コールオプションは、前もって決定された価格で、将来的に資産を購入できる権利です。
今回は、コールオプションの基本的な仕組みや他の金融商品との違いなどを解説します。
コールオプションに興味を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
コールオプションとは
コールオプションの仕組みや特徴について解説します。
コールオプションの仕組み
コールオプションとは、あらかじめ決められた価格で、「将来その資産を買うことができる権利」です。
この決められた価格を、「権利行使価格」と言います。
ある企業の株をコールオプションで購入する場合、オプションの権利行使価格が5,000円だったとします。
満期日に株価が6,000円だった場合、市場より安い価格で購入することが可能です。
株価が4,000円だった場合、5,000円で購入すると損になるので権利を放棄します。
オプションの購入費用はかかりますが、損失は限定されます。
投資家がコールオプションを使う理由
投資家がコールオプションを活用する理由は、大きく2つあります。
1つ目は、少額で大きなリターンを狙うためです。
株式を直接購入する場合、株価が上昇しても利益は上昇した分に限られます。
コールオプションを使えば、支払うのはオプション料だけで済み、株価が大きく上昇した分だけ利益を享受しやすくなります。
2つ目は、既存の株式と組み合わせて戦略的に使うためです。
既存株との組み合わせの代表例として、カバードコール(コール売り)があります。
これは下落に耐える戦略ではなく、既存株が上がれば、その収益、上がらない時にコールのプレミアム収入を得る戦略です。
コールオプションと株式購入は異なる
コールオプションは「買う権利」であり、株式購入は「現物を買う」行為です。
この根本的な違いを理解することが、両者の違いを把握する上で最も重要となります。

コールオプションの価値を決める要因
コールオプションの価値は、複数の要因で決まります。
原資産価格と行使価格の関係
最も直接的にオプションの価値に影響するのが、原資産の価格です。
これは、株価そのものや、株価指数などを指します。
オプションの価値には、本質的価値と時間的価値という2つの要素があり、原資産価格は特に本質的価値に直結します。
本質的価値とは、現在の原資産価格から権利行使価格を引いたものです。

満期までの期間
満期までの期間は、将来の不確実性を測るバロメーターです。
オプションの価値に時間的価値として反映されます。
時間的価値とは満期までの間に原資産価格が変動する可能性を示すものです。
期間が長いほど価格が大きく上昇するチャンスが増えるため、時間的価値は高くなります。
ボラティリティ(変動率)
ボラティリティとは、原資産価格が将来どれだけ大きく変動するかという予測です。
コールオプションは、利益に上限がなく損失がオプション料に限定されるという性質を持つため、ボラティリティが高いほどその価値は高まります。
コールオプションと他の金融商品との違い
コールオプションは他の金融商品とどのように異なっているか解説します。
プットオプションとの違い
プットオプションとは、将来あらかじめ決められた価格で、対象資産を売ることができる権利です。
プットオプションの買い手は、株価が下落すると予想して売る権利を手に入れます。
予想通り株価が下がれば、市場価格よりも高い価格で売る権利を行使して利益を得られます。
先物取引との違い
コールオプションと先物取引は、どちらも将来的な取引を扱う金融商品です。
コールオプションで取引されるのは買う権利で、買い手は将来の期日にあらかじめ決めた価格で買うか買わないかを選択できます。
将来の価格上昇を予想してオプションを購入しますが、予想が外れて価格が下落しても、損失は最初に支払ったオプション料(プレミアム)のみです。
先物取引で取引されるのは買う義務または売る義務で、買い手は将来の期日にあらかじめ決めた価格で買うことを義務付けられます。
将来の価格上昇を予想して先物契約を締結しますが、予想に反して価格が下落した場合、損失は価格が下がり続ける限り無限に拡大する可能性があります。
転換社債との違い
コールオプションと転換社債は、どちらも買う権利を扱っていますが、コールオプションは権利そのものである一方、転換社債は債券です。
転換社債は、発行した企業が投資家から資金を借り入れるために発行するもので、満期まで保有すれば元本が返済されて定期的に利子が支払われます。
また、発行会社の株式を、あらかじめ定められた転換価格で買う権利が付いています。
コールオプションに関するよくある質問
コールオプションに関するよくある質問に回答します。
Q1. コールオプションの売り手にリスクはありますか?
コールオプションの売り手は買い手からのプレミアムを得られますが、理論上は損失が無限大に広がっています。
これは、株価が満期日に権利行使価格を大きく上回った場合、買い手が権利を行使して売り手は市場価格よりも安い価格で株を売却する義務を負うためです。
株価の上昇に上限はないため、大きな損失となる可能性があります。
リスクを限定させる方法がカバード・コールで、これは株式など原資産を保有しつつ、その資産のコールオプションを売却するものです。
Q2. コールオプションはなぜ重要ですか?
株式を直接購入するよりもはるかに少ない資金で、大きな価格変動の恩恵を享受できるからです。
また、買い手にとってオプション料以上の損失が出ず、ローリスクである点も重要だといえるでしょう。
個別株で勝ち続けられる人はいない。現役ファンドマネージャーが語る投資のリアル
まとめ
コールオプションとは、将来、特定の価格で資産を買う権利を売買する金融商品です。
あくまで権利であり義務ではなく、買い手は株価が上がれば利益を得られ、下がっても損失は最初に支払ったオプション料に限定されるというメリットがあります。
一方、売り手はオプション料を得る代わりに、理論上無限の損失を負うリスクを抱えます。
この特性から、コールオプションは少額で大きなリターンを狙う投機的な取引や、既存の資産のリスクヘッジとして重要な役割を果たします。
個別株式投資はやめとけと言われる理由は?注意点や利益を出すコツを解説!

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。







