新興国ETFとはなに?投資するメリット・デメリットを解説

新興国ETFとはなに?投資するメリット・デメリットを解説

「新興国ETFとはどんな商品?」と疑問に思っていませんか?

新興国ETFは成長性が高いと聞いたことがあるものの、具体的にどのような特徴があるのかわからないと思っている方が多いようです。

そこで今回は、新興国ETFの基本的な概要から、投資するメリット・デメリットを詳しく解説します。

本記事を読むと、初心者の方でも新興国ETFとはどんな商品なのか理解できるようになります。

ぜひ本記事の内容を参考に、新興国ETFについて理解を深めてください。

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目次

新興国ETFとはなに?

新興国ETFとは、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、メキシコなど、経済成長が見込まれる新興国市場に分散投資できる上場投資信託です。

日本国内の商品には「【1658】iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF」があり、米国市場には「VWO」「EEM」といった代表的ETFも存在します。

新興国ETFは新興国の経済成長による恩恵を受けながら、リスクを分散できるため多くの投資家に活用されている商品です。

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新興国ETFに投資するメリット

本章では、新興国ETFへ投資するメリットを紹介します。

  • 経済成長率が高い国に投資できる
  • 分配金利回りが比較的高い
  • 分散投資によるリスク低減ができる

それぞれ解説します。

経済成長率が高い国に投資できる

新興国ETFの魅力は、先進国を大きく上回る経済成長力のある国に投資できることです。

IMF(国際通貨基金)は2025年7月末に、先進国の経済成長率が年1.5%程度に留まる一方で、新興国は年4.1%と2倍以上の成長予測を発表しました。

そのため、新興国ETFは長期的にみると有望な投資先になる可能性があります。

ただし、成長性の高さと引き換えに、価格変動リスクも大きくなる点は理解しておきましょう。

また、本章で紹介した経済成長率は、あくまでも予測で確実なものではない点に注意が必要です。

分配金利回りが比較的高い

新興国ETFは、先進国ETFと比較して分配金利回りが高い点もメリットです。

2025年8月時点のデータを見ると、先進国ETFの分配金利回りは1.15%〜1.25%ですが、新興国ETFは2%を超えています。

分配金利回りが高くなる理由は、市場の成熟度や情報開示の透明性などの要因により、株価は割安評価を受けやすいからです。

株価が割安評価されることにより、相対的に分配金利回りは高くなります。

新興国ETFは、カントリーリスクなどの問題もありますが、インカムゲインを重視する投資家にとっても魅力的な選択肢の一つといえます。

分散投資によるリスク低減ができる

新興国ETFへの投資により、分散投資を通じて全体のリスクを効果的に抑制できます。

新興国ETFは、複数の国や業種にわたって投資を行っているので、特定の国や企業の個別リスクに資産全体が左右されにくい構造になっているからです。

そのため、新興国の中である国の経済状況が悪化した場合でも、他の国や地域の経済成長により全体の損失が軽減される効果が期待できます。

新興国ETFへの投資は、多くの新興国の銘柄に手軽に分散投資できるため、個別株投資のように集中投資して大きな損失を抱えるリスクを回避できます。

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新興国ETFに投資するデメリット

新興国ETFは魅力的なメリットがある一方で、投資初心者が理解しておくべきデメリットも存在します。

本章で紹介するデメリットは、以下のとおりです。

  • 政治リスクがある
  • 為替リスクがある
  • 規制リスクがある

それぞれ解説します。

政治リスクがある

新興国ETFへの投資において、政治リスクは注意すべきデメリットの一つです。

新興国は政情不安や突発的な政策変更が発生しやすく、政治的変化が資産の価値や市場環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。

