今回は「ケインズ経済学」について解説します。
ケインズ経済学を提唱したイギリスのケインズは、投資家なら誰もが知る格言を残すなど、株式投資の世界でも有名な人物です。
ケインズの思想について、詳しく見ていきましょう。
ケインズ経済学とは
ケインズ経済学とは、イギリスのジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946)によって提唱された経済学です。
20世紀の経済社会は、資本主義と社会主義に大きく分かれて始まりました。
そこで新古典派経済学もマルクス経済学も否定して注目を集めたのが、ケインズです。
ケインズ経済学は、1929年のアメリカ株式市場大暴落に端を発する1930年代の世界恐慌まっただなかに完成しました。
ケインズ経済学では「市場経済は放っておくと不安定になる」として、政府の積極的な介入を求めました。
新古典派経済学よりも「大きな政府」を目指すもので、政府の役割を重視する政治思想「リベラリズム」に対応する思想といえます。
代表的なリベラリズムの政党としては、アメリカの民主党が挙げられます。
スーパーエリートだったケインズ
ケインズは、マルクスがこの世を去った1883年に生まれ、イギリスが生んだ20世紀最大の経済学者として知られています。
ケンブリッジ大学の経済学者の父、ケンブリッジ市長を務めた母の間に生まれたエリートで、経済学のほかにも芸術や政治など多方面にわたり活躍した人物としても知られています。
第1次世界大戦後のベルサイユ会議でイギリス大蔵省の首席代表を務めたほか、第2次世界大戦後の世界経済体制を決めるブレトンウッズ会議でもイギリス代表として参加しました。
ケインズはもはや、スーパーエリートといってよい人物ですね。
ケインズはケンブリッジ大学で数学を専攻後、インド省の官僚を経て、ケンブリッジ大学で経済学を教えました。
「雇用・利子および貨幣の一般理論」や「貨幣論」など、有名な著書も多数発表しています。
マクロ経済学の誕生
ケインズは新古典派経済学の流れを汲んで、資本主義社会を最善のシステムとしつつも「市場の自由に任せるのではなく政府が介入すべき」との考えを示しました。
1929年に起きたアメリカの株式市場の大暴落は、新古典派経済学に基づくと「放っておくのが良い」ということなります。
実際、自由主義者だったアメリカ共和党のフーバー大統領は暴落を放置し、世界恐慌が拡大してしまいました。
1933年に民主党のルーズベルト大統領が就任して、政府による財政・金融政策を総動員する「ニューディール政策」を実行し、ケインズはこれを支持しました。
「放っておくと市場経済は不安定になる」として、不況になったら政府が財政出動し、需要を作り出すべきという「有効需要の創出」を主張したのです。
物価や消費、金融などの経済社会全体の動きを、国や政府のレベルで考える「マクロ経済学」は、ケインズが生みの親だとされています。
マクロは「巨大な」という意味があり、新古典派経済学で誕生した「ミクロ経済学」と合わせて大学の経済学の授業で教えられています。
まとめ
最終回となる今回は、ケインズ経済学について解説しました。
ケインズ経済学は、政府の市場介入の必要性を説いて「やや大きな政府」を目指し、アメリカの1930年代の大恐慌のさなかに完成しました。
またケインズは優秀な投資家としても活躍し、自身も投資により膨大な資産を築いたほか、母校ケンブリッジ大学の基金や、仲間と作った投資会社の資金などを25年にもわたり運用し、優秀な運用成績を残したとされています。
株式投資の世界でも有名なケインズは、株式投資に関する数々の格言も残しています。
代表著書「雇用・利子および貨幣の一般理論」では、株式投資の銘柄選びについて「美人投票」に例え「自分が最も美しいと思う人を選ぶのではなく、平均的な意見が最も一致しそうな人を選ばなくてはならない」と述べました。
これは株式投資の本質を突いているとして、格言として広く知られています。
株式投資に興味のある方は、ケインズの思想についてもぜひ知っておきたいですね。
不安定な現代社会において、株式投資は限られた時間で大きく資産を増やせる可能性がある資産運用手段として注目を集めています。
当サイトでは株式投資で効率的に資産を増やすための手法「テクニカル分析」を中心に、実践的で役立つ情報を数多くご紹介しています。
サイトを監修する相場師朗先生は、アジア最大規模の投資塾「株塾」を主催しており、約3,500名の受講生が月2回の勉強会を通して株技術を学んでいます。
興味のある方はぜひ詳しくチェックしてみてくださいね。