IPO投資のやり方を解説!応募方法・メリット・リスクのすべて

IPO投資は「当たればリターンが大きい」と聞く一方で、仕組みが分かりづらくて踏み出せない人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、仮条件から上場日までの流れや当選確率を高めるコツ、メリットとリスクまでを解説します。

実際にIPO投資にトライする際の参考にしてみてください。

目次

初心者にもわかる!IPO投資とは?

まずは、IPOがどんな仕組みなのかを解説します。

IPO(新規公開株)の定義と市場の仕組み

IPOとは「Initial Public Offering(新規公開株式)」の略称です。

未上場の企業が証券取引所に株式を公開し、広く一般の投資家に対して初めて株を販売する仕組みを指します。

企業にとっては成長資金を得るための大きな機会であり、知名度や社会的信用の向上にもつながります。

そして投資家にとっては、将来有望な企業の株式を上場前の段階で取得できるという、貴重なチャンスでもあります。

また、上場直後に株価が大きく上昇する「初値高騰」はIPO投資の魅力のひとつ。

上場後に株価が高騰することで、上場前に取得した株式との差額から利益を得ることができます。

IPO(新規公開株)とは?初心者でもわかるメリット・リスクと投資のチャンス

一般投資家が初めて買えるタイミング

一般投資家がIPO株を購入できる最初のタイミングは、ブックビルディングです。

この期間中に証券会社を通じて応募し、抽選に当選すれば、上場前に公開価格で株を取得することができます。

ブックビルディングの申込期間は、通常は仮条件が発表された直後から5営業日前後。

その間に希望株数や価格帯を証券口座を通じて申し込みます。

複数の証券会社を使えば、応募チャンスも広がるため、IPO専用に複数口座を開設している投資家も少なくありません。

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IPOスケジュールとタイムラインは?

ここでは、IPO株が市場に出回るまでの流れをステップごとに解説します。

 仮条件発表

最初のステップが、仮条件の発表です。

これは、企業が証券会社と協議のうえ設定する想定価格の幅のことで、企業側が「このくらいの価格帯で株を売りたいです」という目安となるものです。

仮条件の上限・下限を見て、投資家は応募するかどうかを判断し、ブックビルディングにおける需要申告価格を決めます。

ブックビルディング期間

仮条件が発表されたあと、数営業日を経て、ブックビルディングが開始されます。

ブックビルディングとは、投資家が「この価格で買いたい」と意思表示を行うことです。

この結果をもとに、証券会社と発行企業は最終的な公開価格を決定します。

申し込み時に必要なのは、希望株数・希望価格(仮条件の範囲内)・口座における資金余力です。

証券会社によっては事前に資金が拘束されるケースもあるため、申込前に各社のルールを確認しておきましょう。

公開価格の決定

ブックビルディングが終了すると、申告された需要をもとに公開価格が決定されます。

仮条件の上限または中央値の価格になることが多く、需要が大きければ上限で決定されるケースがほとんどです。

この価格は当選者が実際にIPO株を購入する価格となり、証券会社の抽選システムがこの価格を前提に配分を行います。

投資家にとっては、この公開価格と上場初日の初値との差額が利益となります。

購入申込・抽選

公開価格が決定すると、いよいよ購入申込と抽選のフェーズに入ります。

この段階では、投資家が証券会社のマイページなどから「この株をこの価格で買います」と正式に申し込みを行い、抽選結果を待つことになります。

抽選方式は証券会社によって異なり、「完全平等抽選」「資金量に応じた優遇抽選」「ステージ制」などさまざまな仕組みが存在します。

当選した場合は原則キャンセル不可となるため、ここで初めて資金が確実に必要となります。

上場(初値形成)

いよいよ株式が上場され、市場での取引がスタートします。

上場初日は、投資家の買い注文と売り注文が交錯し、初値と呼ばれる最初の取引価格が決まります。

この初値が公開価格を大きく上回れば上回るほど利益になりますが、もちろん急落のリスクもあります。

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IPO応募方法を理解しよう

ここでは、証券会社の選び方や申し込み単位、キャンセルの可否など、応募に関わる具体的なポイントを解説します。

主幹事・副幹事の役割と当選確率

IPOの応募において重要な存在が、主幹事証券会社です。

主幹事とは、そのIPO案件の取りまとめを行う中心的な証券会社であり、全体の販売株数のうち6~9割ほどの割当を持つのが一般的です。

当選確率を高めたいなら、主幹事の口座から申し込むのが鉄則ともいえます。

一方、副幹事や幹事証券と呼ばれる他の証券会社にも、少量ではあるものの配分があります。

特に、副幹事でも取り扱いがある証券会社は、競争率がやや下がることもあるため、チャンスを広げるために複数の証券口座を開設しておく人が多いのです。

申込単位と必要資金の目安

IPO株は、通常「100株単位」での申し込みが基本です。

たとえば仮条件が1,000円〜1,200円と設定されている場合、公開価格が1,200円に決まったなら、100株で12万円の資金が必要となります。

証券会社によっては、ブックビルディング申込時点でその資金が拘束される「前受金あり」の方式を採用している場合もあります。

この場合、複数の証券会社から申し込むにはその分の資金が必要です。

資金面に不安がある場合は、当選後に入金するタイプの証券会社を中心に活用するという手もあります。

キャンセル・訂正はどこまで可能?

当選後のキャンセルや訂正も証券会社によって対応が異なります。

たとえば、ブックビルディング期間中であればキャンセル可能な会社もあれば、一度申し込むと修正ができない会社もあります。

各証券会社のルールを事前に確認しておくことが重要です。

また、当選後に購入申し込みをしなければ自動キャンセルとなるケースも多いです。

ただし、あまりに多くのキャンセルを繰り返すと、優遇抽選やステージ評価に影響が出る可能性もあるため要注意です。

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IPO投資で押さえたい重要用語

IPO投資には専門用語が多く、初めは戸惑うこともありますよね。

ここでは、特に重要な「オーバーアロットメント」と「グリーンシューオプション」について説明します。

オーバーアロットメントとは?

