「MACDだけで勝てるのか」を調べると、断定的な意見が並びがちです。
本記事では、MACDの基本構造と読み方、機能しやすい相場と限界、設定値の考え方、0ライン×GC/DCの一般的な見方を整理します。
さらに、だましを減らす最小限のチェックリストや、検証・記録の型までまとめました。
仕組みと手順を理解し、落ち着いて活用するための入門ガイドです。
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MACDとは何か
MACDは、短期と長期の移動平均(一般に指数平滑移動平均=EMA)から算出されるオシレーターです。
価格の勢いの変化を数値化し、転換の兆しやトレンドの強弱を把握しやすくします。
主な構成は①MACDライン(短期EMA−長期EMA)、②シグナルライン(MACDラインの移動平均)、③ヒストグラム(MACDとシグナルの差分)、④0ライン(プラスとマイナスの境目)です。
一般的に、MACDがシグナルを下から上へ跨ぐ現象をゴールデンクロス(GC)、上から下へ跨ぐ現象をデッドクロス(DC)と呼びます。
ヒストグラムは両者の差を視覚化したもので、拡大は勢いの強まり、縮小は勢いの弱まりを示す目安になります。
株式投資はMACDだけで勝てる?
株式投資はMACDだけで勝てるかどうかですが、結論から言えば「勝てるがタイミングは多くない」です。
もちろん使い方を間違えれば勝てなくなってしまいます。
とはいえ、MACDだけよりも、他の指標も合わせて使ったほうが、勝てるタイミングは多くなります。
MACDだけでも勝てる?
MACDは、相場の過熱感がわかるテクニカル指標です。
主にゴールデンクロス・デッドクロスが売買タイミングとなるのですが、正しいやり方を理解していれば勝つことはできます。

上図は、トレジャー・ファクトリー(3093)の1年間のチャートです。
正しい買い時、空売りのタイミングを掴めば、利益を狙えていることがわかります。
もちろん、だましがないわけではありませんから、100%勝てるとは限りません。
とはいえ、積み重ねていけば最終的に「勝ち」で終えることは十分可能でしょう。
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勝てるタイミングは多くない
MACDが有効に機能するタイミングは、実はそれほど多くありません。
1つの銘柄に対して、明確な売買サインが出るのは年に数回程度というケースも珍しくないのです。
これは、MACDがレンジ相場(横ばい相場)に弱いという特性を持っているためです。
価格が一定の範囲で行き来する局面では、シグナルが頻発してもだまし(誤サイン)になりやすく、結果的に利益を出しにくくなります。
一方で、トレンドが明確に発生している相場ではMACDの強みが発揮されます。
勢いが継続している上昇・下降局面では、0ラインやゴールデンクロス/デッドクロスのシグナルが機能しやすく、比較的再現性の高い判断が可能です。
つまり、MACDは「どんな相場でも使える万能指標」ではなく、相場が過熱し、方向性が出ているときに力を発揮する指標といえるでしょう。
レンジ相場では無理に勝ちを狙わず、トレンド発生時に絞って活用するのがポイントです。
他の指標やテクニックを使えばチャンスはもっと増やせる
他の指標やテクニックを使えば、勝つチャンスはもっと多くなります。
トレジャー・ファクトリー(3093)の例を見てみましょう。

相場流の技術「下半身・逆下半身」を活用した場合の、買い時と空売りのタイミングです。
MACDだけの場合は1年で4回しかなかった売買タイミングが、何倍にも増えていることがわかります。
より細かく勝ち、利益を積み重ねていけるチャンスがあるのです。
MACDだけで勝とうとすると、これだけのチャンスを逃していることになってしまいます。
他の指標も組み合わせて使っていった方が、より大きな利益を狙いに行けますよ。
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MACDだけで勝てるようになるやり方
MACDだけで勝てるようになるやり方をまとめました。
正しい設定値、売買タイミングを押さえて、勝ちを逃さないようにしましょう。
設定値は「12・26・9」
MACDでは、短期・長期・シグナルの期間をそれぞれ設定する必要があります。
この設定値は「12・26・9」がオススメ。
多くの証券会社のツールがデフォルトで設定している数値であり、多くの投資家が使っている数値でもあります。
市場の動きを分析するためにも、多くの投資家が目にしている情報と同じ基準を採用していきましょう。
0ラインより上でゴールデンクロス

ゴールデンクロスが、0のラインより上か下かを注視してください。
0ラインより上でゴールデンクロスが発生していれば、買い時です。
MACD線が、シグナル線を下から上へと突き抜けているのが、0より上であれば、大きな上昇トレンドへとつながりやすいといえます。
0より下のゴールデンクロスの場合、レンジ相場となり利益が狙いにくくなってしまうのです。
0ラインより下でデッドクロス

MACDのデッドクロスは、0より下のタイミングを狙いましょう。
0より下でデッドクロスが発生したら、手仕舞いもしくは空売りのタイミングです。
弱気相場の時に0より下となるため、そこでのデッドクロスはより強いシグナルとしてみることができます。
また交差の角度は急であればあるほど、信頼度も高くなりますよ。
0ラインをブレイクするタイミングでトレード

