デュレーションとは?金利との関係性や影響を受ける要因を解説

デュレーションとは?金利との関係性や影響を受ける要因を解説

債権を選ぶ際、デュレーションに注目することが重要です。

デュレーションを理解することで、金利の動きを予測しながら、より賢く、そして安心して債券ファンドを選ぶことができるようになります。

本記事では、デュレーションの基本的な考え方から、賢い活用法までを分かりやすく解説していきます。

   
目次

デュレーションとは

デュレーションの定義について解説します。

デュレーションの定義と重要性

デュレーションを一言で言うと「債券のキャッシュフローを受け取るまでの加重平均期間」を表しており、分解すると「期間的な性質」と「感応度的な性質」にわかれます。

「期間的な性質」は債券から得られる利息や償還金などのキャッシュフローを現在価値で重み付けし、受け取りまでの期間の加重平均を示したものです。

「感応度的な性質」は、期間的な性質を基に、金利変化に対する債券価格の変動率を示すように調整したものです。

「期間的な性質」はマコーレー・デュレーション、「感応度的な性質」は修正デュレーションと呼ばれ、2つを総称して「デュレーション」と言います。

デュレーションとは?金利との関係性や影響を受ける要因を解説

修正デュレーション・残存期間との違い

修正デュレーションとは、デュレーションを割引率で修正したもので、金利が1%変動した際に、債券価格が何%変動するかを直接的に表す指標です。

デュレーションが資金回収までの実質的な期間を示し、修正デュレーションが金利変動に対する価格感応度を表します。

例えば、修正デュレーションが3の債券がある場合、金利が1%上昇すると、その債券の価格は約3%下落すると予想されます。

残存期間とは、文字通り、債券が償還されるまでの残り期間のことです。

ゼロクーポン債におけるデュレーションはクーポン収入を考慮した資金回収までの実質的な期間で、残存期間は発行されたときから時間とともに短くなっていく物理的な期間です。

デュレーションに影響を与える要因

デュレーションがどのような要因から影響を受けるか解説します。

償還までの期間(残存期間)

残存期間が長いほど、デュレーションは大きくなります。

金利は日々変動するため、その影響を受ける期間が長いほど、債券の価格変動リスクは高まるためです。

例えば、金利が1%上昇した場合、償還まであと1年の債券よりも、あと20年の債券の方が、より大きな価格下落リスクを負います。

これは、金利が高い状態でより長期間保有する必要があるためです。

表面利率(クーポンレート)

表面利率(クーポンレート)が高いほど、デュレーションは小さくなります。

表面利率とは、債券の額面に対して毎年支払われる利子のことです。

表面利率が高い債券は、投資家が早期に多くのキャッシュフロー(利子)を受け取ることができます。

これにより、元本を回収するまでの実質的な期間が短縮されるため、金利変動による影響を受けにくくなります。

複利効果

最終利回りが高いほど、デュレーションは小さくなります。

最終利回りは、債券を償還まで保有した場合の、年率換算のトータルリターンを指します。

また、「いまこの価格で買って、満期まで持ち続けたら、年あたりどれくらいのリターンになるか?」を金利換算したものをYTM(yield to Maturity:最終利回り)といいます。

YTMが高いと、投資家が受け取る将来のキャッシュフローの割引率が高いです。

これにより、将来のキャッシュフローの現在価値が小さく評価されるため、デュレーションも小さくなります。

 

デュレーションを理解するためのポイント

デュレーションについて理解を深めるためには、いくつかのポイントがあります。

デュレーションの高低による違い

満期までの期間が長い債券や、受け取る利子(クーポン)が低い債券は、デュレーションが高い傾向です。

金利変動の影響を大きく受けるため、価格変動リスクは大きいですが、金利が下がった際には高いリターンを期待できます。

一方、満期までの期間が短い債券や、利回りが高い債券は、デュレーションが低い傾向です。

これらは金利変動に強く、価格が安定しやすいでしょう。

デュレーションと金利の関係性

デュレーションは、債券価格と市場金利が逆の動きをするという特性を、数値で表したものです。

金利が上昇すると、新しく発行される債券の利回りが高くなるため、すでに発行されている利回りが低い債券の魅力は相対的に低下し、価格が下落します。

逆に、金利が下落すると、既存の債券の価値が上がり、価格が上昇します。

デュレーションを理解することは、金利の動向を見ながら、自身の投資戦略に合ったリスク・リターン特性を持つ債券を選ぶ上で非常に重要です。

デュレーションとは?金利との関係性や影響を受ける要因を解説

景気動向とデュレーションの関係性

景気が拡大すると、企業活動が活発になり、資金需要が増加します。

これにより、金利は上昇しやすい傾向です。

この局面では、デュレーションが長い債券は、金利上昇による価格下落リスクが大きくなります。

デュレーションが短い債券は、金利上昇による価格下落リスクを抑えることが可能です。

景気が後退すると、企業の資金需要が減少し、景気を刺激するために政策金利が引き下げられることが多くなります。

この局面では、金利は下落しやすい傾向です。

デュレーションが長い債券は、金利下落による価格上昇の恩恵を大きく受けられます。

デュレーションに関するよくある質問

デュレーションに関するよくある質問に回答します。

Q1. 株式にもデュレーションの考え方がありますか?

株式は債券とは異なり、償還日がなく、将来の配当も約束されていないので厳密なデュレーションは計算できません。

しかし、将来のキャッシュフローにどれだけ依存しているかという観点で、疑似的にデュレーションの長短を考えることができます。

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Q2. 賢い債券選びのためのデュレーション活用法は?

金利が上がると予想する場合、債券価格は下落するため、デュレーションが短い債券ファンドを選びましょう。

これにより、価格下落のリスクを抑え、安定した運用を目指せます。

金利が下がると予想する場合、債券価格は上昇するため、デュレーションが長い債券ファンドを選びましょう。

これにより、大きな価格上昇の恩恵を享受できる可能性があります。

まとめ

デュレーションは、債券の価格が金利の変動によってどれくらい動くかを示す重要な指標です。

この数値を知ることで、債券投資における「見えないリスク」を数値として把握できます。

デュレーションを理解し、自身の金利見通しやリスク許容度に合わせて活用することで、より戦略的な債券選びが可能になります。

単に過去の運用成績を見るだけでなく、デュレーションを参考にすることで、ご自身の投資目的に合ったファンドを賢く選ぶことができるでしょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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