投資に興味をお持ちの方であれば、先物取引という言葉は聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし日常生活ではほとんど使用しない言葉であるため、何を意味するのか分からないかもしれません。
「先物取引ってどういうこと?」
「先物取引ってなぜ必要なの?」
今回の記事では、先物取引とは何なのか解説します。
先物取引とは
まず先物取引とはいったい何のことなのか、基本をおさえておきましょう。
先物取引とは、あらかじめ将来の売買のルールを決めておき、売買を約束することです。
あらかじめ決めておくルールには、「売買する価格」と「売買する数量」、そして「売買する日」があります。
商品やサービスを「今」買う現物取引に対し、今買わず「将来」買うのが先物取引というわけです。
先物取引の対象となるものには商品や株式、指数などさまざまなものがあります。
先物取引が必要な理由
先物取引の基本的な仕組みだけを聞くと、こんな疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
「どうしてわざわざ、そんな面倒なルールを決めるの?」
「なぜすぐに売買しないの?」
そこでどうして先物取引が必要なのか、その理由を見てみましょう。
かんたんに言えば、先物取引をする理由は「リスクを避けるため」といえます。
いったいどういうことなのか、シンプルな例で考えてみましょう。
たとえばあなたが、お祭りの屋台などで見かける「焼きトウモロコシ屋さん」になったとします。
ジューシーなトウモロコシを、醤油で香ばしく焼き上げた焼きトウモロコシは、好きな方も多いのではないでしょうか。
焼きトウモロコシの材料として、なんといっても欠かせないのは「トウモロコシ」ですよね。
このトウモロコシは、先物取引でよく取引される商品のひとつです。
「先物取引にトウモロコシなんてあるの!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
先物取引では農産物も対象となっており、お米や小麦と並んで世界3大穀物に数えらえるトウモロコシは、商品先物取引のなかでもとくに有名です。
トウモロコシはアメリカが世界最大の生産国であり、アイオワやイリノイなどのコーンベルト地帯と呼ばれる10州で、世界総生産量の約3分の1が生産されています。
日本では、トウモロコシの約9割をアメリカからの輸入に頼っているのはご存じでしょうか。
トウモロコシは食品としてはもちろん、飼料用や工業用としてさまざまな分野で使われています。
その需要のうち約7割近くが家畜などの飼料用として消費されており、世界中で必要とされているのです。
また近年では環境への配慮からガソリンに代わって大気を汚染しない自動車燃料として、トウモウロコシなどの穀物から生産されるエタノールも注目されていますね。
トウモロコシの収穫は生産地の天候状況が大きく影響するため、トウモロコシ価格は天候などにより変動する場合があります。
たとえば悪天候などでトウモロコシが不作となった場合、トウモロコシ価格が高騰してしまう可能性があるのです。
焼きトウモロコシ屋さんを経営するならば、できるだけ安い価格でトウモロコシを仕入れた方が利益が上がります。
トウモロコシの価格が高騰してしまうと、儲けが出なくなってしまう可能性もありますよね。
そこで不安定なトウモロコシの価格変動による影響を受けないための対策が、「先物取引」なのです。
あらかじめトウモロコシの仕入れ値を卸先と約束しておけば、もしトウモロコシの価格が高騰したとしても、約束していた仕入れ値でトウモロコシを仕入れることがで可能になります。
先物取引を活用して将来的な価格変動のリスクを避けることで、焼きトウモロコシ屋さんの経営をより安定させることが可能になるというわけです。
コーヒー豆を仕入れたい喫茶店や、パスタを仕入れたいイタリア料理店など、同様の需要がある業種は、いくらでも想像することができますね。
このような需要は世界中にあるため、さまざまな人たちが先物取引を必要としていることが分かります。
まとめ
今回は先物取引とは何か、その基礎知識について解説しました。
先物取引とは、あらかじめ将来の売買のルールを決めておき、売買を約束する仕組みのことです。
先物取引は将来的な価格変動のリスクを避けることができるため、多くの人たちが先物取引を必要としています。
実はなんと先物取引は、江戸時代の日本で始まったと言われています。
天候や地震などの災害でお米の収穫量の変動が大きく、コメ価格の変動に対応するために、収穫前にお米の取引価格を決めておく仕組みが生まれたとされているのです。
先物取引の対象となるものには、今回取り上げたトウモロコシなどの農作物などのほかにも、さまざまなものがあります。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。