「オーバーアロットメント」とは、主幹事証券会社が投資家の需要に応じて、予定より多めに株式を販売する仕組みのことを指します。

たとえば、企業が100万株を新規に発行する場合、本来の予定とは別に追加で最大15%まで、つまり+15万株まで主幹事が借株を用意して販売できるという制度です。

このような追加販売分を「オーバーアロットメント分」と呼びます。

なぜこの制度が存在するのかというと、上場直後の株価の急変動を抑えるためです。

需要が一時的に過熱しても、追加の株式で調整されることで、極端な初値になることを抑える効果があります。

グリーンシューオプションとは?

「グリーンシューオプション」とは、オーバーアロットメントで販売された株式をカバーするために、主幹事証券が発行会社から追加で株式を取得できるというオプション契約のことです。

たとえば、主幹事がオーバーアロットメントで追加の15万株を売ったとします。

その株価が上場後に下落した場合、市場から安く買い戻して返せばよいのですが、株価が下がらなければ返す手段がありません。

そこで、あらかじめ発行会社から同じ条件で株を追加発行してもらえる権利として、グリーンシューオプションが与えられるのです。

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IPO投資のメリット

ここでは、特に初心者にとってメリットとなりやすい3つのポイントを紹介します。

初値売りで短期大幅リターン

IPO最大の魅力は、なんといっても初値売りによる短期間でのリターンです。

IPO株は公開価格で購入し、上場初日に初値がついた時点で売却すれば、その差額がそのまま利益になります。

特に人気銘柄では、初値が公開価格の2倍、3倍になることもあります。

もちろん、すべてのIPOでリターンが得られるわけではありませんが、短期間で大きなリターンが狙えるかもしれないという期待感が人気の理由です。

成長企業の株主になれる先行者優位

IPOは、まださほど注目されていないような企業に、いち早く投資できるというのも大きな魅力のひとつです。

中には創業から間もないベンチャー企業や、今後の成長が見込まれる新興分野の企業が多く含まれています。

こうした銘柄に早い段階で出資することで、いわば先行者優位の立場を確保できるのです。

安い価格で株を取得しやすいため、中長期で保有したいという方にとっても有利なスタートになります。

手数料負担が比較的少ない

IPO投資では、株式の購入にかかる売買手数料が無料または格安であることが多く、コスト面でも魅力的です。

多くの証券会社では、IPO株の購入に限って手数料が無料になる仕組みを採用しています。

IPOは証券会社にとっても新規顧客獲得のチャンスであり、より多くの投資家に参加してもらいたいという狙いがあるからです。

また、当選しなければ資金が戻ってくる仕組みのため、初心者でも始めやすい投資スタイルといえるでしょう。

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 IPO投資のリスクと注意点

ここではIPO投資を始める前に知っておきたいリスクと注意点について紹介します。

値動きの大きさと元本割れリスク

IPO株は、上場初日に大きく価格が動くことが一般的です。

人気銘柄であれば高騰することもありますが、すべてがそうなるとは限りません。

注目度の低い案件や、公開価格が強気に設定されすぎた場合には、初値が公開価格を下回る可能性があります。

この場合、せっかく当選して購入したのに、初日から損失を抱えてしまうことになるのです。

やはりIPO株においても、その銘柄が上がりそうかどうか、しっかり情報収集をしてから購入を判断することが大切です。

当選確率の低さと資金効率

IPO投資は抽選方式であることが特徴です。

そのため、どれだけ案件に申し込んでも、当選しなければ購入できません。

特に人気銘柄の場合、倍率が100倍を超えることもあり、1回の申し込みで当たる確率はごくわずかです。

また、複数の証券会社に申し込む場合、資金が一時的に拘束されることもあるため、「お金はあるのに、使えない状態」に陥ってしまうこともあります。

しかし、抽選方式だからこそチャンスが平等にあるという側面もあります。

数を打ちながら経験を積んでいくことも成功のコツといえるでしょう。

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IPO投資のよくある質問

ここでは、初心者の方からよく寄せられる質問を2つ取り上げて解説します。

IPOに必要な最低資金はいくら?

一般的なIPO株は「100株単位」での申し込みが基本です。

そのため、必要な資金は公開価格×100株分という計算になります。

たとえば、公開価格が1,500円だった場合には、100株で15万円が必要です。

ただし、仮条件や公開価格の水準は銘柄ごとに異なり、必要資金も1案件あたり5万円〜30万円程度とばらつきがあります。

初心者の場合は、まずは10万円程度の資金で参加できるIPOからスタートすると安心かもしれません。

未成年や学生でもIPOに参加できる?

未成年や学生でもIPOに参加することは可能です。

ただし、いくつかの条件や手続きがあります。

未成年の場合は、親権者の同意のもとで「未成年口座」を開設する必要があります。

成人した学生であれば、自分名義の証券口座を作ることで自由にIPOに参加できます。

ただし、証券会社によっては審査があり、収入状況や就労有無によっては一部制限がかかるケースもあります。

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まとめ

IPO投資は、抽選で当たれば短期間で大きなリターンを狙える魅力的な投資手法です。

とはいえ、仕組みやスケジュール、応募方法などを知らずに飛び込むと、不安が先に立ってしまいますよね。

本記事で紹介したように、基本の流れとリスク・メリットを理解したうえで、少額から始めてみることで、着実に経験を積むことができます。

まずは証券口座を開設して、見込みがある銘柄のブックビルディングに申し込んでみましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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