オール・カントリーvsS&P500、どっちを選ぶべき?

オール・カントリー vs S&P500、どっちを選ぶべき?

オール・カントリー(全世界株式)とS&P500(米国株式)、どっちにしよう・・・。

投資信託を始めようと思ったとき、まず最初にぶつかるのが「どの投資先を選べばいいのか」という悩みです。

特に、オール・カントリーと、S&P500はどちらも人気が高く、多くの投資家が迷うポイントです。

本記事では、オール・カントリーとS&P500を徹底比較し、それぞれのメリットとデメリットに触れながら分かりやすく解説します。

どちらを選ぶべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

S&Pがおすすめ

結論からいうと、オール・カントリー(全世界株式)よりもS&P500(米国株式)を強くおすすめします。

S&P500をおすすめする理由は、

  • アメリカ経済≒世界経済である
  • S&P500の方がオール・カントリーよりも成長率が高い

の二点です。

詳しく解説していきます。

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アメリカ経済≒世界経済である

アメリカのGDPは世界全体のGDPの約25%を占めており、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックなど世界最大の金融市場を持っています。

さらに、アメリカは多くの国の主要な輸出先であり、世界最大の消費市場を有しています。

これらの市場の動向は、アメリカ経済が世界最大であるがゆえに、他国の株式市場や投資環境、輸出依存度の高い国々にも直接的な影響を与えます。

アメリカ経済が成長すれば世界経済も勢いづき、逆にアメリカが減速すれば他国にも影響を及ぼすことが多いです。

2008年のリーマンショックでは、アメリカ発の金融危機が瞬く間に世界中の金融市場や経済に波及しました。

また、米ドルは世界の基軸通貨であり、多くの国際貿易や資本取引がドル建てで行われているため、ドルの価値や金利の変動がグローバル経済に連鎖的な影響を及ぼします。

つまり、世界各国の経済状況はアメリカに大きく依存しているため「アメリカ経済≒世界経済」といえるのです。

S&P500は米国100%とリスクはありますが、オール・カントリーのポートフォリオのように先進国や新興国を約40%組み込んだとしてもアメリカの影響を受けることに変わりはないので、S&P500をおすすめします。

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S&P500の方がオール・カントリーよりも成長率が高い

オール・カントリーとS&P500を比較すると、S&P500の方が成長率が高いです。

下記は、オール・カントリーとS&P500の成長率を比較したものです。(参照:Trading View)

オール・カントリーとS&P500の成長率の比較

スタートを0として2020年からの成長率で比較すると、オルカンよりもS&P500の方が成長率が良いことが明確です。

さらに、その差も開きつつあります。

「アメリカ経済≒世界経済」も踏まえ、成長率が高いS&P500を強くおすすめします。

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自分はどっちが向いてるの?

おすすめはS&P500ですが、オール・カントリーがおすすめの方もいます。

具体的に、S&P500がおすすめな人とオール・カントリーがおすすめな人の特徴について解説します。

オール・カントリーが向いている人 S&P500が向いている人
投資対象 分散したい 米国のみで十分
成長期待 安定的な成長を求める 高いリターンを求める
リスク 抑えたい ある程度はOK
地域の視点 新興国や欧州など世界全体の成長も取り込みたい 米国の成長を信じる

上記を踏まえて、自分がオール・カントリーとS&P500のどちらが合っているか確認してみてください。

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オール・カントリーとS&P500、どっちがいいの?徹底比較!

オール・カントリー(全世界株式)とS&P500(米国株式)、どっちがいいか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

ここでは、三菱UFJアセットマネジメント株式会社が設定・運用を行っている

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

を例に5つの観点で比較しました。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
特徴 全世界株式をベンチマークとしたインデックスファンド 米国株式をベンチマークとしたインデックスファンド
主な投資先(国) 日本を含む先進国と新興国の約50カ国 米国
組入銘柄 米国約60%、米国以外の先進国約30%、新興国約10% 米国100%
信託報酬 0.05775% 0.09372%
平均利回り(5年)

※2024年11月末時点

18.54% 22.79%

詳しく解説していきます。

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特徴

オール・カントリーとS&P500共通のメリットとして、

  • 値動きが比較的わかりやすい
  • アクティブファンドに比べて信託報酬などの手数料が低い

が挙げられます。

一方、デメリットとしては、

  • 投資先が株式のみでリスクが比較的高い

ことが挙げられます。

オール・カントリーは全世界株式をベンチマークとしたインデックスファンドです。

世界全体に投資しているため世界経済の成長の恩恵を受けることができる上に、ポートフォリオを調整する手間が少なく、これ一つで「投資の完成形」と言えます。

しかし、新興国独自のリスクとして、新興国市場の変動が大きいため、米国株だけの投資よりもリスクが高くなる可能性があります。

新興国株式のリターンが低い場合は、全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことも考えられます。

S&P500は米国株式をベンチマークとしたインデックスファンドです。

米国経済の成長の恩恵を受けることができます。

投資先が米国のみのため、他の地域(欧州や新興国)の成長を取り込むことが難しく、どうしても米国経済のリスクに強く依存してしまいます。

国や地域での分散が図れず、米国景気や経済の影響をダイレクトに受けるため注意が必要です。

そのうえで、S&P500をおすすめします。

現状、米国株市場が圧倒的な成長を遂げており、新興国も成長してきてはいるものの米国に大きな影響を受けるのは間違いありません。

さらに、新興国市場が不安定なため、米国株に集中して投資を行う方が高いリターンを狙うことができます。

新興国に投資を行うのはもう少し成長スピードが加速して変動が落ち着いてきてからの方が、安定的に高いリターンを得ることができる可能性があります。

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主な投資先(国)

