酒田五法は、数あるテクニカル分析の中でも長い歴史を持つ指標です。
今回は、酒田五法とはどのようなものか、具体的にどんな種類があるのかなどについて解説します。
活用法も紹介するので、これから株式投資で利益を出したい方はぜひ参考にしてください。
ローソク足チャートとは
まずは、株式投資の基本となるローソク足チャートについて簡単に解説します。
ローソク足とは、ある一定の期間における始値・終値・安値・高値を活用した一本の棒で、相場の状態や流れを可視化したものです。
ローソク足は、長方形の実態と、上に伸びた上ヒゲ、下に伸びた下ヒゲで構成されています。
基本となるローソク足は、以下の9種類です。
大陽線:買い方の大勝利、売り方の勢いが弱まり買いの勢いが続く
上影陽線:買い方の勝利であるが売り方の抵抗が強かった、安値圏では上昇への転換の示唆
下影陽線:買い方の抵抗が強く最終的にも買い方が勝利、安値圏では上昇への転換の示唆
小陽線:レンジ相場で出やすく、相場の迷いや様子見のムードを表す
寄引同事線:始値と終値が同じだった場合に出現する
上影陰線:売り方の抵抗が強く最終的にも売り方が勝利、高値圏では下落への転換の示唆
下影陰線:買い方に抵抗されたが最終的には売り方が勝利、安値圏では上昇への転換の示唆
小陰線:レンジ相場で出やすく、相場の迷いや様子見のムードを表す
大陰線:売り方の大勝利、買い方の勢いが弱まり売りの勢いが続く
ローソク足の基本的なパターンを徹底解説!ローソク足を使った投資方法も紹介
酒田五法とは
上記のローソク足の特徴を利用した代表的な分析手法のひとつが「酒田五法」です。
続いて酒田五法の概要を解説します。
酒田五法の定義
酒田五法とは、江戸時代に生まれたテクニカル分析です。
基本的に三山、三川、三空、三兵、三法の5つのパターンを組み合わせることで相場を読みます。
三兵と三川は三本足、三空と三山は複数足を使います。
酒田五法の歴史
酒田五法には長い歴史があり、徳川吉宗の時代に活躍した本間宗久翁によって考案されました。
相場の神様という異名を持つ彼は、ローソク足の考案者でもあります。
彼の残した投資手法は、現代まで300年もの間、世界中で活用されています。
酒田五法の種類と活かし方
酒田五法には、5つのパターンがあります。
それぞれ何を意味しており、どう活かせるか解説します。
三山
三山はさんざんと読み、相場の天井を見極めるためにつかわれます。
高値が3回突破できなかったら、ここからも突破できないというサインです。
特に、3つの山の中で真ん中が一番高いパターンを三尊と呼びます。
活用法としては、三山が出たら売りの合図です。
天井では逆張りを狙わず、順張りで売りましょう。
三川
三川はさんぜんと読み、三川明けの明星と三川宵の明星の2種類があります。
三川明けの明星は、下落相場において、大陰線が出た後に小陰線が出て、その後は大陽線が出る形です。
三川宵の明星は、大陽線が出た後に小陰線が出て、その後は大陰線が出る形です。
活用法として、下落トレンドで三川明けの明星が出たら、底打ちを意味しそこから上昇転換すると考えられます。
上昇トレンドで三川宵の明星が出たら、高値が警戒され下落転換すると考えられます。
三空
ローソク足とローソク足の間にできる空間を空と呼び、空が3回連続で出現するパターンを三空(さんくう)と呼びます。
三空踏み上げと三空叩き込みの2種類があります。
三空踏み上げは、上昇相場において三空が発生するパターンです。
上昇ギャップが続くと「一見強い買いサイン」にも思えますが、酒田五法の考え方では過熱状態だと捉えます。
そのため、いずれ下がることを見越して売りサインか警戒シグナルとなります。
活用法として、ここから下落すると考え売りに出るとよいでしょう。
しかし、一時的な押し戻しに過ぎずすぐに上昇することも考えられます。
