海外ETFの税金はどうなる?知っておきたい外国税額控除の仕組み

海外ETFの税金はどうなる?知っておきたい外国税額控除の仕組み

ETFは、低コストで分散投資が可能な金融商品として、投資家から人気のある金融商品です。

ETFは国内で上場しているほか、米国などで上場している海外ETFも存在します。

「外国のETFって、日本で買えるの?」

「海外のETFだと税金はどうなるの?」

今回は海外ETFについて紹介するとともに、税金などの注意点についても解説します。

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目次

海外ETFとは

ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)とは、証券取引所に上場し、株式指数などの指標への連動を目指す投資信託です。

上場しているため、株式のように売買できることが大きな特徴です。

米国など海外の取引所に上場

海外ETFは、海外の取引所に上場しているETFです。

株式のほか、債券や不動産、金などのコモディティを投資対象にしているETFがあります。

その主要市場は米国ですが、香港市場やシンガポール市場など、各国の株式市場に上場するものがあります。

日本国内の証券会社で購入できる、代表的な米国ETFの例として、以下が挙げられます。

バンガード トータル ワールド ストックETF(VT)

米国を含む全世界の先進国株式市場・新興国株式市場を投資対象とするETFで、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動した投資成果を目指します。

このインデックスは全世界の大型・中型・小型株の市場パフォーマンスを測定し、先進国や新興国を含む約47か国の約8,000銘柄で構成されています。

バンガード S&P 500 ETF(VOO)

総額の大きい米国株式を構成銘柄とするS%P500指数の投資パフォーマンスに連動する投資効果を目指すETFです。

2023年4月末現在、組入上位銘柄はアップルやマイクロソフト、アマゾンなどです。

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日本のETFとの違い

国内のETFを取引する場合、取引時間は日本の株式市場が開いている日中で、日本円で取引が行われます。

いっぽう海外のETFの場合は、現地の株式市場が開いている時間帯に、現地通貨で取引されることになります。

米国市場のETFなら米ドル、シンガポール市場のETFならシンガポールドル、香港市場のETFなら香港ドルとなります。

海外ETFのメリット

海外ETFのメリットは、主に3つあります。

①少額での分散投資が可能

ETF(上場投資信託)は名称に投資信託とあるように、多数の銘柄を運用する金融商品です。

ETFが多数の銘柄で構成されているため、リスク分散が可能となります。

また米国上場のETFは、基本的に1株から購入できるので、手元資金が少ない人も少額でETFを購入することができるのです。

初心者でもチャレンジしやすく、複数のETFを保有するのにも適しています。

②いつでも売買が可能

ETFは上場しているため、株式市場で売買が可能です。

投資信託は株式市場がクローズした後に基準価格が計算されるため、1日に1度しか価格がつきません。

いっぽうETFは、取引時間中なら株式と同じように値動きを見ながらいつでも売買できます。

③低コスト

ETFのなかには、一般的な投資信託よりも保有にかかるコストが低く抑えられているものもあります。

ETFは投資信託と違って、販売会社を介さない、一般投資家が購入・契約する際の資産の売買が不要、受益者に対する報告作業などが少ないといった特徴があります。

そのため、ETFの保有時にかかるコスト(経費率)はより低い傾向があるのです。

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海外のETFの税金

では海外のETFの税金はどうなっているのでしょうか。

国内で上場している国内ETFと、米国など海外で上場している海外ETFでは、税金の取り扱いが異なるため注意が必要です。

代表的な海外ETFである米国ETFに関する税金について、見ていきましょう。

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分配金への二重課税も

まずETFでは、「売却益」と「分配金」という2つの利益があります。

米国ETFの場合、売却益に対して日本国内では20.315%の源泉分離課税または申告分離課税がかかりますが、米国では課税されません。

いっぽう分配金に関しては、税金のかかり方が違ってきます。

ETFは法令上、決算期間中に生じた利子や配当などの収益から、信託報酬などの費用を控除した「インカムゲイン」を分配する仕組みになっています。

海外に上場しているETFで得られた分配金は、現地の租税条約によって定められた税率で源泉徴収されます。

さらに残りの金額に対しても、日本国内で課税されます。

分配金の課税はすべての国で行われるわけではありませんが、米国の源泉徴収率は「10%」となっています。

米国ETFで分配金を得た場合、まず10%の外国所得税が課税され、その後NISAなどの非課税制度以外で投資している場合は、日本国内でさらに20.315%かかる「二重課税」となるのです。

外国税額控除

この二重課税については「外国税額控除」を利用することで、一部を取り戻すことができます。

外国税額控除とは、外国で課税された税額を日本国内の所得税額から、一定の範囲で控除する制度です。

外国税額控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

なおNISA口座で取引している場合は、外国税額控除の適用を受けることはできません。

二重課税調整制度は東証上場のETFに適用

二重課税の状態は、長らく課題とされており、証券業界は改善を要望していました。

その後2020年1月1日の税制改正によって、二重課税調整措置が取られるようになりました。

投資家が特別な手続きをしなくても、自動的に二重課税にならないよう調査されるというものです。

ただしこれは、東証に上場する外国株ETFや外国債券ETFが対象であり、VOOやSPYDなど海外取引所に上場しているETFは対象外なので注意しましょう。

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まとめ

今回は、海外ETFの税金について解説しました。

海外の株式やETFへの投資環境は整ってきており、初心者でも挑戦しやすくなっています。

ETFは上場しているため、株式と同じように値動きを見ながら取引できることが大きな特徴です。

代表的な海外ETFである米国ETFの場合、分配金に対して日本国内と米国の両方で課税される二重課税状態となっています。

二重課税を避けるためには、確定申告をして外国税額控除を利用する必要があるので注意しましょう。

限られた資金を有効に活用して、より効率的に利益を狙うなら、的確なタイミングで売買することが欠かせません。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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