オール・カントリーにおける、組入上位10カ国・地域および比率は下記の表のとおりです。

比率
アメリカ 62.3%
日本 5.6%
イギリス 3.3%
フランス 2.7%
カナダ 2.7%
スイス 2.1%
ドイツ 2.0%
インド 1.7%
台湾 1.7%
10 オーストラリア 1.7%

先進国だけではなく新興国市場にも投資を行っているため長期的な成長性を取り込むことができます。

世界中の市場に投資をするので特定の国や地域のリスクが分散されますが、投資先の約60%はアメリカ企業であるため、必然的に米国株の影響を受けやすくなります。

一方S&P500は、世界経済の中心地である米国市場の成長に直接投資できるという大きな魅力があります。

過去数十年間、米国株市場は他の市場と比べて圧倒的に高いリターンを記録していますが、米国市場が成長し続ける保証はなく、過去の好成績が将来も続くとは限らないので注意が必要です。

オール・カントリーにせよS&P500にせよ、米国経済が停滞するとポートフォリオ全体に悪影響を及ぼす可能性があるのは間違いありません。

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組入銘柄

オール・カントリーでは「米国約60%、米国以外の先進国約30%、新興国約10%」の割合で銘柄が組み込まれているのに対し、S&P500は米国100%で銘柄が組み込まれています。

さらに深堀りして、オール・カントリーとS&P500が投資している企業をそれぞれ具体的に見ていくと、下記のようになります。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
企業名 配分 企業名 配分
MICROSOFT CORP 3.9% MICROSOFT CORP 6.9%
APPLE INC 3.5% APPLE INC 5.8%
NVIDIA CORP 3.0% NVIDIA CORP 5.0%
AMAZON.COM INC 2.3% AMAZON.COM INC 3.8%
ALPHABET INC-CL A 1.3% ALPHABET INC-CL A 2.2%
META PLATFORMS INC-CLASS A 1.3% META PLATFORMS INC-CLASS A 2.2%
ALPHABET INC-CL C 1.2% ALPHABET INC-CL C 1.9%
TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 0.8% BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B 1.7%
BROADCOM INC 0.8% BROADCOM INC 1.4%
ELI LILLY & CO 0.8% ELI LILLY & CO 1.3%

組入銘柄の上位10社を比較してみると、割合は異なるものの上位10銘柄のうち9銘柄は重複していることが分かります。

S&P500はもちろんのこと、オルカンも上位10銘柄中9銘柄はアメリカの企業となっています。

つまり、オール・カントリーもS&P500も主要な投資先は同じであり、非常に似ているということが分かります。

そのうえで、S&P500をおすすめします。

オール・カントリーであったとしても、約60%は米国であり上位はS&P500の銘柄と同じです。

結局はアメリカの影響を受けるのならば、米国株に集中投資を行い高いリターンを狙った方が良いでしょう。

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信託報酬

オール・カントリーは世界中に投資をするため、米国株中心のS&P500ファンドと比べて信託報酬がやや高い傾向がありましたが、最近ではS&P500ファンドの方が信託報酬が若干高いケースが見られます。

現在は、オール・カントリー(eMAXIS Slim 全世界株式)が0.05775%、S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)が0.09372%となっています。

信託報酬が0.01%違う場合でも、長期的には差が蓄積します。

ただし、運用成果(リターン)の方が投資成績に与える影響は大きいです。

単純に信託報酬が低いからオール・カントリーを選ぶのではなく、リターンのことも踏まえるとS&P500をおすすめします。

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平均利回り

下記は、S&P500と日経平均株価とDJI(ダウ平均株価)の成長率を比較したものです。(参照:Trading View)

S&P500と日経平均株価とDJI(ダウ平均株価)の成長率を比較

アメリカにはS&P500のほかにもいくつか代表的な指数があります。

そのうちの一つであるDJI(ダウ平均株価)と、日本の代表的な指数である日経平均株価をS&P500の比較対象としました。

スタートを0として2020年からの成長率で比較すると、S&P500の成長率の高さが分かるかと思います。

過去数十年間、米国株市場は他の市場と比べて圧倒的に高いリターンを記録しています。

オール・カントリーにおける分散投資効果がリターンを抑制してしまっており、過去数十年のデータでは米国株に集中投資したほうがリターンが高かった傾向にあります。

今後も米国市場が成長し続ける保証や過去の好成績が将来も続く保証はありませんが、アメリカが減速すれば他国にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

2024年11月末現在、平均利回り(5年)は日経平均株価で11.18%、DJIで18.27%、オール・カントリーで18.54%、S&P500で22.79%となっています。

米国市場の成長の勢いが強いことが分かるでしょう。

そのため、オール・カントリーよりも平均利回りが良いS&P500をおすすめします。

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分散するなら「まったく違うもの」を

一般的には、投資初心者なら特に「分散投資」を心かけるのがよいとされています。

投資先が1つの国や1つの資産だけに偏っていると、そこに何かあったときに大きなダメージを被ってしまうからです。

分散投資をする場合、投資先をオール・カントリーとS&P500の2つだけにするのはおすすめしません。

理由としては、とても似ている投資信託のため、リスクを分散することができないからです。

債券や株といったほかの投資方法や、投資信託の場合はまったく異なる配分のものも取り入れましょう。

例えば、S&P500のインデックスファンドを7割にし、残り3割のお金で日本株の投資信託を買ったり債券を買ったりすることで、リスクを分散することができます。

このように、分散投資を行う場合は投資先が全く違うものを選ぶことを意識しましょう。

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まとめ

オール・カントリーとS&P500を比較し、S&P500がおすすめの理由を解説しました。

どちらを選んでも大切なのは、投資を続けることです。

焦らず、じっくりと自分に合った投資スタイルを見つけ、資産形成を楽しみながら進めていきましょう!

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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