RCIって聞いたことはあるけど、「結局どう読めばいいの?」「RSIと何が違うの?」で止まっていませんか。
テクニカル指標は増やすほど迷いやすく、数字を見ても判断が固まりにくいものです。
RCIは“値幅”ではなく“順位の揃い方”で、上昇・下落がどれくらい整っているか(過熱や弱まり)を見やすい指標です。
本記事では、RCIの意味と数値の読み方、期間設定の考え方、機能しやすい局面や苦手な局面、RSIとの違いまでを、わかりやすく解説します。
RCIってどんなテクニカル指標?
RCIは、株式投資やFX取引においてチャート分析に利用されるテクニカル指標の1つです。
順位相関指数とも呼ばれます。
RCIは、トレーダーの心理を数値で算出して価格が割高なのか割安なのかを判断するために生まれたテクニカル指標です。
テクニカル指標には多くの種類がありますが、RCIの分析方法にはほかのテクニカル指標とは違ったある特徴があります。
それは、“価格が上昇(下落)した値幅や割合”ではなく“価格の順位”と“日付の順位”に着目してチャート分析をするという点です。
「価格の順位と日付の順位」とは一体どういうものなのでしょうか?
簡単な例を用いて説明していきます。
まずは、価格の順位です。今日が土曜日で、過去3日間を対象期間としたとします。価格の順位とは、対象期間(この場合は3日間)の終値を高い順に並べたものです。
水曜日から金曜日にかけて毎日高値を更新するような上昇トレンドが続いたとすると、1番価格が高いのは金曜日ですよね。そのため金曜日=1位、木曜日=2位、水曜日=3位ということになります。ちなみにこのときのRCIは「+100」です。
逆に、水曜日から金曜日にかけて毎日安値を更新するような下落トレンドが続いたとするとどうでしょうか?1番価格が高いのは水曜日となりますよね。そのため水曜日=1位、木曜日=2位、金曜日3位となり、このときのRCIは「-100」です。

上の図を見ていただくと、上の部分が株価を示すローソク足ですが、下の部分がRCIの数値になります。上昇を続けている時は、100に近い数字になっているのがおわかりいただけるでしょうか。
価格の順位がこのようにつけられるので、覚えておきましょう。
次に、日付の順位です。対象期間は上記と同様であるとします。日付の順位とは、対象期間のうち今日の日付(この場合は土曜日)から近い順に並べたものです。
つまり、価格がどうであれこの場合の日付の順位は、金曜日=1位、木曜日=2位、水曜日=3位となります。
RCIは、価格の順位と日付の順位に相関関係がどのくらいあるのかを指標として算出した数値です。
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RCIの特徴
RCIを表示できても、次に迷うのは「期間をどうすればいい?」「どんな相場で役立つ?」です。
短い期間は敏感ですがブレやすく、長い期間はなだらかで遅れやすい――この性質を知らないままだと、同じRCIでも判断がブレます。
ここでは、短期・中期・長期RCIで“見えるものが違う”ことを整理し、機能しやすい局面と苦手な局面をセットで解説します。
最後に、よくある“だまし”を先に知って、RCIを観察の補助線として使いやすくします。
期間設定の考え方(短期・中期・長期で何が変わる?)
