株価チャートを見ていて、「底を打って反発しそうな形だな」と感じたことはありませんか?
そのようなときに現れる典型的な形が「ソーサーボトム」です。
ソーサーボトムは、安値圏で長い時間をかけて底を形成したあと、上昇トレンドへ転じる可能性を示すチャートパターンです。
形状が受け皿(ソーサー)のように緩やかなカーブを描くことから、この名前で呼ばれています。
本記事では、ソーサーボトムの意味と特徴、見極め方、だましの回避方法までをわかりやすく解説します。
トレンド転換をチャートから読み取りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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ソーサーボトムとは

ソーサーボトムとは、安値圏でゆるやかな底を描いたのち、株価が上昇に転じるチャートパターンです。
受け皿や鍋底のような形状をしており、長期にわたって形成されるのが特徴です。
このパターンが出現すると、市場では「売りが一巡して買いが優勢に変わりつつある」と判断されます。
底打ちを示すシグナルの一つとして、多くの投資家が注目しています。
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安値圏で出現するパターン

ソーサーボトムは、相場の安値圏で現れやすいパターンです。
急落後に横ばいの推移が続き、徐々に下値が固まってくる段階で形が整っていきます。
このとき、売り圧力が弱まり、買いが少しずつ入り始めている状況が背景にあります。
その結果、チャート上に丸みを帯びた「底」が形成されるのです。
底ができあがるまでには時間がかかりますが、裏を返せば「しっかりとした反転の準備期間」が整っているともいえます。
上昇トレンドへの転換を示すサイン
ソーサーボトムの完成は、上昇トレンドへの転換を示唆します。
底が形成されたあとに、出来高を伴って株価が上向き始めると、買い勢力が明確に強まっていると判断できます。
特に、プラットフォーム(短期の保ち合い)を経てネックラインを上抜ける動きが確認できれば、本格的な上昇トレンドが始まった可能性が高いです。
この上抜けがソーサーボトム完成の最終シグナルになります。
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ソーサーボトムができる理由
ソーサーボトムができる理由を、時系列順にみていきましょう。
ソーサーボトム完成までの流れは以下の通り。
- 買いと売りがせめぎあうことで底が形成
- 出来高増加とともにプラットフォームが形成
- ネックラインを超えるとともに一気に買いが勝つ
市場の背景を理解すれば、よりトレードも自信を持ってスピーディーに進められますよ。
買いと売りがせめぎあうことで底が形成

まず最初に、安値圏まで株価が下がってきたところで、買いと売りのせめぎあいが始まります。
このせめぎあいによって、ソーサーボトムの底が形成されるのです。
安値圏になって買いが出てくる理由は、「株価が底まで落ちてきたら、そこからは上昇するはずだから買いを入れよう」と待ち構えている投資家が多いからです。
また空売りを入れていた投資家が利確をすることでも、買いは増加します。
出来高増加とともにプラットフォームが形成

徐々に買いの勢力が強まっていき、出来高増加とともにプラットフォームが形成されます。
プラットフォームとは、短期的な保ち合いのことであり、投資家たちが「これはソーサーボトムになるかどうか」判断している期間です。
「これはソーサーボトムになる!」と判断する投資家が多ければ買い優勢になって株価上昇へつながりますし、逆に「これはソーサーボトムじゃない、下部か下がりそうだな」と判断する投資家が多ければ売り優勢になって株価下落へつながります。
ネックラインを超えるとともに一気に買いが勝つ

プラットフォームで形成されるネックラインを超えたところで、一気に上昇トレンドが発生します。
ネックラインとは、プラットフォームでの高値を結んだラインのこと。
そこのラインを超えるかどうかで、ソーサーボトムが完成するかどうか決まるのです。
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ソーサーボトムの買い時
ソーサーボトムの買い時は、大きく2つあります。
なかでも初心者にオススメなのが、「プラットフォーム部分のネックラインを抜けたとき」です。
ソーサーボトムが完成したのを確認してから買いを入れられるため、株価上昇の可能性が高い段階で買えますよ。
プラットフォーム部分のネックラインを抜けたとき

プラットフォーム部分のネックラインを抜けたとき、ソーサーボトムの買い時であるといえます。
形の完成を確認してからエントリーできるため、だましを避けやすいです。
東京電力ホールディングス(9501)の例を見てみましょう。

横ばいトレンドからの上昇のあと、短めですがプラットフォームが形成、ネックラインを抜けて株価が上昇しています。
買い時を逃さないでおけば、大きな利益を狙いに行けることがわかります。
底部分にできたネックラインを抜けたとき