MACD線が、0ラインを下から上へとブレイクするタイミングは、おすすめの買い時です。
相場が強気に変わるタイミングであり、上昇トレンドで利益を狙いやすいといえます。
手仕舞いのタイミングを、逆の0ラインを上から下へとブレイクするタイミングにしてしまうと遅くなってしまうので、デッドクロスや他のシグナルで決めると、利益を伸ばしやすいです。
レンジ相場では使わない

MACDだけで勝てるようになるためにも、レンジ相場では使わないようにしましょう。
トレンド形成時に力を発揮するのがMACDであるため、レンジ相場には向いていません。
横ばい時のMACDでは、買い時・売り時を掴みづらく、値動きも予想しづらいです。
レンジ相場の時は他の指標を活用するか、別の銘柄を探すようにしましょう。
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MACDでの勝率を上げるオススメ組み合わせ
だましを避けて、MACDでの勝率をさらに上げるためにも、複数の指標・シグナルを組み合わせるのがオススメです。
特にオススメの指標・シグナルをまとめました。
実際のトレードにぜひ活かしてください。
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移動平均線

移動平均線は、トレンドが発生しているかどうかを判断するのに役立つ指標です。
トレンド時に役立つMACDを、使うべきかどうか判断できます。
移動平均線から、上昇トレンド・下降トレンド・レンジ相場かを見極めて、MACDを活用しましょう。
短期なら5日、中期なら20日といったように、トレードのスタイルに合わせて、移動平均線の期間は使い分けてください。
【プロ直伝】移動平均線の最適な設定値とは。設定変更の方法についても解説します
ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドは、トレンドの強さを分析できる指標です。
MACDで買い時を見つけた後に、ボリンジャーバンドでバンドウォークが発生していれば、買いの追加を検討しましょう。
強い上昇トレンドが発生しているため、それだけ利益を狙いに行けます。
逆に、MACDのゴールデンクロス直後に、ボリンジャーバンドでバンドウォークが特に発生しなければ、そこまで上昇しない可能性が高いです。
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【相場流】下半身

相場流の技術である下半身は、5日移動平均線を、陽線が実体の半分以上を上に突き出たシグナルのことを指します。
上昇トレンド発生のきっかけとなるシグナルであり、MACDと合わせてみることで、より利益を狙いに行けます。
下半身で買いを入れつつ、MACDのゴールデンクロスで「上昇トレンドの信ぴょう性が高い」ことを確認するイメージです。
場合によっては買いを追加してもいいでしょう。
【相場式株技術用語】下半身・逆下半身とは?株初心者にもわかりやすく解説します
だましを減らすチェック
次の5項目は、MACDの解釈に一貫性を与えるための“最小限の観点”です。
①上位足の方向:週足→日足の順で主要トレンドを確認。
下位足が逆行していても、上位足の流れを把握しておくと過度な期待を避けやすくなります。
②支持・抵抗:直近高安や価格帯別出来高などの滞留ゾーンに接近していないかを確認。
③出来高の平常比:5日・20日平均比で、出来高が平常より増減しているかを相対評価。
④イベント日程:決算発表や経済指標などは、ギャップやノイズの要因になり得ます。
⑤ギャップの有無:窓開け後のクロスは勢いが先行することがあり、追随の判断は慎重にしましょう。
これらを“順番に”確認するだけで、だましへの向き合い方が一定になります。
よくある質問Q&A
短いQ&Aで、誤解されやすいポイントを整理します。結論を単純化せず、前提条件や注意点を添えて理解の抜けを防ぎます。
Q1. MACDのゴールデンクロスが出たら必ず上昇しますか?
A. 必ずとは言えません。
相場環境や抵抗帯の近さ、上位足との不一致などで機能しにくい場面があります。
Q. 期間「12・26・9」は最適解ですか?
Q2. 期間「12・26・9」は最適解ですか?
A. 多くのツールで採用される“よく使われる設定”です。
最適値は銘柄特性や時間軸に依存し、検証で裏取りする姿勢が役立ちます。
検証と記録
一度の成功より、同じ基準で続けられる形が重要です。
記録テンプレを用意して、判断→結果→学びの流れを残しましょう。
検証は「基準を決め、結果を集め、月次で振り返る」流れが実務的です。
【記録テンプレの例】
①日付/銘柄/時間軸、
②セットアップ(上位足方向/支持抵抗/出来高平常比/イベント有無)
③トリガー(0ライン位置/GCまたはDC/角度/ヒストグラムの変化)
④無効化条件(どの時点で見立てが崩れたとみなすか)、⑤結果(想定Rと実績R)
⑥乖離要因(想定と異なった点)
⑦学び(次回の修正点)。月次レビューでは、勝率、プロフィットファクター(総利益÷総損失)、平均R、最大ドローダウンなどの指標を並べると、改善点が見つけやすくなります。
記録はシンプルで構いませんが、毎回同じ項目で比べられることが大切です。
まとめ
MACDは、短期と長期の移動平均の差を可視化し、勢いの変化を読み解くための指標です。
0ラインとGC/DCの位置関係を“型”として整理し、上位足・支持抵抗・出来高平常比・イベント・ギャップを順に確認するだけで、判断のブレは小さくできます。
最終的な計算仕様や表示はツールごとに異なる場合があるため、一次情報での確認を前提に、記録と振り返りを重ねて精度を高めていきましょう。
基礎を押さえた上で、自分に合う判断手順を重ねていくことが大切です。

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







