みなさんは「日柄調整(ひがらちょうせい)」や「値幅調整(ねはばちょうせい)」といった言葉を聞いたことがありますか?
ニュースなどでは「日柄調整がまだ続いている」、「値幅調整は完了とみて押し目買い」などと使われることがあります。
実はここでの「調整」は、私たちが普段使っている単語としての意味とは全く異なります。
そこで本記事では、株初心者の方にも分かりやすく「日柄調整」、「値幅調整」について徹底解説していきます。
この記事でわかること
- 「日柄調整」「値幅調整」とは
- 「日柄調整」「値幅調整」のメカニズム
- 「調整」の種類
日柄調整・値幅調整とは?
まずは「日柄調整」「値幅調整」の意味を説明していきます。
この2つの言葉に共通している単語が「調整」ですが、ここでの「調整」は私たちふだん使っているような人為的な意味とは違い、株式市場に流通している株価の上昇が止まったり、逆に下がったりすることを指します。
株式投資は「安く買って、高く売る」ことが基本なので、株価の上昇を確認できたら可能な限り安いうちに買って、高く売りたいものですよね。
つまり、ある銘柄の株価が上昇を見せると、我先にとその銘柄に多くのトレーダーが飛びつき購入者がどんどん増加していきます。
ですが、株は永遠に買い続けられるものではなく株価の上昇にも限界があるので、あるときに強すぎる市場の勢いに対して「調整」が始まるのです。
このとき株価が下がりそうで、下がらずもみ合い状態のまま日数が経過し株価の変動が落ち着くことを「日柄調整」、株価が下落して株価の変動が落ち着くことを「値幅調整」といいます。
どうして調整が起こるのか
では、株式市場では一体どのようなメカニズムで「調整」が起きるのでしょうか?
なかなかイメージしにくい方もいらっしゃると思いますので、ご説明していきます。
株式売買によるキャピタルゲイン(売買差益)で利益を得ようと考えているトレーダーの方は、ある程度ほしい株を購入したら次はキャピタルゲインを得るために売る側に回りますよね。
つまり、買った株の株価上昇が見えてくるとその分売りたいトレーダーが増加してくるので、株価は下落トレンドに転じる可能性が出てきます。
まず「日柄調整」は、初期のころの株価上昇に乗り遅れたトレーダーやまだまだ株価上昇を狙っているトレーダーが存在していることから、少し株価が下落しただけで買いが入ることが要因です。
つまり、売りたいトレーダーがいる一方で買いたいトレーダーもいることから売りと買いが拮抗し、株価は下がりそうで下がらずもみ合い状態になるというメカニズムです。
ちなみに、日柄調整が数日間かけて続くと、「売りたいトレーダーがそろそろ株を売り切っただろうから調整は終了しただろう」という合意が市場で生じます。
次に「値幅調整」は、上昇トレンドの最後の方で株を購入したトレーダーが「これではあんまり儲からなさそうだな…。下落する前に売ってしまおう!」と、高値で購入したことにリスクを感じて株を売り始めたり、早い段階で購入していたトレーダーの利益確定のための売りが生じることが要因として考えられるでしょう。
これによって株価の下落に拍車がかかり、損切りのための売りの動きも巻き込みながら株価は下落していきます。
こういったメカニズムでどんどん株価は下落していき、株を売りたいと思っているトレーダーがある程度売り切ったところで株価の下落は一旦ストップし「値幅調整の完了」と見なします。
ここまでの説明から言えることは、「日柄調整」「値幅調整」は、どちらも株を売りたいトレーダーがいなくなったら調整完了のタイミングということです。
そして、調整が完了すればまた株価は上昇を始めます。
調整には2パターンある
実は調整には、2パターンあります。
それぞれのメカニズムや違いを1つずつ紹介していきますね。
1.短期的で小さい調整
株価が上昇すると、安値のうちにその銘柄を購入していたトレーダーは「そろそろ利益を確定させておこう」と株を売り始めます。
これは、株価下落の要因になりますよね。
ただし、この下落は1~3週間ほどで落ち着き、再び株価は上昇し始めます。
これが、短期的で小さい調整です。
もしこの銘柄の株価上昇エネルギーが強い場合には調整が3回ほど繰り返し起こることもあり、回数を重ねるほどに上昇率は高くなるといわれています。
2.中期的で大きい調整
1.の短期的で小さい調整が繰り返し起こると、上昇率はどんどん増していきます。
よってこのあとは、本格的な調整が起こりやすいのです。
繰り返し起こった調整によって大きく株価が上昇したあとなので、1~3カ月ほどの日数をかけて株価が大きく下落します。
そして、この中期的で大きい調整が完了した瞬間こそが、株を買うべきタイミングです。
というのも、株価はすでに大きく下落していて、これ以上下落する可能性はあまり考えられないからです。
しかも、大きく下落した反動で今後さらに大きく上昇する可能性もあるため、買いのベストタイミングだと考えられます。
よって、なかなか見極めることは難しいですが大きな調整が起こったあとは買いの絶好のチャンスと知っておけば、大きな利益を望める可能性があります。
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日柄調整の日数はどれくらい?
上記で、日柄調整は“もみ合い状態のまま日数が経過し、株価の変動が落ち着くこと”と説明しましたが、実際にはどのくらいの日数を要するのでしょうか?
実は、その日数を把握するには株価と移動平均線の乖離具合をチェックすることが求められます。
たとえば、株価が上昇しているときには株価と移動平均線の間には乖離が生じていきます。
その後、株価が横ばいになると株価と移動平均線の間の乖離はどんどん小さくなっていくのです。
この乖離の縮小こそが、日柄調整です。
完全に日柄調整の完了を判断するのは難しいですが、1つの判断基準として株価と移動平均線の乖離具合を見てみるといいでしょう。
まとめ
- 「日柄調整」とは、買いと売りが拮抗したままもみ合い状態が続き日数が経過すること
- 「値幅調整」とは、売りが優勢になって株価が下落し、株を売りたいと思っているトレーダーが全員売り切るまでの調整のこと
- 「値幅調整」の完了後は、買いの絶好のチャンス
本記事では「日柄調整」、「値幅調整」の意味やメカニズム、そして「調整」の種類についてご紹介しました。
2つとも似ているようで大きな違いがあり、市場の動向を把握するうえで非常に重要なサインとなっています。
株価チャートだけを見て確実に判別することはなかなか難しいですが、ぜひ注目してみてください。
ちなみにチャートの見かたについてはチャートの日足・週足・月足ってどうやって使い分けるの?初心者向けに解説しますにて解説していますので、是非読んでみてください。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。