資産運用を検討していると、株式投資と並んでFXというものがでてきますよね。
「FXって聞いたことがあるけど株式投資とどう違うの?」と疑問がでてくるでしょう。
そこで今回は、株式投資とFXの違いについて解説します。
またそれぞれのメリット、デメリットについても紹介します。
株式投資とFXの違いを解説
株式投資とFXはそれぞれ投資してお金を儲けるという目的は同じです。
ですが、投資する対象や特徴が違います。
それぞれの違いをまとめると以下のとおりです。
株式投資 | FX | |
投資対象 | 上場株式 | 法定通貨 |
投資対象の数 | 約4,000銘柄 | 約20~50種類 |
取引可能時間 | 9:30~11:30、12:30~15:30 | 24時間 |
主な価格変動の要因 | 企業の業績 | 金融政策、世界情勢 |
レバレッジ | 最大3.3倍 | 最大25倍 |
最低必要金額 | 数十万円 | 数千円~数万円 |
取引にかかるコスト | 取引手数料無料 | スプレッド |
それぞれみていきましょう。
投資対象
株式投資の投資対象は上場株式です。
株式市場に上場された株を取引して利益を得ます。
FXは、世界中の法定通貨が対象です。
メジャーなものといえば米ドル、ユーロ、日本円などがあげられます。
このような通貨が2つ組み合わさった「通貨ペア」を交換して利益を得ます。
投資対象の数
株式の上場会社の数は、2024年12月27日現在3,976社です。
約4,000銘柄近くの企業の中から投資先を選びます。
上場会社数は頻繫に数が変わりますが、だいたい3,900銘柄前後で推移しています。
FXで取り扱われている通貨は、約20~50種類程度です。
取り扱い数は、取引するFX会社により異なります。
取引可能時間
株式市場で取引できる時間は、平日9:00~11:30、12:30~15:30の1日5時間半です。
株式市場が閉まっても取引できるPTS市場を利用すれば、夜0:00まで取引可能です。
ですがPTS市場を利用できない証券会社もありますので、証券会社を選ぶ際は注意しておきましょう。
FXは、平日24時間取引が可能です。
しかしながら、時間帯により取引が活発な時間帯とそうでない時間帯があります。
価格変動の要因
株式の価格変動の主な要因は、企業の業績の良し悪しです。
そのため、決算発表があったときは値動きが激しくなることが多いです。
FXの価格変動の要因は景気や金利、世界情勢などが主に影響を与えます。
特に政策金利が発表されたりすると、値動きが大きくなります。
株式市場への影響はミクロ要因で、FXはマクロ要因のイメージを持っておくとよいでしょう。
レバレッジ
レバレッジとは、投資元本以上のお金を賭けられる仕組みのことです。
株式投資では、最大3.3倍までレバレッジをかけられます。
ですがFXでは、最大25倍まで可能です。
レバレッジの倍数が大きいほど、少ないお金で大きな利益を期待できます。
とはいえ、リスクも大きくなることは注意しておかなければいけません。
最低必要金額
株式投資を始めるなら、最低10万円は準備してはじめたいです。
基本的に最低購入単価が100株からとなっているため、1,000円の株を購入するのにも10万円かかります。
ですが、証券会社のサービスによっては1株や10株から買えるサービスを提供している会社もあるので数万円から始めることも可能です。
FXは通貨ペアやそのときのレートによってことなりますが、レバレッジをかけられるので1万円あれば始められます。
取引にかかるコスト
株式投資の手数料は、証券会社によって異なりますがネット証券であれば基本無料です。
対面の証券会社なら手数料がかかる場合もありますが、いまはネット証券での取引が主流ですので無料だと思って問題ありません。
FXも取引手数料は無料です。
ですが、買値と売値の間には常に価格差があります。
それがスプレッドと呼ばれていて、実質手数料となります。
株式投資のメリットとデメリット
ここからはFXと比べたときの、株式投資のメリットとデメリットについて解説します。
株式投資のメリット
株式投資とFXを比べた場合のメリットは主に以下の3つです。
- 身近な企業に投資できる
- 新NISA制度がある
- 株主優待がある
それぞれ解説します。
身近な企業に投資できる
株式投資のメリットは、身近な企業に投資できることです。
たとえば、トヨタなどの自動車メーカーは馴染み深いですよね。
他にも、慣れ親しんだ多くの会社が上場しています。
対して、FXのメジャーな通貨であるユーロでもあまり聞きなれません。
馴染み深い会社に投資できることは、どんな会社なのか想像しやすいため投資初心者にとっても取り組みやすいでしょう。
新NISA制度がある
株式投資には、新NISA制度があります。
新NISA制度とは、投資で得た利益が非課税になる制度です。
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。
ですがNISA口座で株を運用して利益が出た場合非課税になります。
FXには非課税制度がないため、株式投資はFXよりも利益を残しやすいです。
株主優待がある
株式投資では、株を保有しているだけでもらえる株主優待があります。
株主優待とは投資してくれたお礼として、会社から贈られるプレゼントです。
たとえば、明治HDならお菓子の詰め合わせなどその会社にちなんだ贈り物がもらえます。
FXではスワップポイントという株式投資でいう配当金に当たるお金をもらえます。
ですが、株主優待はもらえません。
株主優待は、FXにはないメリットです。
株式投資のデメリット
株式投資は、FXと比べるとメリットばかりではありません。
ここでは、株式投資のデメリットについて解説します。
始めるなら最低数十万は必要
株式投資は、FXに比べて初期費用が多く必要だと言えます。
株式投資は100株単位での購入が基本となっているため、1,000円の株を買おうと思っても10万円は必要です。
株主優待も、最低100株保有していることを条件としている会社も多いです。
