日経平均株価がニュースで報じられるたび、「結局、何を見ればいいの?」「どうやって投資に活かすの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
日経平均株価は、日本の株式市場の現状を示す大切な指標で、日経平均株価を理解することは投資を始める上での第一歩となります。
今回は、日経平均株価の基本的な意味や変動する主な要因、そして具体的な投資への活かし方まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
日経平均株価とは
まずは、日経平均株価について解説します。
日経平均株価の意味
日経平均株価とは、日本の株式市場を代表する株価指数の一つです。
正式名称は「日経225」で、東京証券取引所プライム市場に上場している約2,000銘柄の中から、日本経済新聞社が選定した225社の平均株価を指数化しています。
日本の株式市場全体の動向や景気の現状を示す重要な指標として、国内外の多くの投資家や経済専門家に注目されている数値です。
日経平均株価の変動は、日本経済全体の健全性や、企業の収益状況、投資家の市場に対する期待などを総合的に反映しています。
テレビなどで報道される「今日の株価は〇〇円高(安)」というニュースにおいて、株価という言葉は基本的に日経平均株価を指しています。
日経平均株価を構成する銘柄
日経平均株価を構成する225銘柄は、業績や市場の流動性、業界のバランスなどを考慮して選ばれており、日本経済新聞社によって年に2回見直しが行われます。
例えば2025年3月には、ベイカレントを採用し三菱倉庫を外すことが発表されました。
選定された銘柄は日本の経済構造を反映しており、業界に対する銘柄の数は以下の通りです。
構成銘柄の比重は、株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きくなる「株価平均型」の性質を持ちます。
そのため、株価が高い銘柄の株価変動は、株価が低い銘柄に比べるとより大きな影響を与えます。
日経平均株価が動く3つの主な要因
日経平均株価は、主に3つの要因によって大きく変動します。
円高・円安が企業業績と株価に与える影響
グローバル化が進んだ現在、非常に多くの企業で製品や原材料の輸出入が行われています。
そのため、為替レートの変動による影響を受けやすく、特定の株価や日経平均株価全体を動かします。
企業決算と国内外の景気動向
日経平均株価の変動には、企業決算と国内外の景気動向が密接に関わっています。
企業決算とは、企業が一定期間の売上や利益、今後の業績見通しなどを公開するものです。
市場の予想を上回る良い決算を発表したり、今後の見通しが上方修正されたりすると、その企業の株価は上昇しやすくなります。
構成銘柄が好決算を出すと、日経平均株価全体を押し上げます。
一方で、市場の予想を下回る決算や今後の見通しが下方修正された場合は、株価が下落しやすくなり日経平均株価の足を引っ張るでしょう。
国内外の景気も、株価を左右するポイントです。
国内景気は、消費支出や設備投資、輸出入などの経済指標や、政府・日本銀行が発表する経済見通しにより測られ、企業の業績全体に影響を与えます。
景気が良くなると企業の売上や利益が増えやすくなり、株価も上昇するでしょう。
日本は輸出に依存する部分が大きいため、アメリカや中国、ヨーロッパなど主要国の景気動向が、日本企業や日経平均株価に大きな影響を与えます。
例えば、米国の景気後退懸念が高まると、日本企業の輸出が減るとの連想から、日経平均株価が下落する傾向が見られます。
投資家心理と需給バランス
日経平均株価の動きは、投資家心理と需給バランスという市場特有の要因によっても大きく左右されます。
投資家心理で着目すべきポイントは、3つあります。
1つ目が、楽観ムードです。
これは、経済見通しの明るさや企業の好決算など、ポジティブな情報が多い時期に現れます。
投資家の間で株価が上がるだろうという心理が広がり、買い活発になることで日経平均株価を押し上げます。
2つ目が、悲観ムードです。
これは、景気後退の懸念や国際情勢の不安定化、企業の不祥事など、ネガティブな情報が多い時期に現れます。
投資家の間で株価下落を恐れる心理が広がり、売りが優勢になることで日経平均株価を押し下げます。
3つ目が、集団行動です。
投資家の心理は、伝播しやすい性質があります。
大きなニュースが流れたり、噂が流れたりすると、一つのきっかけで多くの投資家が同じ方向に動き出す「集団心理」が働くことがあります。
これが株価の急騰や急落を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
また、需給バランスについても理解しておきましょう。
日経平均株価と投資の関係性
日経平均株価と投資がどのように関係あるか、2つの観点から解説します。
日経平均連動型ETFや投資信託の仕組み
日経平均連動型ETFは、日経平均株価の動きに連動するように運用される投資信託の一種です。
