株式投資やFXなど、短い時間で利益を狙う短期投資。
成功すれば大きなリターンを得られますが、一方でいくつかのリスクもあります。
今回は、短期投資の定義や目的、利益を出すためのコツについて解説します。
これから短期投資にチャレンジしたい方や、なかなか利益が増えていない方はぜひ参考にしてください。
短期投資とは
短期投資の定義や目標などについて解説します。
短期投資の定義
短期投資とは、数分~数週間程度の短い期間で行う投資手法です。
相場のわずかな変動を見極め、短時間で資産を増やします。
長期投資と異なり企業の成長や経済全体の成長をじっくり待つのではなく、市場の短期的な値動きを把握し、特定のイベントを通じて利益を得ることを目的とします。
短期投資の目標
短期投資の目標は、数分から数週間で効率的に利益を上げることです。
資金を拘束する時間を短くすることで、その資金をすぐに次の投資に回し、投資効率を高めます。
また、短期的な市場の反応や特定のイベントによって起こる値動きをとらえて、利益を増やすことも目標の一つです。
長期投資では災害や紛争など予測できない大きなイベントによりリスクが発生しますが、短期投資ではこれらを避けられるため、リスクを限定するという一面もあります。
短期投資の利益源
短期投資は、金融商品の値幅取りを捉えることで利益を出します。
値幅取りとは、安く買って高く売る、もしくは高く売って安く買い戻すことで、価格の差から利益を出す手法です。
例えば、ある株式を1万円で購入し、1万5,000円で売れば、1株あたり5,000円の利益を得られます。
短期投資で利益を出すには、ボラティリティの活用が重要です。
ボラティリティとは価格変動の度合いを表す言葉で、ボラティリティが大きければ激しく変動し、ボラティリティが小さければあまり変動しません。
しかし、ボラティリティは利益機会と同時に価格飛びのリスクも増幅するため、資金管理と併用が必須です。
経済指標等で大きく動いた場合、揺り戻しが起こる場合も多々あるため、これに乗るのを推奨するのは良くないでしょう。
短期投資と税務
短期投資で得た利益には、所得税15.315%と住民税5%を合わせた20.315%が課税されます。
証券会社で源泉徴収ありの特定口座を開けば、利益から源泉を徴収して納税してもらえるので、自分で確定申告する必要はありません。
しかし、損益通算する場合には確定申告が必要です。
損益通算とは複数の口座や金融商品で出た利益と損失を合算し、税金を計算する方法を指します。
また、大きな損失が出た場合も確定申告を通じて繰越控除が適用でき、翌年以降3年間にわたり利益と相殺可能です。
短期投資のスタイル
短期投資には、主に2つのスタイルがあります。
デイトレード
デイトレードとは、取引を当日中に完結させるスタイルです。
日をまたいでポジションを保有しないので、業績発表や経済関連発表により株価が左右されず、安定して取引できます。
また、企業の業績や政治などについて調べるファンダメンタル分析が苦手な方も、値動きだけに注目して取引できる点がメリットです。
小さい利益を積み重ねるスタイルなので、少額から始められます。
一方で、取引回数が多いため手数料がかさみやすいこと、平日の日中は相場を監視する必要があり兼業では難しいことがデメリットです。
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スイングトレード
スイングトレードとは、数日から数週間で取引を完了させるスタイルです。
1回の取引で狙える利益はデイトレードよりも大きく、取引回数が少ないためコストはかさみません。
また、平日はずっと相場に張り付く必要もないため、兼業としても行えます。
ただし、ポジションを翌日に持ち越すため、大きなニュースによる値動きに巻き込まれることがあります。
時には損切りが必要な場面もあり、判断を誤ると大きな損失につながるでしょう。
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短期投資で資産を増やすコツ
短期投資を通じて資産を増やすにはどうすればよいか、コツを解説します。
取引コストを抑える
短期投資は売買の回数が多いため、取引コストを抑えることが運用成績を向上させるコツです。
特に、手数料とスプレッドに注意しましょう。
手数料とは、株式などを売買する度に証券会社に支払う費用です。
最近ではネット証券を中心に、国内株や海外ETFの取引手数料が無料になるプランが増えています。
こういったサービスを利用して、できる限り手数料を抑えましょう。
スプレッドとは、買気配と売気配の差です。
流動性の低い銘柄や取引参加者が少ない時間帯は、スプレッドが拡大して「高く買って安く売る」ことになる傾向にあります。
スプレッドの狭い銘柄を選び、指値注文を活用することで不要なコストを抑えられるでしょう。
必要ツールとチャートの時間軸を理解する
市場の小さな動きをとらえるためには、情報収集と分析のためのツールが必要不可欠です。
特に、4つのツールは必ず使うようにしましょう。
1つ目が高性能チャートツールです。
ローソク足や移動平均線など、多様なテクニカル指標を瞬間的に理解できる環境を整えましょう。
2つ目が、高速注文ツールです。
テクニカル指標から見極めた動きに対応して、素早く売買するため利用します。
