「景気が良いのか悪いのかって、どうやって分かるの?」
「毎月景気についてのニュースを見るけど、どうやって調べているの?」
「今の日本は景気が悪いの?いつ良くなりそうなの?」
ニュースでは「景気」についてよく報道されていますが、「何となく景気が悪そう」など、景気について漠然としたイメージを持つ人も少なくないようです。
経済状況を正確に把握するためにも、実際にどのようにデータを活用して景気判断を行っているのか、ぜひ知っておきましょう。
今回は経済全体の動向を把握するために役立つ、景気に関する経済指標を解説します。
景気動向指数とは
景気を理解するために最も重要な経済指標が「景気動向指数」です。
景気に関する総合的な指標で、景気全体の現状を把握したり、将来の動向を予測するときなどに使われます。
新聞やニュースでは、よく「景気が悪い」とか「景気が良い」といった言葉を耳にしますね。
これは具体的にはどういうことでしょうか。
景気とは経済活動全般の動向のことで、景気が良いときは全体的にビジネス(商売)がうまくいっていて、社会が明るい雰囲気になります。
逆に景気が悪いと商売がうまくいかず、社会は不景気でどんよりとした雰囲気になってしまいます。
一見、景気は漠然としたイメージのようにも感じられますが、景気動向指数を知ることで、景気の状況をより正確に把握することができるのです。
景気動向指数は、産業や金融、労働といった経済に重要で、景気に敏感な28項目の景気指標をもとに算出され、内閣府から毎月発表されています。
景気動向指数は、景気全体の動きが分かるという点で、前回解説したGDPと似ているともいえます。
しかし四半期ごとの動きしか把握できないGDPに対し、景気動向指数は毎月公表されているため、いちはやく景気の動向を把握できるというメリットがあります。
CIとDI
景気動向指数には、CI(Composite Indexes:コンポジット・インデックス)と、DI(Diffusion Indexes:ディフュージョン・インデックス)があります。
CIは景気動向の大きさや変動のペースなど「量的」な把握を可能にするもので、DIは景気動向の方向性を示す指標です。
主に使われるのはCIの方で、景気が拡張局面と後退局面のどちらにあるのか、だいたいの判断ができ、景気変動のペースも把握できます。
2015年を100として、前月の指数が大きく増えていれば景気回復が急ピッチであると判断されます。
いっぽうDIは景気の方向性を把握でき、景気の各経済部門への影響度も測ることができます。
DIを構成する経済指標のうち、上昇を示す指標の割合が数か月連続して50%を上回っていれば「景気拡大」、下回っていれば「景気後退」と判断されます。
ただしDIは景気変動の大きさを把握できないため、現在はCI程の注目度はなく、参考値として公表されるにとどまっています。
CIとDIには、それぞれ景気に数か月先んじて動く「先行指数」と、一致して動く「一致指数」、そして遅れて動く「遅行指数」があります。
なかでも特に注目度が高いのが「CI一致指数」と「CI先行指数」です。
CI一致指数で景気の現状をつかみ、CI先行指数で景気の先行きを予測するといった使われ方が一般的です。
いっぽう遅行指数は、景気を事後的に確認するために使われますが、注目度は高くありません。
景気局面の判断は、一般的にCI一致指数によって行われ、CI一致指数が上昇傾向にあれば「景気の拡張局面」、低下傾向にあれば「景気の後退局面」と判断されます。
山や谷といった景気の転換点はCI一致指数の動きとだいたい一緒で、CI一致指数の変化の大きさからは、景気の拡張や後退のテンポを把握することができます。
内閣府は毎月、CI一致指数に基づいて景気の暫定的な基調判断を発表しています。
あらかじめ定められている一定の基準にもとづいて、現在の景気が「改善」「足踏み」「下方への局面変化」「悪化」「下げ止まり」「上方への局面変化」のうちどれに該当するか評価するものです。
数値に基づく機械的な評価なので、余計な主観が入らない客観的な判断を知ることができます。
例えば2021年12月7日に内閣府が発表した景気動向指数の速報値は、CI一致指数が前月比1.2ポイント高い89.9となり、4か月ぶりに上昇しました。
また基調判断は「足踏み」に据え置かれました。
4か月ぶりの上昇となった背景には、新型コロナウイルス感染拡大による部品の供給不足が緩和され、自動車の生産や出荷が伸びたことなどが要因となっていると分析されています。
このように毎月の景気動向指数からは、最新の経済状況を把握することができるのです。
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まとめ
経済指標にはさまざまな種類がありますが、経済の一部分を示すものも多く、景気全体の動向を把握するのが難しい場合があります。
そこで経済全体の動向を把握するために、生産や雇用、消費など多くの経済指標をあわせてひとつの経済指標にしたものが「景気動向指数」です。
景気動向指数には、景気変動の大きさやテンポなど「量感」を示すCIと、景気変換点や景気局面などの「方向性」を示すDIがあり、主にCIが使われています。
景気動向指数は、特に多くの指標をチェックする時間がない人には、非常に便利な指標なので、ぜひチェックしておくようにしたいですね。
毎月内閣府から発表される景気動向指数は、その背景とともにニュースで解説されることが多いので、ニュースのチェックを毎月のルーティンに加えてみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。