NT倍率とは何?日経平均株価とTOPIXの見方を初心者向けにわかりやすく解説します

NT倍率とは?日経平均株価とTOPIXの関係を初心者向けに解説

ニュースやSNSで「NT倍率が過去○年ぶりの水準」といった話題を見て、「そもそもNT倍率って何?」「高いと良いの?悪いの?」と戸惑ったことはないでしょうか。

NT倍率は、日経平均株価とTOPIXというおなじみの指数の“力関係”を数字で表したものです。

ただ、仕組みや背景を知らないまま「高い・低い」だけに注目してしまうと、かえって誤解を生みやすくなります。

本記事では、NT倍率の計算方法・意味・変動要因を整理しながら、相場全体の“偏り”を読み取る視点として、どのように受け止めればよいのかをわかりやすく解説します。

   
目次

NT倍率って何?

まずは、NT倍率そのものの意味から説明していきます。

日経平均株価とTOPIXはよく耳にするものの、「何がどう違うのか」「なぜ2つあるのか」が曖昧なままだと、NT倍率のイメージもぼやけやすくなります。

ここでは、NT倍率の計算式・日経平均とTOPIXの性格の違い・水準感の考え方という3点を押さえます。

この土台ができると、ニュースで出てくる数字やチャートもぐっと読み取りやすくなります。

NT倍率の計算方法と基本的な意味

NT倍率は、一言でいえば「日経平均株価をTOPIXで割ったもの」です。

  • 計算式
    NT倍率 = 日経平均株価 ÷ TOPIX 

分数でイメージすると、

  • 分子:日経平均株価(Nikkei 225) 
  • 分母:TOPIX(Tokyo Stock Price Index)
    となります。 

このとき、分子の日経平均の動きが相対的に強ければ倍率は大きくなり、分母のTOPIXの動きが強ければ倍率は小さくなります。

つまり、NT倍率は「日経平均とTOPIXのどちらが相対的に優位か」をざっくりと示す指標です。

日経平均とTOPIXの構造の違い

NT倍率を理解するうえでは、分子・分母となる指数の「作られ方」が大きなポイントになります。

日経平均株価(Nikkei 225)

  • 東証プライム上場銘柄の中から、日本経済新聞社が選んだ225銘柄で構成 
  • 「平均株価型」の指数で、株価の水準が高い銘柄の値動きが指数に与える影響が大きい 
  • 構成銘柄には、輸出関連企業やグローバルに事業を展開する企業が多く含まれる傾向がある 

TOPIX(東証株価指数)

  • 東証プライムに上場する銘柄を、基本的に広くカバーする指数 
  • 「時価総額加重平均型」の指数で、時価総額の大きい銘柄ほど指数への影響が大きい 
  • 金融・内需・ディフェンシブなどを含め、国内の幅広い産業を網羅したイメージに近い 

同じ「日本株の指数」でも、

  • 日経平均:値がさ株・グローバル企業の影響が相対的に大きい 
  • TOPIX:市場全体・時価総額の大きさが反映されやすい
    という性格の違いがあります。 

この2つを割り算したNT倍率は、

「値がさ株・グローバル企業に資金が集まりやすい局面なのか」「内需や金融を含む市場全体に広くお金が流れている局面なのか」

といった、市場のどこに重心が置かれているかをつかむための手がかりになります。

NT倍率の水準感はどう捉えるべきか

NT倍率には、「ある期間にはおおよそ○倍前後で推移していた」といったレンジ感が語られることがあります。

過去には、一定の時期において10倍前後を中心に上下する局面が続いたこともあり、その水準が一つの目安として紹介されるケースも見られました。

ただし、ここで注意したいのは次の2点です。

水準感は相場環境や指数構成の変化とともに変わり得る

採用銘柄の入れ替えや、特定セクターの成長などにより、日経平均とTOPIXの“体質”は少しずつ変化します。

その結果、「何倍くらいが中立的か」という感覚も、時期によって違ってくることがあります。

 

「○倍を超えたら必ず○○」といった決めつけはできない

NT倍率が一定の水準を超えたからといって「必ず反転する」「必ずTOPIXが見直される」といったルールがあるわけではありません。

水準だけで単純に判断するのではなく、背景にあるマクロ環境や指数の構成などと合わせて考える必要があります。

 

イメージとしては、「今のNT倍率は、過去のある期間と比べてどのあたりにいるのか」「日経平均とTOPIXのどちらが優位な傾向が続いているのか」といった“位置”や“傾き”を確認するためのメーターのようなもの、と捉えると良いでしょう。

NT倍率はどのようなときに変動する?