クリック一つで注文が完了する「クリック注文」や、指定した価格に達すると自動的に売買が実行される「逆指値注文」に対応したツールなどが代表例です。
3つ目が、リアルタイム板情報です。
板情報からは、現在の需給バランスや、直近の株価がどの価格帯で動きやすいかなどがわかります。
4つ目が、経済指標カレンダーです。
消費者物価指数や雇用統計などのスケジュールを把握することで、大きな値動きを予測しやすくなります。
また、分析するチャートの時間軸も意識しましょう。
短期投資でも、長い時間軸で全体のトレンドを把握し、短い時間軸で具体的な売買タイミングを探る、マルチタイムフレーム分析が効果的です。
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リスク管理を徹底する
1回の取引で、どの程度の資金を投入するか前もって決めておきましょう。
一般的には許容損失額の目安は資金の2%と言われているため、大きく超えないラインを設定してください。
また、自分にとって不利な方向に相場が動いている間は、感情的になったり焦ったりしてしまい、拙速な判断をしがちです。
誤った取引で資金がショートしないよう、事前に決めるべきルールを決めてリスク管理しましょう。
さらに、ストップロスラインの設定も重要です。
これは損失が一定額に達したら自動的に決済することで、「〇〇円まで下がったら売る」「購入価格から5%下がったら売る」など決めておけば、感情に流されて誤った判断をするといったミスを避けられます。
短期投資におけるよくある失敗と回避策
短期投資においてどのような失敗をしがちか、どうすれば回避できるかについて解説します。
短期投資から長期保有に切り替える
安易に短期投資から長期保有に切り替えると、大きな損失につながることがあります。
特に、「上がると思った銘柄が下がってしまい、どうすることもできず塩漬けに」というケースは珍しくありません。
これは、上がり続ける値動きを見て「この流れに乗れば短期間で利益を得られそうだ」飛びついてしまうことから発生します。
このような失敗を回避するためには、エントリー時に必ず逆指値を同時入力するなど、トレード前に決めた戦略が自動的に実行できる手順を踏んでおきましょう。
損切りのルールを決め、一定のラインで損切するよう徹底してください。
メンタルコントロールができていない
投資において、メンタルコントロールは非常に重要な要素です。
焦りや不安から誤った判断を繰り返していると、利益は増えません。
しかし、保有している銘柄が下がると恐怖を感じたり、利益が出ている時に「もっと上がるはず」と欲を出し利確のチャンスを逃したりといった経験は、投資家なら一度はあるでしょう。
こういったミスを回避するため、事前に立てた戦略をブラしてはいけません。
投資はメンタルゲームとも言われますが、感情の波に流されず冷静に判断できるよう経験を積んでください。
過剰売買する
過剰売買とは、必要以上に取引を繰り返すことです。
機会損失への強烈な恐れや、売買によるスリルの依存などが原因となっています。
わずかな値動きに反応して根拠なく取引してしまうと、なかなか利益は伸びません。
過剰売買を防ぐには、どのくらいの価格で購入し、どこまでいったら売却するのかルールを明確にして、無暗な取引を避けましょう。
適切な取引頻度を見極め、必要に応じて「待つ」こともスキルの一つです。
短期投資に関するよくある質問
短期投資に関するよくある質問に回答します。
短期投資とは何ですか?
短期投資とは、数分~数週間程度の短い期間で行う投資手法です。
短時間で効率的に利益を上げ、投資効率を高めます。
具体的には、取引を当日中に完結させるデイトレードと、数日から数週間で取引を完了させるスイングトレードがあります。
短期投資を成功させるコツは?
短期投資を成功させるには、取引コストを抑えることが重要です。
手数料とスプレッドに注意し、利益を圧迫しないよう心がけましょう
また、高性能チャートツールを使い多様なテクニカル指標を活用してください。
許容損失額を決めておくなど、リスク管理を徹底することもポイントです。
短期投資に向いている人・向いていない人の見極め方は?
短期投資に向いているのは、冷静な判断力を持つ人です。
予想外の値動きに動じず、事前に決めたルールに則って取引できれば利益は少しずつ増えていきます。
また、ニュースやチャートをこまめにチェックし、取引が成功・失敗した理由を分析できる人も、短期投資に向いています。
一方で、感情的になりやすい人は長期投資の方がおすすめです。
短期投資は焦りや怒りで拙速な判断をしていると、損失がどんどん膨らんでしまいます。
FXなども落ち着いて冷静な判断ができる方に向いていると言えるでしょう。
まとめ
今回は、短期投資について解説しました。
短い時間で利益を出す短期投資には、高い資本効率と市場のボラティリティを利益に変えられるというメリットがあります。
短期投資で失敗せず資産を形成してくためには、瞬時の判断力や情報収集力、感情のコントロールが重要です。
これらのスキルを身につけてルール通りの取引を徹底すれば、少しずつ利益を増やしていけるでしょう。
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株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。