そのため、お金を数十万円は準備してはじめる方がいいでしょう。
ですが、FXはレバレッジの倍数が大きいため1万円あればはじめられます。
会社の倒産リスクがある
株式投資は、会社に投資するため倒産するリスクがあることをわかっておかなければいけません。
もし倒産してしまうと、投資ですので株は無価値になります。
FXも国が破綻してしまうと、通貨が廃止になるリスクはあります。
ですが、会社が倒産するより国が破綻する可能性は低いです。
なので投資商品の信頼性でみた場合、株式投資はFXよりもリスクがあると言えるでしょう。
しかし、会社も一晩で倒産するわけではありません。
日々リサーチしておけば、異変に気づけるため紙屑になるリスクを避けられるでしょう。
FXのメリットとデメリット
ここでは株式投資と比べた場合のFXのメリット、デメリットについて見ていきましょう。
FXのメリット
ここでは株式投資と比べたFXのメリットを3つ解説します。
メリットは以下のとおりです。
- 取引時間が長い
- レバレッジの倍数が大きい
- 投資対象を選びやすい
それぞれ見ていきましょう。
取引時間が長い
FXのメリットとして、取引時間が長いことがあげられます。
FXの取引時間は、平日24時間です。
株式投資は9:00~11:30、12:30~15:30で合計5時間半です。
そのため、昼間仕事をしているサラリーマンは株式投資になかなか参加しにくいと言えます。
ですがFXは24時間取引できるので、仕事が終わってからでも取引ができます。
レバレッジの倍数が大きい
FXはレバレッジの倍数が大きいため、少額でもお金を大きく儲けられる可能性があります。
株式投資では、投資元本の3.3倍までレバレッジをかけられます。
ですが、FXでは最大25倍です。
レバレッジの倍数が大きいため損失が大きくなる場合もあります。
けれども、使い方さえ間違わなければレバレッジを大きくかけられるのはメリットだと言えます。
投資対象を選びやすい
FXは、投資対象を選びやすいです。
FXの取り扱い通貨は、だいたい20〜50通貨程度である場合が多いです。
また、ドルや円などその中でもメジャーな通貨があるためわかりやすいでしょう。
ですが、株式投資の場合は4,000銘柄近くの中から選ばなくてはいけません。
そのため、初心者の方にとっては銘柄を選ぶ労力がかからないのはメリットだと言えます。
FXのデメリット
先ほどはFXのメリットを紹介しましたが、デメリットももちろんあります。
次はFXのデメリットについて解説します。
確定申告が必要
FXでは、確定申告が必要です。
確定申告とは、投資で得た利益に対して税金を確定させて納付する手続きのことです。
株式投資では証券会社が税金を納めてくれるので、確定申告の必要はありません。
ですが、FXでは利益がでると自分で確定申告をしなくてはなりません。
確定申告の手間がかかるのは、FXのデメリットだと言えます。
値幅制限がない
FXには値幅制限がないため、1日で大きな損をする可能性があります。
値幅制限とは、1日の値動きを制限するためのものです。
株式投資には、値幅制限があるため価格が大きく動いても1日で動く変動幅に限度があります。
ですがFXには値幅制限がないため、1日で急激な価格変動が起こることがあります。
大きな価格変動が起きて対応出来なかった場合、大損する可能性が大きいです。
そのため価格変動が激しい時間帯は注意が必要です。
投資初心者には株式投資がおすすめ
株式投資かFXのどちらに挑戦しようか悩んでいる初心者の方は株式投資がおすすめです。
なぜなら、2024年から新NISA制度がはじまったからです。
そのため、初心者の方でも資産形成しやすくなりました。
また株式投資は確定申告の手間がかかりません。
このことからも、株式投資はFXに比べ初心者に優しい資産運用だと言えます。
ですが、FXにもメリットがあるため、自分のライフスタイルなどを加味して選ぶのもいいですね。
初心者向けの株の選び方を解説
ここでは、初心者向けの株の選び方を紹介します。
初心者向けの株を選ぶ方法は以下の3つです。
- 割安な企業から選ぶ
- 配当金利回りが高い会社から選ぶ
- 株主優待で選ぶ
それぞれ解説します。
割安な企業から選ぶ
株の選び方として、割安な会社から株を選ぶ方法があります。
割安な会社とは、会社が稼ぐ利益に対して現在の株価が割安であるということです。
株の価値を測る尺度として、PERというものがあります。
このPERは15倍程度を基準に、低いほど株価は割安であると言えます。
PERの計算式は以下のとおりです。
PER=株価÷1株当たり当期純利益
このPERが低い会社の中から投資する株を絞って見つけるのがおすすめです。
配当金利回りが高い会社から選ぶ
配当金利回りとは、投資した金額に対して年間どのくらいの配当金がもらえるのかがわかる指標です。
配当金利回りは、高いほどいいです。
銀行の預金金利のようなものだと思って構いません。
配当金は株を保有しているだけで、1年に1回か2回もらえます。
配当金利回りが高い中から株を選ぶのも簡単でおすすめです。
株主優待で選ぶ
自分が欲しい株主優待で株を選ぶのもいいですね。
株主優待は企業によって違いますが、会社にちなんだ商品が多いです。
たとえば、味の素なら商品の詰め合わせセットが贈られます。
また、商品券をくれる企業もあります。
株を保有しているだけでもらえるので、株主優待で株を選ぶのは初心者向けでおすすめです。
まとめ
今回は、株式投資とFXの違いについて解説しました。
株式投資とFXはそれぞれメリット、デメリットがあります。
ですが、どちらでお金を運用しても十分資産形成することは可能です。
初心者の方で株式投資かFXどちらにしようか悩んでいる方は、NISA制度があることから株式投資をおすすめします。
これを機に株式投資からはじめてみてはいかがでしょうか。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。