NT倍率が動くとき、裏側では日経平均とTOPIXのどちらか、あるいは両方に影響を与える出来事が起きています。

ただ、ニュースでは「NT倍率が上昇」「NT倍率が低下」と結果だけが語られることも多く、「なぜそうなったのか」が見えにくいと感じるかもしれません。

ここでは、

  • 日経平均優位(NT倍率上昇)になりやすい局面 
  • TOPIX優位(NT倍率低下)になりやすい局面 
  • 為替や海外市場との関係 

といった観点から、NT倍率変動の背景をイメージできるよう解説していきます。

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日経平均優位(NT倍率上昇)になりやすい局面のイメージ

NT倍率が上昇するのは、日経平均の上昇がTOPIXよりも相対的に強いときです。

どのような場面でこうした動きが見られやすいのか、代表的なイメージを挙げてみます。

グローバル企業やハイテク株に資金が集まりやすい局面

世界景気の回復期待や、特定の成長テーマ(IT・半導体など)が注目されると、

グローバルに事業を展開する企業やハイテク関連が買われやすくなります。

こうした銘柄は日経平均の構成銘柄としても存在感が大きく、指数を押し上げる要因になります。

 

海外投資家が日本株を“指数ベース”で買う局面

海外投資家が日本株全体をまとめて買う際、日経平均先物などを利用することがあります。

このとき、日経平均の動きがTOPIXに先行して大きくなり、NT倍率の上昇につながるケースがあります。

 

為替が円安方向に振れている局面

輸出関連企業にとっては円安が追い風となることが多く、

輸出企業の比重が大きい日経平均が相対的に動きやすくなる場面が見られます。

 

もちろん、実際の相場はさまざまな要因が重なり合って動くため、常にこのパターン通りになるわけではありません。

それでも、「NT倍率が上昇している=日経平均側が相対的に優位な局面が続いている」という大枠を押さえておくと、ニュースの背景を考えやすくなります。

TOPIX優位(NT倍率低下)になりやすい局面のイメージ

一方、NT倍率が低下するときは、TOPIXの動きが日経平均よりも相対的に強い場面が多くなります。

内需株や金融株が見直される局面

国内景気の改善期待や、金利動向の変化などから、銀行・保険・不動産・小売といった内需関連が買われると、

時価総額の大きい企業が多く含まれるTOPIXにプラスの影響が出やすくなります。

 

「指数全体」への広がりが意識される局面 

大型株だけでなく、中型・小型も含めて幅広い銘柄に資金が分散していくと

採用銘柄数の多いTOPIXの方が恩恵を受けやすくなることがあります。

 

“値がさ株頼みの相場”からの反動局面

しばらくの間、値がさ株の動きに相場全体が引っ張られていたあと、

そうした銘柄が一服し、他のセクターへ関心が広がると、NT倍率が低下に向かう場面が見られます。

NT倍率に関するQ&A

Q1.NT倍率が高いときは、必ず日経平均が有利なのでしょうか?

A.NT倍率が高い状態は、相対的に日経平均がTOPIXより強く動いている局面を示します。

ただし、これは「どちらが優位に動きやすいか」の傾向を表す指標であり、必ず同じ状態が続くことを意味するものではありません。

相場環境や資金の流れによって状況は変化します。

Q2.NT倍率だけで相場の先行きを判断できますか?

A.NT倍率は日経平均とTOPIXの“相対的な強さ”を見るための指標で、単体で相場の方向性を予測するものではありません。

為替、金利、海外市場、業種別指数など、他の情報とあわせて全体像を確認することで、より立体的な理解につながります。

Q3.NT倍率の「高い・低い」の目安はありますか?

A.過去の推移を見ると、一定のレンジで動いてきた時期もありますが、その水準は相場環境や指数構成の変化によって変わります。

そのため、特定の数値を絶対的な基準とするのではなく、「過去と比べてどうか」「最近の動きと比べてどうか」といった相対的な視点で見ることが大切です。

NT倍率を見るときの注意点と投資に生かす方法

では次に、NT倍率を投資判断の参考とするときの注意点について解説していきます。

まず、日経平均株価が影響を受けやすい株価が高水準にある銘柄や輸出関連株は、どうしても海外市場や為替といったグローバルな要素から影響を受けやすくなります。

つまりNT倍率が大きくなっているときは海外情勢がよく、日本を含む世界経済が全体的に好調であることが多いです。

みなさんも株式投資をしていて、「株価は海外からの影響を受けることが多いな」と思ったことはありませんか?

このように、株価上昇というのは海外からの影響が大きいことが多いのでこの場合はNT倍率が大きくなりやすいです。

また、経済が好調になると、TOPIXも後を追うように値を上げて日経平均株価との差を縮めるような動きをすることも多くなります。

そのため、このあとはNT倍率が徐々に小さくなりやすいのです。

つまり上記のメカニズムを投資に生かすならば、経済が好調になって日経平均株価が上昇してきたら、その間にTOPIXの構成銘柄に買いを入れておくといったテクニックを生み出すことができます。

株価チャートを実際に確認してみて、買いの判断ができそうであれば仕込んでおいてもいいかもしれませんね。

まとめ

  • NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割ることで導き出せる、2つの指数の相対的な強さを示す数値
  • 大きくなれば株価が高い銘柄が優勢で、小さくなれば時価総額が大きい銘柄が優勢とわかる
  • NT倍率の上昇要因となる日経平均株価は海外情勢の影響を受けやすく、経済が好調だと日経平均株価が上がり、NT倍率も上がる

いかがでしたでしょうか?

本記事ではNT倍率の意味や変動要因、投資に生かす方法についてご紹介してきました。

NT倍率の数値を見れば、日経平均株価とTOPIXのどちらが相対的に強いのかがわかります。両社の構成銘柄や影響を受けやすい要因を知っておくことで、投資判断の参考にすることができるでしょう。

ぜひ株式投資に役立ててみてくださいね。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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