三空叩き込みは、長く続いた下落相場の後に三空が発生するパターンです。
活用法として、悪材料が出たことから投げ売り状態になっていると考えられ、三空が出ると「売られすぎているからそろそろ反転上昇するだろう」と考えられます。
ただし、買い方の勢いが戻るのは一時的であることも多いため注意が必要です。
三兵
三兵はさんぺいと読み、陽線や陰線)が3本連続で出現するパターンです。
3本連続が比較的珍しいため、買い(または売り)勢力の勢いを示す重要なシグナルとされています。
3つ連続で陽線が出たら赤三兵、3つ連続で陰線が出たら黒三兵と呼びます。
買いと売りのどちらかが2日連続で優勢になることはままありますが、3日連続で出るのは非常に珍しいです。
売りか買いの一方に強く動く動機があったことを意味し、赤三兵は相場が強く黒三兵は相場が弱いと考えられます。
活用法として、安値圏で赤三兵が出たら買い、高値圏で黒三兵が出たら売りを選びましょう。
また、もみ合いが継続したあとに三兵が出たらそれまで続いたトレンドから別のトレンドに転換する合図です。
三法
三法とは、レンジ相場では取引をせず相場が動いたら再開するという方法です。
活用法は、上げ三法と下げ三法で異なります。
上げ三法では、レンジ相場の高値を上抜けたタイミングで、買いを仕掛けます。
下げ三法では、レンジ相場の間は取引を休み、安値を下抜けたら売りを仕掛けましょう。
酒田五法の注意点
酒田五法には、2つに注意点があります。
しっかり利益を出すために、気を付けましょう。
ダマシに気を付ける
ダマシとは、テクニカル指標のサインとは別の方向に相場が動くことです。
どのテクニカル指標にも発生しうるもので、酒田五法も例外ではありません。
三山、三川、三空、三兵、三法のどれにおいてもダマシが発生することはあります。
例えば、安値圏で3つ連続の陽線が出たため、赤三兵のセオリーに則って買いに走ったものの、そこまで上昇しなかったといったことは珍しくありません。
酒田五法だけを信用しすぎるとダマシに遭う確率が高まるため、他のテクニカル指標も見ながら分析するようにしましょう。
FXには向かない
株式投資に比べると、24時間いつでも取引できるFXは空が生まれることが少ないです。
そのため、酒田五法とFXは親和性が高いとは言えず、他のテクニカル指標を使った方が利益を出しやすいでしょう。
他のテクニカル指標と組み合わせる
株式投資でダマシを避けたい方は、FXで利益を上げたい方は、他のテクニカル指標を活用しましょう。
基本となるのは、移動平均線です。
これは特定の期間における終値の平均値をつないだ折れ線グラフです。
上向きなら上昇トレンドで、下向きなら下降トレンドとなっていることがわかります。
また、短期と長期2つの移動平均線を出し、短期線が長期線を下から上へ突き上げるとゴールデンクロスと呼ばれ、買いのサインとなります。
反対に、短期線が長期線を上から下に突き抜けると、デッドクロスと呼ばれ売りのサインです。
現在の相場の過熱感を知りたい時は、RSIを使いましょう。
RSIは、次のような計算式で求められます。
計算した結果、30%を下回っていたら、売られすぎており買いのシグナルとなります。
70%を上回っていたら、買われすぎており売りシグナルです。
このように、酒田五法以外のテクニカル指標を活用し、ここから買い方が強くなるか売り方が強くなるかなど、しっかり見極めましょう。
まとめ
今回は、酒田五法について解説しました。
江戸時代から伝わる酒田五法は、今や世界中で活用されているテクニカル指標です。
これから投資を始める方は、他のテクニカル指標とあわせながらぜひ活用してください。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。