「金投資のリスクって?」
「金投資に詐欺はあるの?」
「金」という現物が存在する金投資は「リスクの低い投資方法」などと謳われることもありますが、まったくリスクがないわけではありません。
過去には金投資をめぐる歴史的な詐欺事件も発生しています。
思わぬ損失を避けるためにも、事前に考えられるリスクを理解して、対策しておくことが重要です。
今回の記事では、金投資のリスクについて詳しく解説します。
金投資のリスク
まず金投資のリスクにはどのようなものがあるのか見てみましょう。
ここでは代表的なリスクを3つご紹介します。
金価格の変動リスク
金の価格は、需給バランスやアメリカドルの価値、インフレ、地政学リスク、各国中央銀行の売買動向などを要因として、日々変動しています。
金の価格が下落すれば、所有する金の価値も目減りし、元本割れとなるリスクがあります。
金投資を行う際には、元本割れのリスクもあることを念頭に置いたうえで、余裕資金で運用するなどの対策が重要です。
金の盗難リスク(金治金・金貨の場合)
金地金や金貨など、金現物を保有する投資の場合、盗難のリスクがあります。
金の価値は世界共通で、多くの人からその価値が認められていますが、金を盗もうと狙っている人もそれだけ多いということを忘れてはなりません。
自宅での保管は盗難のリスクが高まるため、管理機関や倉庫で保管する人も少なくありません。
その場合も預け入れや引き出し、保管などの手数料で年数万円発生するなど、管理コストがかさむこともあるので注意しましょう。
運営会社のリスク(純金積立の場合)
純金積立で金を購入する場合、運営会社が管理することとなり、運営会社が倒産した場合に預けていた金が戻ってこないというリスクが考えられます。
また金を預ける方法として「消費寄託」と「混蔵寄託」という2つの種類があります。
「消費寄託」とは運営会社が預かった金を運用するもので、一般的に保管料は無料で、ボーナス特典を受け取ることができます。
一方「混蔵寄託」とは運営会社が預かった金を運用せずに専用金庫で保管するもので、一般的に保管料は有料です。
金を預ける運営会社はどのような会社なのか、信用できる会社なのか、どのように預けた金を管理するのかなどよく確認し、自分に合った運営会社を選ぶことが重要です。
金投資をめぐる詐欺
金投資と聞くと「詐欺ではないのか」と身構えてしまう人もいるかもしれません。
残念ながら金投資をめぐっては、さまざまな詐欺事件が実際に発生しています。
なかでも特に有名なのが、1980年代に世間を震撼させた「豊田商事事件」です。
これは豊田商事という会社による、金地金などを用いた悪徳商法を手口とした、組織的な大規模詐欺事件でした。
高齢者を中心に日本全国で数万人が被害に遭い、その被害総額は実に2,000億円近くとも言われています。
その手口は、金地金を購入させる契約を結びながら、顧客には現物を渡さずに会社が預かり「純金ファミリー契約証券」という証券を渡す「現物まがい商法」でした。
顧客は本当に現物を購入したのか確認できず、実際には証券という紙切れしか手元に残らないという被害に遭ったのです。
見せびらかすように豊田商事の営業拠点に積まれていた金の延べ棒も、実はニセモノだったことが明らかになりました。
当時は金に対する日本国民の関心が高まっていたことに加え、巧妙な電話セールスなどで一人暮らしの高齢者や母子家庭といった社会的弱者が標的にされたことで被害が広がったとみられています。
豊田商事事件以外にも、主に金の延べ棒などの金地金を用いて、高齢者が被害が遭う詐欺事件が多数確認されています。
詐欺師は「格安で金が買える」「絶対に儲かる」など甘い言葉で誘惑してきますが、金は国際価格が定められており格安で買うことはできません。
また、金投資には一定のリスクがあるため、「絶対に儲かる」ことはありません。
正しい知識を身につけることで冷静に判断し、詐欺だと分かればハッキリと断ることが重要です。
まとめ
今回は、金投資のリスクについて解説しました。
現物が存在し、比較的価値が安定している金投資は、リスクが少ないとも言われますが、実はさまざまなリスクが潜んでいます。
価格変動による元本割れのリスクや、金治金や金貨の場合は盗難リスク、純金積立の場合は運営会社の倒産リスクなども見逃せません。
また過去には金投資を悪用した大規模な詐欺事件も発生しており、正しい知識で身を守ることも重要です。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。