「S株にはどんなデメリットがあるんだろう」と疑問に思っていませんか?
投資をはじめたばかりの方にとって、少額からはじめられるS株は魅力的なサービスですが、どのようなデメリットがあるのかわからないという方が多いようです。
そこで今回は、S株のデメリットや活用する際の注意点を紹介します。
また、S株がどんな人に向いているのかについても解説しました。
ぜひこの記事の内容を参考に、S株のデメリットを理解してご自身の投資に役立ててみてください。
S株とは
S株とは、通常100株単位でしか買えない国内株式を1株から購入できるサービスです。
株式市場では「単元株制度」というルールがあり、最低購入単位が100株に設定されているため、株に投資するならまとまった資金が必要になります。
ですが、S株なら1株〜99株の範囲で取引できるので、少ない金額でも投資をはじめられます。
たとえば、株価1,000円の銘柄を買う場合、通常は100株購入しなくてはならないため10万円必要ですがS株なら1株1,000円から投資可能です。
上記のようにまとまった資金がなくても、有名企業の株主になれるのがS株の魅力です。
※なお、単元未満株を指す名称は証券会社により様々ですが、本記事では100株未満の株をS株と呼びます。
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S株の5つのデメリット
S株には、投資する前に知っておくべきデメリットもあります。
本章では、以下のデメリットについて紹介します。
- リアルタイムで売買ができない
- 手数料が割高になる可能性がある
- 株主優待は対象外になるケースが多い
- 議決権がない
- リターンが小さくなりやすい
それぞれみていきましょう。
リアルタイムで売買ができない
S株のデメリットとして挙げられるのは、リアルタイムでの売買ができない点です。
証券会社によりますが、S株は注文してから約定(売買成立)するまでにタイムラグがあるため希望する価格で注文が成立しない場合があります。
たとえば、マネックス証券の場合だと注文の期限が当日の11:30までで、後場の始値でのみ約定する仕組みになっています。
そのため、思ったより高い価格で買ったり、安い価格で売られてしまったりする可能性が高いです。
S株はリアルタイムの価格で売買できないため、タイミングを重要視する投資には不向きです。
手数料が割高になる可能性がある
S株での取引は、通常の株式取引に比べて手数料が割高になる場合があります。
なぜなら、約定代金に対して最低手数料が設定されていることがあるからです。
たとえば、マネックス証券の最低手数料は52円に設定されています。
1株500円の株を購入・売却すると、約定代金の1割を超える52円もの手数料がかかってしまい、投資金額の10%以上が手数料として差し引かれます。
上記のように、S株の取引では投資額が少額な分、手数料割合が大きくなる場合があると理解しておくのが重要です。
株主優待は対象外になるケースが多い
S株を保有していても、株主優待を受け取れない場合がほとんどです。
多くの企業では、単元株(100株単位)以上を保有している株主のみを株主優待の対象としているからです。
100株以上が優待対象とされている企業の場合、10株や1株単位で購入できるS株だけを保有していても、株主優待は受け取れません。
そのため、株主優待目的で株式を購入する場合は、S株ではなく単元株を保有する必要があります。
ただし、一部の企業では1株からでも株主優待を受けられる会社もあるので、条件が気になる場合は事前に会社HPで確認しておきましょう。
議決権がない
S株には、議決権がない点もデメリットの1つです。
議決権とは、株主総会で会社の経営方針など、決議事項に対して意見を述べたり投票したりできる権利を指します。
単元未満株であるS株は、原則として議決権が認められていません。
そのためS株を保有していても、取締役の選任や会社合併など株主総会での決議事項に関与できない場合がほとんどです。
議決権がないのは、会社経営に参加したい方にとってデメリットとなります。
リターンが小さくなりやすい
S株への投資は、リターンが小さくなりやすい点がデメリットです。
S株は1株単位で少額から購入できますが、その分投資額自体が小さくなり、値上がり益や配当金から得られるリターンも限定的になります。
たとえば、1株あたりの配当金が年間50円の銘柄を保有しても、S株では1株分しか受け取れず、配当収入はごくわずかになります。
また、株価が大きく上昇しても投資している株式数が少ないため、得られる利益は限定的です。
そのため、大きなリターンを期待する場合はある程度まとまった投資額が必要になると理解しておきましょう。
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S株はどんな人に向いている?