過去の例として、ロシアのウクライナ侵攻などの予測困難な政治的変動が、株式市場へ大きな影響をもたらしました。

投資初心者が政治リスクに対処するためには、一国に集中投資せず、地域分散を心がけて政治リスクの影響を最小限に抑えるのが重要です。

為替リスクがある

新興国ETFには、為替リスクが存在するため注意が必要です。

新興国ETFは現地通貨建てで運用されているため、投資収益が為替変動の影響を直接受けるからです。

たとえば、新興国の株価が順調に上昇している場合でも、現地通貨が円に対して大幅に下落すると、円換算での利益は減少したり損失となったりする可能性があります。

為替リスクが不安な場合、「為替ヘッジあり」のETFを選ぶと為替変動の影響を抑えられますが、ヘッジ運用にはコストがかかる場合が多いです。

そのため、投資期間や自身のリスク許容度を考慮して、為替ヘッジの有無を慎重に判断するのが重要です。

規制リスクがある

新興国ETFへの投資には、規制リスクが存在するため注意が必要です。

新興国では、突然の規制変更が起こりやすく、ETFの運用や流動性に直接的な影響を与える可能性があります。

たとえば、2021年には中国政府による教育関連企業への規制強化の影響により上海総合指数は大幅な下落を経験しました。

したがって、新興国ETFに投資する際は、投資対象国の政治情勢や規制動向を継続的に監視し分散投資によってリスクを軽減するのが重要です。

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新興国ETFについて知りたい人によくある質問

本章では、新興国ETFについて知りたい人によくある、以下の質問に答えていきます。

  • 新興国ETFを選ぶ際のポイントは?
  • 中国が入っていない新興国ETFはある?

それぞれ解説します。

新興国ETFを選ぶ際のポイントは?

新興国ETFを選択するときに確認しておくべき主要なポイントは、以下のとおりです。

  • 投資対象地域
  • 為替ヘッジの有無
  • 流動性

それぞれ解説します。

投資する地域

新興国ETFを選ぶ際は、投資対象となる地域の選択が重要なポイントとなります。

国によって経済成長の見通しや通貨リスクの大きさなどが異なるため、どの地域に投資比重を置くかで将来のリターンが変わるからです。

投資地域の選択肢として中国やブラジル、インドなど特定の国に投資する単一国型ETFがあります。

また、新興国のみで構成されたMSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動するETFのように、新興国全体に分散投資する複数国分散型もあります。

基本的には、単一国型に比べて分散型の方がローリスク、ローリターンという特徴があるので、ご自身のリスク許容度に合わせて選択しましょう。

為替ヘッジの有無

新興国ETF選択において「為替ヘッジの有無」の選択は、投資パフォーマンスに大きな影響を与えるため重要です。

為替ヘッジありのETFは、為替変動の影響を抑制し、円高局面での損失リスクを軽減できるメリットがあります。

ただし、ヘッジコストが発生する点に注意が必要です。

為替ヘッジなしのETFは、為替変動の影響を直接受けるものの、ヘッジコストがかからず運用コストを抑えられます。

そのため、投資目的や為替の見通し、コスト意識に応じて「為替ヘッジの有無」を選択するのが新興国ETF選定の上で重要です。

流動性

新興国ETF選択において、流動性の高さを確認するのは重要です。

流動性が高いETFは売買が成立しやすく、投資家が希望するタイミングや価格での取引を実現しやすいからです。

一方、流動性が低い場合は売買スプレッド(買値と売値の差)が広がりやすく、不利な価格での取引を強いられるリスクが高まります。

したがって、新興国ETFへの投資を検討する際は、流動性の高さを確認し取引コストを最小限に抑えられる銘柄を選択するのが賢明です。

なお、流動性の高さを判断する指標として、日々の取引量の多さや日中における市場価格と基準価額の差の小ささが挙げられます。

中国が入っていない新興国ETFはある?

中国を投資対象から除外した新興国ETFは存在します。

代表的な商品として「iシェアーズMSCI 新興国株式(除く中国)ETF(EMXC)」が挙げられます。

中国除外型の新興国ETFを選択すると、中国の政治リスクや規制リスクを気にする投資家でも、他の成長に期待する国への分散投資を通じた資産形成が可能です。

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まとめ

今回は、新興国ETFへの投資について、メリットとデメリットを詳しく解説しました。

新興国ETFは高い成長性と分配金利回り、分散投資によるリスク低減といった魅力がある一方で、政治リスクや為替リスクなどの注意すべきデメリットも存在します。

新興国ETFを選ぶ際は、投資対象地域や為替ヘッジの有無、流動性などのポイントをしっかりと確認し、ご自身のリスク許容度に応じた商品選択が重要です。

ぜひこの記事を参考に、新興国ETFを活用した資産形成に取り組んでみてください。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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