証券取引所に上場しており、株式と同様にリアルタイムで売買できます。
運用会社は投資家から資金を集め、日経平均株価を構成する225銘柄の株式を、構成比率に合わせて購入します。
これにより、ETFの価格は日経平均株価の動きにほぼ連動します。
少額から分散投資できるためリスクを抑えられ、手軽に市場全体の成長を享受しやすい点が魅力です。
ETFと同様に、日経平均株価の動きに連動することを目指して運用される投資信託もあります。
証券取引所には上場しておらずリアルタイムでの売買はできないため、1日1回算出される基準価額に基づき売買されます。
積立投資との相性が良く、長期的に資産形成を進めるのに適しています。
少額から始められることや、投資のプロに運用を任せられることから、投資初心者や、本業があり日々の市場調査ができない方から人気です。
日経平均株価と個別株の関係
日経平均株価は市場全体の動向を示し個別株の株価にも影響を与えますが、常に同じ動きをするわけではありません。
日経平均株価が大きく上昇すると多くの個別株も高くなる傾向があります。
これは、投資家心理が全体的に強気になり、買いが優勢になるためです。
日経平均株価が下落すると、これと正反対の動きが見られます。
特に、225銘柄の株価は日経平均株価の動きに影響を与えやすく、構成銘柄の多くが動きに追随することが多いです。
一方、企業独自の業績や不祥事などは、日経平均株価の動きとは関係なく、その個別株の株価に影響します。
日経平均株価が下落していても、好材料があればその個別株だけが上昇することもあります。
また、AIや環境など特定のテーマが注目されると、関連企業の個別株が日経平均株価の動きとは別に大きく上昇することがあります。
さらに、日経平均株価は大企業が中心であるため、小規模の銘柄は市場全体の動きとは異なる動きをすることもあります。
日経平均株価を投資に活かすチェックポイント
投資をするにあたって、日経平均株価をどう活かせばいいかを解説します。
日々のニュースやチャートの読み解き方
日経平均株価を投資に活かすためには、日々のニュースやチャートを適切に読み解くスキルが不可欠です。
具体的には、以下のポイントに注目しましょう。
日経平均株価を活用した投資判断
日経平均株価を活用して投資判断する場合、4つのポイントがあります。
1つ目が、市場全体のトレンド把握です。
日経平均株価の動きを見れば、日本の株式市場全体が、どのようなトレンドかがわかります。
日経平均が上昇トレンドであれば株が買われやすく、個別株も上昇しやすいです。
下降トレンドであれば、個別株も下落しやすくなります。
2つ目が、押し目買い・戻り売りの判断です。
日経平均株価が上昇トレンドの中で一時的に下落する押し目は、買いのチャンスと判断されることがあります。
下降トレンドで一時的に上昇する戻りは、売りのチャンスと考えられることが多いです。
この判断には、移動平均線や支持線・抵抗線といったチャート分析が役立ちます。
3つ目が、個別株の相対的な評価です。
日経平均株価が下落している中で上昇している個別株は、特別な好材料があるか、市場から高く評価されていると判断できます。
日経平均株価が上昇しているにもかかわらず、下落している個別株は、何か問題がある可能性や、市場からの評価が低い可能性を示唆しています。
4つ目が、ポートフォリオのリバランスです。
日経平均株価が大きく動いたときは、自身のポートフォリオにおける日本株の比率を見直すタイミングにもなります。
市場全体が過熱していると感じれば一部利益確定を検討し、個別企業の業績に変化がないのに大きく下落した場合は長期的な視点での買い増しを検討しましょう。
日経平均株価に関するよくある質問
日経平均株価に関するよくある質問に回答します。
Q1.日経平均株価で初心者が注目するべきポイントは?
日々の終値と前日比です。
市場がその日、全体として上昇したのか下落したのか理解し、なぜ上がった・下がったかを確認しましょう。
また、トレンドも重要です。
数日や数か月など複数の期間を見て、全体的に上昇・下降しているか、横ばいかを把握してください。
Q2.日経平均を見れば投資で儲かりますか?
日経平均株価を見るだけで、必ず投資で儲かることはありません。
市場全体の流れやムードを把握することはできますが、それだけで個別の銘柄選択や売買タイミングの判断をすることは不可能です。
日経平均を参考に、他の情報と組み合わせて賢く投資戦略を立てましょう。
まとめ
今回は、日経平均株価について解説しました。
日経平均株価は、日本の株式市場全体を映し出す鏡であり、投資を始める上でその見方を理解することは非常に重要です。
225社の主要企業の平均株価として算出され、円高・円安、企業決算、国内外の景気動向、そして投資家心理と需給バランスによって日々変動します。
日経平均株価を適切に活用し、資産形成を進めましょう。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。