられます。
表を目安に、収入が上がるタイミングで投資割合を増やしてみるとよいでしょう。
地域別割合:関東地方は貯金割合が低い
引用:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]」
地域別で見てみると、最も預貯金割合が大きいのは北海道でした。
北陸地方や中部地方は、預貯金よりも債権や株式を持っている傾向です。
自分の暮らす地域に合わせて、投資の割合を決めるのも一手でしょう。
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まとめ
今回は、貯金と投資の割合について解説しました。
どの程度の割合にするか悩んだら、まずは手元の資金を整理するところから始めてみてください。
また、投資初心者の方はいきなり多額のお金を回すより、初めは慣れることを目的に少額からスタートした方が安心でしょう。
どうしても決められずに悩んだら、ファイナンシャルプランナーなどお金のプロに相談するのも有効です。
これからしっかり資産を形成するため、ぜひ前向きに検討してください。
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