株の取引方法には、現物取引と信用取引と大きく分けて2種類に分かれますが、信用取引の仕組みは現物取引と大きく異なります。
「信用取引」と聞くと、メディアの発信するイメージや知人の話などから、なんとなく危険なイメージを持つ人もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、適切な知識を持って効果的に活用することで、トレードの成果を効率的に上げることができるようになります。
今回は信用取引の仕組みや種類、メリットやリスクについて、解説します。
この記事でわかること
- 【初心者向け】信用取引の概要
- 信用取引の抱えるリスク
- リスクを抑えた信用取引の有効活用方法
信用取引とは
信用取引とは、自分の資金や株式を担保にして、持っている資金以上の株式投資のトレードを行うことができる取引のことを言います。
現物取引と違い、元本(自己資金)以上の取引ができる点も信用取引の特徴です。
信用取引を理解するためには、自己資金で取引するのではなく、自己資金を担保にしている点に着目するとよいでしょう。
現物取引の場合、元本を用いて株式を購入し、値上がりした所で売却益を得るという仕組みになります。
信用取引は元本を証券会社へ預け入れ、元本と同額もしくは数倍の資金や株式を借りて取引します。
元本を取引に用いずに株式投資を行うため、独自の仕組みで取引を行うことになります。
信用取引の仕組み
信用取引の仕組みは、証券会社から資金や株式を借りて株式投資を行う、証拠金取引で成り立っています。
証拠金とは
証拠金とは、元本と同じ意味で証券会社に預け入れる資金を指します。証券会社は投資家から預けられた資金を担保に、同額か数倍以上の資金や株式を貸します。
数倍以上の取引を行うことをレバレッジ取引と呼びます。信用取引の仕組みを利用すると、少額資金を元手に大きな取引を行うことが可能です。
また、通常は買い注文からのトレードしかできませんが、信用取引の仕組みを活用することで、売り注文からトレードをスタートさせることも可能です。
審査や委託保証金について
信用取引を始めるためには、審査の通過と定められた金額以上の元本を預け入れなければ、取引を始めることができないようになっています。審査は主に収入や職業など基本情報から判断されます。
さらに、委託保証金(元本・担保金)は、法律で取引金額の30%以上預け入れる必要があると定められています。
委託保証金維持率(証拠金維持率)について
委託保証金維持率とは、取引した金額に対する元本の割合のことです。
取引を行って損失が発生した際、委託保証金維持率が一定の割合を下回ると強制決済となり、追証する必要が出てきます。追証(追加保証金)とは、不足している保証金へ新たに資金を追加することです。
信用取引の仕組みを理解する上で、委託保証金維持率は特に重要なポイントになります。実際に利用する際は、委託保証金維持率のチェックを忘れないようにしましょう。
信用取引の種類
信用取引の種類には、制度信用取引と一般信用取引が存在します。大きな違いは、契約相手や取引できる銘柄、返済期限です。
制度信用取引とは
制度信用取引は、証券取引所が制度信用銘柄選定基準を満たした、と判断できる銘柄のみと取引ができます。制度信用銘柄選定基準は、東京証券取引所の規則に定められていますが、今回は省略します。
1回の取引に掛かる資金は、返済期限6カ月以内と一律で決められています。また、銘柄選定の審査が厳しい分、金利は低めに設定されている点も特徴的です。
一般信用取引とは
一般信用取引も、取引自体は制度信用取引と同様ですが、証券取引所ではなく証券会社が取り決めた金利や返済期限等のルールに則って行います。
制度信用取引と違い、証券会社ごとに金利設定や返済期限が異なります。また、銘柄選定についても証券会社のルールに基づいて選定されており、各証券会社で違いがあります。
信用取引のメリットは空売りができること
信用取引のメリットは、元本以上の取引や空売りができることです。
自身が用意した資金でトレードするのではなく、証券会社から借りた資金や株式でトレードができるため、売り注文からトレードを始めることができます。いわゆる「空売り」のことで、株式を売って保有銘柄を買い戻すトレードです。
トレードの流れと利益を得る例を以下にご紹介します。
- 1株100円のA株式を、1株式だけ証券会社から借りる。
- 1株式を現在価格100円で売り注文に出す。取引成立。
- 100円を得る。1株80円まで下がったところで買い注文を出す。
- 1株80円で取引成立。100円のうち80円を使って1株を買い戻す。
- 借りていた1株を証券会社へ返済し、残った20円を利益として得る。
このように下落のトレンドで利益を得られる点が、信用取引のメリットでもあります。
当サイトを監修していただいている、「相場師朗(あいばしろう)先生」は、この「空売り」で多くの利益を上げていらっしゃいます。
現物取引のみであれば、利益を取れる幅も限られてきますが、空売りでも利益を狙えるようになれば、トレードの幅が大きく広がることでしょう。
また、元本の2~3倍の資金や株式を借りた取引、いわゆるレバレッジ取引が可能になるため、より大きな利益を求めたい場合に活用できます。
信用取引のリスクは資金管理と期限
信用取引のリスクは、メリットでもご紹介した空売りとレバレッジ取引です。空売りとレバレッジ取引は、メリット・リスクどちらにもなり得るといえます。
特にレバレッジ取引は自己資金の数倍となる取引が行えますから、損失額が発生した時も同様に数倍の金額で元本から差し引かれます。
期限が6ヶ月以内と定められているため、現物取引のように長期間(年単位など)でトレードをすることができないことは覚えておいた方が良いでしょう。
信用取引のリスクを抑えたうえでの上手な活用法
信用取引でリスクを抑えるためには、下記の2点に注意を払う必要があります。
- レバレッジをかけない
- 建玉操作でリスクヘッジをする
上記の2点に注意し、下降トレンドで空売りを行うことで、利益を得るチャンスを増やすことができます。
空売りができるようになることで、上昇トレンドで買い玉を持っている際、一時的に株価が下落した際のリスクヘッジとして空売りを活用することができるようになります。
実際に活用できるようになるには、チャートを見ながら日々練習を繰り返すことが大事です。
まとめ
- 信用取引は、上手く活用することでトレードの幅が広がる
- 下降トレンドでは、「空売り」を上手く活用する
信用取引は自己資金を証券会社へ預け入れて、同額か数倍の資金や株式を借りて買い注文や空売りを行う方法です。信用取引は適切な利用方法を覚えることで、リスクがメリットになることもあるでしょう。
レバレッジをし過ぎないなど、自分なりに方針を決めて投資計画をたててみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。