今回の記事では、「経済指標」のなかでもGDPとGNPについて解説します。
一度は聞いたことのある言葉でも、詳しい意味は理解していない人が多いはず。
振り返る意味も含めて、GDP・GNPとは何なのかを確認しておきましょう。
経済指標とは
経済指標とは、世の中のお金や財産の動きを表すもので、各省庁や内閣府、日本銀行などの公的機関が公表しているデータの総称です。
経済は、景気や生産、消費、所得、輸出、投資など、さまざまな要素が密接につながっています。
そしてそれぞれの経済の流れには、その動向を表す経済指標があります。
経済全体の動向を把握するためには、経済指標を正しく理解することが欠かせないのです。
経済指標は、新聞の経済面のほか、省庁のホームページやニュースサイト、投資情報誌などさまざまな媒体でチェックすることができます。
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GDPとは
経済指標は、国内外にさまざまなものが数多く存在します。
なかでも最も有名なのが、4半期に一度公表されるGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)です。
GDPとは、一定期間に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値を示すものです。
GDPは、個人消費、住宅投資、設備投資、在庫投資、政府消費、公共投資、公的在庫、輸出を合計したものから、輸入を差し引いて計算されます。
輸入されるモノやサービスは、国内で生み出されたのではなく、海外の企業が生み出した付加価値であるため、輸入は差し引かれるのです。
またGDPには、日本企業が国内で生産した付加価値も含まれません。
GDPが前年同期や前期と比較してどのくらい増減したのかを示す「伸び率」は「経済成長率」とも呼ばれ、国内の景気変動や経済成長を推定できるとして高く注目されます。
また、国の経済規模を比較する際にもよく使われます。
IMF(世界通貨基金)が発表した最新の2021年GDP世界ランキングによれば、トップはアメリカとなっています。
2位の中国に続いて日本が3位となっており、4位ドイツ、5位イギリス、6位インド、7位フランス、8位イタリア、9位カナダ、10位韓国と続きます。
日本は長らくアメリカに次ぐ2位の座を維持していましたが、2010年に中国に追い抜かれて以降、3位の状態が続いています。
なおGDPの額を見てみるとアメリカと中国が突出しており、この2か国だけで世界のGDPの4割近くを占めています。
このようにGDPのデータを見ることで、世界の経済的な構図をざっくり把握することができるのです。
GNPとGNI
しばしばGDPと混同される経済指標として「GNP(Gross National Product:国民総生産)」が挙げられます。
GNPは国の内外を問わず、一定期間にある国民によって新しく生産されたモノやサービスの付加価値を示すものです。
国内に限らず日本企業の海外支店等の所得も含む点がGDPと異なりますが、日本ではGDPとGNPの数値にそれほど大きな差はありません。
かつてはGNPは国の経済規模を比較するためによく使われていましたが、経済のグローバル化が進むに伴い、代表的な指標としてGDPが使われるようになったのです。
なお国際連合が1993年に勧告した新たな国民経済計算の体系「1993SNA」の導入により、GNPという概念はなくなりました。
現在は同様の概念として、「GNI(Gross National Income:国民総所得)」が新たに導入されています。
まとめ
今回はまず経済指標は何か、そして最も代表的な経済指標である「GDP」について解説しました。
GDPは一定期間に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値を示し、国の経済規模を比較する際にもよく使われます。
2021年のGDP世界ランキングでは、日本は3位ですが、トップのアメリカと2位の中国だけで、世界全体のGDPの約4割を占めています。
GDPは国の経済規模や、世界における影響力を考察するのに役立つため、年に1度は主要国のGDPをチェックしておくとよいでしょう。
なおかつては「国民」によって新しく生産されたモノやサービスの付加価値を示すGNPがよく使われていましたが、現在では代わりにGNIという指標が使われるようになっています。
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著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。