ニュースや証券会社の画面で見かける「ブル」「ベア」という言葉は、相場の方向性や投資商品のタイプを表す大事なキーワードです。
本記事では、ブル・ベアの基本的な意味から、「ブル型・ベア型投資信託」の仕組みと注意点までを初心者向けに解説します。
用語のイメージをつかみつつ、どのような特徴がある商品なのかを理解するための基礎知識としてご活用ください。
ブル・ベアとは?
一見聞きなれない言葉ですが、株式投資における「ブル」、「ベア」とは一体どういう意味なのでしょうか?
ブル・ベアは、それぞれ相場の「強気・弱気」を表すキーワードです。
要点としては、ブルは「上昇を意識した強気ムード」、ベアは「下落を意識した弱気ムード」というイメージになります。
ブル(bull)は雄牛を意味し、角を下から上へ突き上げる動きから「価格が持ち上げられていく」様子になぞらえられています。
いわゆるブル相場は、株価や指数が上昇傾向にあり、投資家が将来に前向きな見方をしている状態を指します。
一方ベア(bear)は熊を意味し、前足を上から下へ振り下ろす動きや、背中を丸めている姿から「価格が押し下げられていく」イメージと結びついています。
ベア相場は、価格が下落傾向にあり、先行きに慎重な見方が強い局面を指すことが一般的です。
このように、ブル・ベアという言葉は、単に値動きだけでなく、投資家全体の心理や市場の雰囲気をまとめて言い表すために使われています。
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投資信託におけるブル・ベア
投資信託の名称に「ブル」「ベア」と付いている場合、多くは株価指数などの値動きに連動するタイプのファンドを指します。
ポイントとして、「ブル型=上昇局面を対象とした設計」「ベア型=下落局面を対象とした設計」と考えるとイメージしやすくなります。
一般的な投資信託は、株式や債券などを組み合わせて運用し、長期の資産形成を目的とするものが中心です。
一方でブル型・ベア型投信は、日経平均やTOPIXなどの指数の動きに対して、一定倍率で値動きが大きくなるよう設計されているケースが多く見られます。
ブル型は、対象とする指数が上昇したときに基準価額も上がりやすくなるよう組成されています。
ベア型は、その逆で、対象指数が下落したときに基準価額が上がりやすくなるような設計が取られます。
どちらも、市場の方向性に応じて値動きが大きくなりやすいタイプの商品だと理解しておくと整理しやすいです。
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ブル型・ベア型投資信託の基本的な仕組み
ブル型・ベア型投資信託は、先物取引やオプション取引などを組み合わせることで、対象指数の値動きにレバレッジをかける仕組みを持つことが多いです。
要点は、「指数そのものよりも、日々の値動きが大きくなりやすいよう設計されている」という点です。
たとえば「○○ブル2倍」という名称のファンドであれば、対象指数が1日に+5%動いたとき、理論上はおおむね+10%前後の値動きを目指すような構造になっている場合があります。
ベア型の場合は、指数が-5%のときに+10%程度の動きを目指す、といったイメージです。
ただし、実際の値動きは、市場環境やコスト、運用手法などによって変化します。また、多くのブル・ベア型投信は、日々の値動きに対してレバレッジをかける設計となっており、その積み重ねによって長期の値動きが指数と大きく異なることもあります。
仕組みの全体像として、「短期的な値動きに敏感に反応しやすい投信」という性質を押さえておくと理解しやすくなります。
ブル型・ベア型の投資信託の注意点
ブル型・ベア型投資信託は、相場の方向性に応じて値動きが大きくなりやすい一方で、いくつかの注意すべきポイントがあります。
値動きの大きさやコスト、横ばい相場や長期保有で起こりやすい現象などを理解しておかないと、想定と異なる結果に驚くこともあります。
1つずつ理解して、本当に投資するべきか吟味していきましょう。
値動きが大きくなるため、損失も大きくなる可能性がある
ブル型・ベア型の投資信託内では、先物取引やオプション取引を活用してレバレッジをかけた運用がおこなわれています。
そのため、値動きが大きくなりやすいという特徴があります。
たとえばブル型投資信託の場合実際に株価が上昇していればその分利益が大きくなっていいのですが、予想と反して下落してしまった場合にはその分損失が大きくなる可能性があります。
つまりハイリスクハイリターンな投資方法となりますのでご注意ください。
購入するときに手数料がかかる
証券会社によって額は異なりますが、ブル型・ベア型投資信託の購入にはあらかじめ定められた申込み手数料が発生することがあります。
また、投資信託の運用成果によっては信託報酬を運用会社に対して支払わなければなりません。
そのため投資信託を購入するときは、発生しうるコストをきちんと確認しておくことが大切です。
株価が横ばいの局面では不利になる
株価が上昇と下落を繰り返して決まった方向に動かない横ばいの局面の場合、ブル型・ベア型の投資信託にはどのような影響が及ぶのか気になりますよね。
実は株価が横ばいの局面になると、指標となる株式市場よりも基準価額が低くなってしまうので、ブル型・ベア型の投資信託にとっては不利な状況となってしまいます。
つまり、ブル型投資信託なら「これから確実に上昇する!」、ベア型投資信託なら「これから確実に下落する!」といったような、決まった方向への株価変動が予測できているときこそが投資タイミングであるといえます。
ただし、手数料面などの様々なコストを考慮すると、本当に利益を狙いやすいのかどうかは一度考えてみる必要があるのではないでしょうか。
よくある質問:ブル・ベア投資の理解を深めよう
Q1. ブル型・ベア型投資信託はどんな人に向いているの?
A. ブル型・ベア型の投資信託は、短期的な値動きを予測して利益を狙いたい投資経験者に向いています。
特に「今後数週間〜数か月の相場の方向性をある程度読める」中級者以上の方に適しています。
一方で、初心者や長期運用を目的とする方は、値動きが激しいこれらの投資信託よりも、安定したインデックス型や分散型の投資信託から始める方が安心です。
Q2. ブル型・ベア型投資信託を長期保有するとどうなる?
A. 長期保有には注意が必要です。
ブル型・ベア型の投資信託は日々の値動きにレバレッジがかかっており、時間の経過とともに複利効果が働かないどころか、横ばい相場では基準価額が徐々に減少する「減価」現象が起きやすくなります。
そのため、長期保有には不向きで、基本的には短期〜中期の相場判断に基づいた投資として使うのが賢明です。
まとめ
ブル・ベアという言葉は、相場の方向性や投資家心理を表す基本用語であり、あわせて「ブル型・ベア型投資信託」といった商品名にも利用されています。
ブルは強気・上昇局面、ベアは弱気・下落局面をイメージする言葉として、株式だけでなく為替や商品市場でも広く使われています。
ブル型・ベア型投信は、指数などの値動きにレバレッジをかけることで、日々の基準価額が大きく動きやすい一方、コストや横ばい相場・長期保有での目減りといった特徴も持ちます。
これらの性質を知っておくことで、ニュースや商品説明に登場する「ブル」「ベア」の意味を落ち着いて理解し、自分にとって必要な情報かどうかを判断しやすくなります。
用語と仕組みのイメージを整理しながら、今後のトレードに役立ててみてください。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