より大きな利益を狙いたい方は、底部分にできたネックラインを抜けたタイミングで買いを入れましょう。
ソーサーボトムの底部分を作る起点となった高値にネックラインを引き、底を抜けたときが買い時です。
とはいえ、早めのエントリーである分、だましにあってしまう可能性も高くなります。
他の指標でも分析したうえで、株価上昇の可能性が高いと判断できる場合にエントリーするようにしましょう。
IMAGICA GROUP(6879)の例を見てみましょう。

プラットフォームでのネックラインを超えたタイミングで買っていれば、420円当たりのラインで買うことになります。
底部分にできたネックラインを超えたタイミングで買うことで、360円当たりで買えるため、その分利益が狙いに行けるわけですね。
だましにあわないソーサーボトムを見極めるポイント
ソーサーボトムにはだましも存在します。
「株価が上がると思ったら下がった…」なんてことにならないよう、ソーサーボトムの見分け方を押さえておきましょう。
プラットフォーム形成・そこからの上昇時に出来高が増加している
プラットフォームが形成されている、かつそこからの上昇時に出来高が増加しているかどうかを確認しましょう。
どちらも確認できなければ、だましである可能性が高いです。
特に出来高の上昇を伴っているかどうかは要チェック。
出来高が多いということは、それだけ投資家たちの動きも大きいわけですから、トレンドが変わる可能性も高くなります。
パターン完成を待つ
パターン完成を待っておくことで、だましに合うのを避けましょう。
底ができたあたりで「ソーサーボトムになりそう」とエントリーするのは危険です。
ソーサーボトムの形が確認出来てからエントリーすれば、だましに合う確率は下げられますよ。
ほかの指標でも分析する
ほかの指標でも分析しておくことで、「株価上昇の可能性が高い」ことを確認しておきましょう。
さまざまな方向から分析すれば、それだけ分析の精度は上がっていきます。
だましに合わないためにも、できることはしておくと安心です。
移動平均線やローソク足の組み合わせで株価上昇のタイミングを確認できます。
相場流の技術「下半身」で、株価上昇のタイミングをチェックしておきましょう。
【相場式株技術用語】下半身・逆下半身とは?株初心者にもわかりやすく解説します
ソーサーボトムの注意点
ソーサーボトムで利益を狙いに行くときに、注意しておきたいポイントをまとめました。
損失を避けるためにも、注意点を事前に把握しておきましょう。
どこまで上昇するかわからず利益確定が難しい
ソーサーボトムは、上昇するタイミングを示すチャートパターンです。
一方で、どこまで上昇するかを判断するのが難しくなっています。
「もっと上がるんじゃないか…」と利益を狙いすぎて、そこから急落して損失で終わるケースは珍しくありません。
株価下落に切り替わるタイミングは見逃さないようにしましょう。
相場流では「逆下半身」で見極めるのがオススメです。
完成と判断するのが難しい
ソーサーボトムの完成がいつもハッキリとわかるわけではありません。
そろそろ完成かな、と思ったころには買い時を逃しているかもしれないのです。
またプラットフォームの期間にもばらつきがあります。
「よくわからないな」というときには、無理に買いを入れないようにしましょう。
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よくある質問Q&A
Q1. ソーサーボトムとカップウィズハンドルの違いは?
A. ソーサーボトムは「底を打って上昇する」形、カップウィズハンドルは「底を打ったあと再調整して上昇する」形です。
後者には“持ち手”にあたる小さな下げが含まれます。
Q2. ソーサーボトムの形成期間はどのくらい?
A. 銘柄や相場環境によりますが、数週間〜数か月単位でゆっくり形成されるケースが多いです。
短期間で急激に作られる場合は、信頼性が低くなります。
Q3. だましを防ぐために何を確認すればいい?
A. 出来高・移動平均線・RSIなど複数の指標を併用し、トレンド全体の整合性を見ます。
特に出来高の増加は、上昇の本格化を裏づける重要なサインです。
まとめ
ソーサーボトムは、安値圏で株価が底を固め、上昇トレンドへ転じる可能性を示すチャートパターンです。
ゆるやかなカーブを描く底が特徴で、ネックラインの突破によって転換が確認されます。
ただし、形成には時間がかかるうえ、だましも多いため、出来高の増加・形の完成・他指標との整合性を確認してから判断することが大切です。
上昇を狙う局面では、「どのタイミングで入るか」よりも「どこで撤退するか」を明確にしておくことが、結果的にリスクを減らす最善策となります。
チャートの“受け皿”を冷静に観察し、トレンドの初動を見逃さない目を養っていきましょう。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