結論は、期間が変わるとRCIは「反応速度」と「ノイズ量」が変わります。
短期RCIは小さな値動きにも反応しやすい一方で、上下に振れやすく“揺れ”も増えます。
中期RCIは短期ほど騒がしくなく、トレンドの形を掴みやすいバランスになりやすいのが理由です。
長期RCIは大きな方向性を確認するのに向きますが、価格の変化に対して反応が遅れやすいという補足が必要です。
具体例として、短期が先に折れても中期・長期がまだ高い、という場面は「短い揺れでトレンド全体が崩れたと決めつけない」判断に役立ちます。
注意点は、期間を1本だけに固定すると、相場の“見え方”が偏りやすいことです。
RCIが機能しやすい局面/苦手な局面
結論から言うと、RCIはトレンドの整い具合を見やすい反面、急変や不規則なレンジでは読みが難しくなることがあります。
理由は、順位が揃うかどうかは「連続性」に依存しやすく、行ったり来たりが増えると相関が崩れやすいからです。
具体例として、上昇トレンドではRCIが高値圏で推移しやすく、「上がり方が整っている」ことを視覚化しやすい一方、ニュースなどで急落→急反発のような動きでは、短期RCIが大きく振れて“説明過剰”になりがちです。
注意点として、レンジでは「高値圏=天井、安値圏=底」と見えやすくなりますが、レンジの幅や出来高、直近のトレンド背景を無視すると早合点しやすいです。
RCIは“相場認識の材料”として使うほど安定します。
よくある“だまし”と見落とし
RCIを単独で結論に直結させると、だましや読み違いが起きやすいということです。
理由は、RCIは順位の整いを表すため、価格が強い方向に動けば高値圏・安値圏に寄り続けることがあり、「行き過ぎ=即反転」とは限らないからです。
具体例として、上昇が続く局面でRCIが+90付近に張り付いたまま、さらに上昇が続くことがあります。
このときRCIは“危険サイン”というより「上昇が整っている状態」を言っているだけで、反転時期を当てる道具ではありません。
注意点として、数値の刺激が強いと不安になり、早く結論を出したくなるものです。
そういうときほど「短期・中期・長期を並べて見比べる」「0付近へ戻るのか、張り付くのか」など、観察の軸を増やすと落ち着いて読めます。
名前がそっくり!RSIとの違い
代表的なテクニカル指標の1つである「RSI(相対力指数)」をご存知でしょうか?名前がRCIと似ているので、混乱してしまう方もいらっしゃるかと思います。
この2つは数値の範囲はもちろん算出方法も異なっているので注意が必要です。
RSIは「買われすぎ」、「売られすぎ」を判断するのに適したテクニカル指標です。とくに横ばいや変動が緩やかな相場において逆張りをすると有効に働くとされています。
当サイトの株歴37年以上のプロトレーダー「相場師朗(あいばしろう)」先生の株用語で言うところの「B局面」に当たる場面ですね。
B局面について詳しくは、【相場流株技術用語】A局面・B局面・C局面とは?の記事をご覧ください。
数値の範囲は0~100で、25以下に下がると「売られすぎ」となり買いシグナル、75以上まで上昇すると「買われすぎ」となり売りシグナルと判断することが多いです。
RCIも「買われすぎ(高値圏)」、「売られすぎ(安値圏)」を判断できる点ではRSIと似ていますが、トレンドが発生している局面において順張りをすると有効に働きます。
つまりRCIとRSIは、適しているトレードスタイルに大きな違いがあるということです。
RCIに関するよくある質問
Q1. RCIは何日設定が一般的ですか?
A. よく使われるのは「9日」などの短めの期間です。
ただ、短期は反応が速い分ブレやすく、長期はなだらかで遅れやすい性質があります。
迷う場合は、短期・中期・長期を複数表示して「反応(短期)」「方向性(中期〜長期)」を見比べると読みやすくなります。
Q2. RCIの高値圏・安値圏は、売り・買いの合図ですか?
A. 合図というより「今の状態(過熱や整い具合)」を示す目安として捉えるほうが安定します。
強いトレンドでは高値圏(または安値圏)に張り付くことがあり、数値だけで結論を急ぐと読み違えやすくなります。
Q3. 0付近のRCIはどう解釈すればいいですか?
A. 上げ下げが混ざっていて、順位(並び)が揃いにくい状態を示しやすいです。
トレンドの“整い”が弱い、あるいは方向感が出にくい局面のサインとして、相場認識に使うと分かりやすいです。
まとめ
RCIは、値幅の大きさではなく「日付の並びと価格の並びがどれだけ揃っているか」に注目し、上昇や下落がどれだけ整って続いているか、また過熱感が出ているかを把握しやすい指標です。
そのため、高値圏・安値圏は売買の合図として捉えるよりも、相場の状態を示す目安として見ておくことで、早合点を防ぎやすくなります。
また、期間設定によって見え方は大きく変わります。
短期のRCIは反応が早い分ブレやすく、長期になるほど動きはなだらかで遅れやすくなります。
そこで、短期・中期・長期をあわせて表示し、方向性と反応の違いを見比べることで、相場の理解はより安定します。
一方で、RSIとは着目している材料が異なります。
この違いを整理するためにも、「RCIは順位」「RSIは上げ下げの比率」と覚えておくと、両者を混同しにくくなるでしょう。
テクニカル分析を中心に株式投資をおこなっている方は、ぜひ本記事を参考にしてRCIも取り入れてみてください。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







