今回は「経済指標」について解説していきます。
「経済指標ってなに?」
「どの経済指標をチェックするのがいいの?」
経済指標とは、経済状況を数値化したもので、経済の実態や動向を把握するために欠かせません。
国内外で多くの経済指標が発表されており、その内容は景気から金利、物価など多岐にわたります。
エコノミストや投資関係者などは、常に複数の経済指標に注目しています。
経済指標を上手に活用できれば、いち早く経済の動向を見極め、さまざまな局面で有利な判断や行動を取ることができるでしょう。
ただし、あまりに多くの経済指標が存在するため、すべての経済指標をチェックするのは大変です。
特に初心者の方は、重要な経済指標にポイントを絞って見ていくことが重要となるのです。
そこで今回は、覚えておきたい経済指標について解説します。
経済指標とは何か
私たち人間は、自分の体調を知りたいとき、どんなことをするでしょうか。
発熱がないか体温計で体温をはかったり、血圧計で血圧を調べたり、採血して赤血球やヘモグロビンなどの数値に異常がないか調べたりしますね。
「体温」や「血圧」、「赤血球の数」など様々なデータから、体調が良いか悪いか総合的に判断することができています。
同じように、経済もさまざまな経済指標を参考にすることで、経済の状況や動向を把握したり、将来の見通しを立てることが可能です。
経済指標は、経済状況を構成する物価や金利などの要因を数値化したもので、経済の現状や過去からの変化を正確に把握することができます。
日々、公的機関をはじめとして、中央銀行やシンクタンク、調査機関などの様々な期間や団体によって経済指標が発表され、マーケットに大きな影響を与えています。
ニュースや新聞でも「GDP」や「消費者物価指数」といった言葉を見聞きすることがあると思いますが、これらも経済指標のひとつです。
覚えておきたい経済指標
経済指標は数多く存在しますが、そのなかでも特に覚えておきたい重要な経済指標は、以下の5つです。
・金利に関する指標(政策金利)
・物価に関する指標(物価上昇率)
・景気に関する指標(景気動向指数、消費動向指数、GDP)
・雇用に関する指標(雇用統計)
・貿易に関する指標(貿易収支)
政策金利とは
政策金利とは、景気や物価を安定させるために、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する短期金利のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響します。
銀行に預金している人は多いと思いますが、その金利の動向を把握するためにも、ぜひチェックしておきたいですね。
物価上昇率とは
物価上昇率は、前月または前年など、ある時点を基準とした価格変動の上昇度合いを示す指標で、インフレ率とも呼ばれます。
前回解説した通り、インフレやデフレなど物価の変動は私たちの生活に密接に関係しているので、見逃せない指標といえるでしょう。
景気動向指数、消費動向指数、GDPとは
景気に関する代表的な指標としては、景気に関する総合的な指標である「景気動向指数」のほか、個人消費に関する「消費動向」、一定期間に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値を示す「GDP(国内総生産)」などが挙げられます。
雇用統計とは
雇用統計は、就業者数や失業率など雇用情勢に関する統計で、日本国内では総務省による「労働力調査」や厚生労働省による「雇用動向調査」などがあります。
またアメリカの労働省が、毎月第1金曜日に発表している「アメリカ雇用統計(CES)」は、景気動向を把握するための重要な指標として、日本でも注目されています。
失業率が上昇し、非農業部門就業者数が減ると、景気が減速局面に入ったと判断され、株価の下落などにつながることがあります。
貿易収支とは
貿易収支は、毎月財務省が「貿易統計」で発表する輸出入の収支のことで、輸出額が輸入額を上回ると貿易黒字、逆に輸入額が輸出額を上回ると貿易赤字となります。
貿易収支は速報性が高く、経済の実態を反映しやすいとして、特に注目されている指標です。
まとめ
経済の基礎知識として覚えておきたい「経済指標」について詳しくご説明しました。
経済指標は世の中の景気を判断するのに役立ち、発表される数値は金融市場にも大きな影響を与えます。
特に金利や物価、景気、雇用、貿易に関する代表的な経済指標はチェックしておきたいところです。
日本の経済は、国境を越えた人の移動や、輸出入など、海外とのかかわりによっても大きな影響を受けます。
経済指標は日本国内で算出されるものだけではなく、アメリカ雇用統計など海外の指標もぜひおさえておきましょう。