S株は、少額から個別株投資をはじめたい人や投資経験を積みたい人に向いています。
S株なら分散投資をしてリスクを抑えながら、配当金を受け取ったり値上がり益を享受できたりする可能性があるからです。
また、1株単位で購入できるので、まとまった投資資金がない方でも手軽に株式投資をスタートできます。
そのためS株の取引は、少額での分散投資でリスクを抑えながら個別株で投資の基本を学びたい初心者の方に適しています。
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S株のデメリットを知りたい人によくある質問
本章では、S株のデメリットを知りたい人によくある質問について解説していきます。
- S株に投資するときの注意点は?
- S株のメリットは?
- S株が100株になるとどうなる?
それぞれみていきましょう。
S株に投資するときの注意点は?
S株に投資するときの主な注意点は、以下の2つです。
- S株が取引できる証券会社は限られている
- 小口投資であっても管理を怠ると損失が出やすい
それぞれ解説していきます。
S株が取引できる証券会社は限られている
S株が取引できる証券会社は限られており、すべての証券会社でS株投資ができるわけではありません。
主要ネット証券の対応状況をみてみましょう。
証券会社 | 単元未満株取引対応 |
SBI証券 | 対応 |
楽天証券 | 対応 |
マネックス証券 | 対応 |
三菱UFJ証券 | 対応 |
松井証券 | 非対応(売却のみ可能) |
上の表のように、大手証券会社でも対応状況が異なります。
S株投資をはじめる際は、S株を取り扱っている証券会社を選び、自分に合ったサービス内容や手数料体系をしっかり比較検討することが大切です。
小口投資であっても管理を怠ると損失が出やすい
S株での小口投資でも、管理を怠ると損失が発生しやすくなります。
小口投資は「少額だから大丈夫」という油断から、保有銘柄の状況確認を怠りやすくなるためです。
たとえば、業績悪化のニュースが出て企業の株価が急落しているのに警戒心を緩めて放置していると、気づいたときには投資元本の大部分を失ってしまうケースがあります。
上記のような場合があるため、S株への少額投資でも管理をしっかり行うのが、損失を抑えるポイントです。
S株のメリットは?
S株には、デメリットばかりではなく魅力的なメリットもあります。
本章で紹介するメリットは、以下のとおりです。
- 投資初心者でもはじめやすい
- 分散投資がしやすい
それぞれ詳しくみていきましょう。
投資初心者でもはじめやすい
S株のメリットとして挙げられるのは、初心者でも個別株投資をはじめやすい点です。
通常の株式購入では「単元株」(100株単位)以上をまとめて買う必要がありますが、S株は1株単位で購入できるため、まとまった資金がなくても投資をスタートできます。
たとえば、1株数百円から数千円の銘柄が多く必要な資金が少額なので、株価が高い有名企業でも1株だけでの購入が可能です。
「投資に興味はあるけど、いきなり大金を使うのは心配」という方でも安心してはじめられるのがS株の魅力です。
分散投資がしやすい
投資資金を分散しやすい点も、S株のメリットです。
S株は1つの銘柄を少額で購入できるため、複数の銘柄に投資しやすいです。
たとえば10万円の投資資金しかない場合、通常の単元株では多くても2社程度しか買えませんが、S株なら10社近くの銘柄に分散投資ができます。
そのため、投資資金が少なくてもリスクを抑えたポートフォリオの構築をできるのがS株の魅力です。
S株が100株になるとどうなる?
S株が100株に達すると単元株となり、投資の選択肢が広がります。
たとえば、指値や逆指値など注文方法が多様になり、より柔軟な投資戦略を立てられるようになります。
また、議決権も獲得できるため、株主総会に参加し経営方針への関与も可能です。
なお、S株を買い増して合計100株になった場合は「単元未満株」から「単元株」へ自動的に振り替えられる場合が多いです。
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まとめ
今回は、S株のデメリットや活用する際の注意点について解説しました。
S株は1株から購入できる魅力的なサービスですが、特に約定のタイムラグや手数料の割合が高くなりやすい点は、投資成果に直接影響するため十分な理解が必要です。
また、S株を取り扱っている証券会社は限られており、小口投資であっても適切な管理を怠ると損失リスクが高まることも覚えておきましょう。
一方で、S株は投資初心者でもはじめやすく、少額での分散投資を可能にするメリットもあります。
まとまった資金がなくても有名企業の株主になり、リスクを抑えながら投資経験を積めます。
S株への投資を検討する際は、デメリットとメリットを総合的に判断し、ご自身の投資目的や資金状況に合わせて活用するのが重要です。
今回解説した内容を参考に、S株の特性を理解した上で賢明な投資判断を行っていただければ幸いです。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。