株式投資を始めたばかりの方は、「どの指標に注目して、どうしたら売却・購入すればいいのだろう」と不安を感じることも多いですよね。
一概に「これだけを見ておけば大丈夫」というものはりませんが、それでも注目すべきポイントはあります。
それが、ゴールデンクロスです。
今回は、ゴールデンクロスとは何か、どのように活用すればよいかについて解説します。
ゴールデンクロスを理解するために必要な知識
ゴールデンクロスが何かを理解するためには、前提知識として「株価チャート」と「移動平均線」について知っておかなくてはなりません。
それぞれの概要を簡単に解説するので、初めに押さえておきましょう。
株価チャートとは
企業は資金を集めるために投資家に向けて株式を発行しており、株価とは1株当たりの価格を指しています。
金額は固定ではなく日々変動し、数百円のものもあれば数万円以上のものもあります。
この株価を知るために重要なものが、株価チャートです。
株価チャートには日ごと、週ごと、月ごとの株価がグラフ化されており、ローソク足という特殊な表現で動向を読むことができます。
移動平均線とは
株価チャートを見るときポイントとなるのが移動平均線で、これは特定の期間において終値の平均値をつないだ折れ線グラフです。
引用:MINKABU「株式指標 三菱UFJフィナンシャル・グループ」(2025年2月28日時点)
移動平均線には、3つの種類があります。
- 単純移動平均線:算出したい期間の平均を示し、市場における大きなトレンドの動きがわかる
- 加重移動平均線:過去に向かって重みを小さくし、緩やかな動きの相場で役立つ
- 指数移動平均線:現在の価格に重みをもたせ、市場の変化を素早く反映する
それぞれ異なる特徴がありますが、初心者の方はまず、実際の株価が連動することの多い単純移動平均線に注目するとよいでしょう。
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ゴールデンクロスとは
移動平均線の活用方法として、ゴールデンクロスというものがあります。
これはどのようなものか、内容を解説します。
ゴールデンクロスの意味
移動平均線は、数日程度の短い期間を取る短期移動平均線(短期線)と、数十週間から数か月など長い期間を取る長期移動平均線(長期線)があります。
ゴールデンクロスとは、短期線が長期線を下から抜けて交差することです。
一般的に、これから相場が上昇傾向になるサインだと評価されます。
相場の動きが視覚的に理解できるため、初心者の方もゴールデンクロスに頼って購入・売却するケースが多いです。
また、ゴールデンクロスを調べるためにどの程度の短期・長期線を取るかは人によって異なります。
日足で見る場合、短期は5日、長期は75日を取ることがよくあるでしょう。
週足では9週と26週、月足では12か月と60か月とすることもありますが、あまりに長期だと適切に相場を判断することが難しいです。
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デッドクロスとの違い
デッドクロスとは、短期線が、長期線を上から下に突き抜ける動きのことです。
ゴールデンクロスとは真逆の動きであり、売りのサインだとされています。
どの程度の短期・長期線を取るかは、ゴールデンクロスと同じです。
レンジ相場で使いやすいRSIやMACDと相性がよく、合わせて活用することでより正確に相場を読めるようになるでしょう。
ゴールデンクロスを活用するポイント
ゴールデンクロスは、具体的にどのように活用すればよいのでしょうか。
落とし穴にはまらないため、気を付けるべきポイントを解説します。
ダマシに注意する
ダマシとは、「ゴールデンクロスが出たが、実際には買いのタイミングではない」ことです。
特に初心者の方がハマりやすく、「短期移動平均線が長期線を抜けたから、すぐに買わなくては」と慌てて買いを進めると、損をしてしまうケースは珍しくありません。
特に注意したいのが、長期線が下向きの状態で短期線が下から上に突き抜けているケースです。
例えば、企業が不祥事を起こすなどして株価が急落した後、盛り返して回復するV字型の相場になっているとき、短期線が突き抜けることがあります。
この場合、まだ買い相場であるとは言い切れず、ダマシとなることも多いです。
また、短期線と長期線の交差する確度が緩やかであるほど信頼できず、ダマシであるリスクが高まります。
一方で、短期線と長期線ともに上向きの状態で短期線が突き抜けていれば、ダマシではなく実際に株価が上昇する可能性が高いです。
ただ交差したかだけを見るのではなく、前後の相場状況も含めて判断しましょう。
他の情報とあわせて使う
ゴールデンクロスは単体で活用するのではなく、他の指標とあわせることでより信頼性が高まります。
なかでもおすすめなのが、ボリンジャーバンドです。
ボリンジャーバンドとは、移動平均線と標準偏差からなるもので、移動平均線との上下に値動きの幅を描きます。
統計学的には価格変動はそのバンドの中に収まり、相場が激しく動いているとバンドの幅は広がります。
RSIもおすすめの指標です。
RSIとはRelative Strength Indexの略で、相対力指数を表わしています。
現在の相場で、買われすぎているのか売られすぎているのかが判断できるものです。
RSIは、{一定期間の上げ幅合計÷(同期間の上げ幅合計+同期間の下げ幅合計)}× 100で計算されます。
算出された数値は70以上であれば買われすぎ、30以下であれば売られすぎと判断されます。
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長期トレンドを確認する
ゴールデンクロスを上手く活用するには、短期的に見るだけではなく長期トレンドもチェックすることが重要です。
週足チャートなども使い、常に「今、長期的に見てどのような動きをしているのか」を頭に置いておきましょう。
例えば、ゴールデンクロスが発生しても長期的に見たら下降トレンドの場合、ダマシである可能性が考えられます。
長期トレンドで見ても上昇傾向であれば、より信頼できると言えるでしょう。
レンジ相場に注意する
レンジ相場とは、一定の幅の中で価格が何度も変動する状態です。
決定的な材料がなく、相場の見通しが立たないときによく発生します。
一般的にはサポートラインと呼ばれるレンジ幅の下限で買って、レジスタンスラインと呼ばれる上限で売るのがセオリーですが、幅を抜けるときに大きな動きを見せることがあるため注意が必要です。
レンジ相場のときには、ゴールデンクロスが発生してもすぐに反転することが多く、あまり信用できません。
ダマシになるケースも多いため、注意が必要です。
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まとめ
今回は、ゴールデンクロスについて解説しました。
ゴールデンクロスはわかりやすい指標ではありますが、他の指標同様、絶対的に信頼できるものではありません。
まずは「ゴールデンクロスが発生したら買い有利」という基本を抑えつつ、移動平均線の傾きを必ずチェックしましょう。
株式売買においては、短期線と長期線のどちらが上にあるかを常に把握しておくことが重要なので、初心者の方もまずはここから徹底してください。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。