【初心者向け】つなぎ売りとは?株主優待を“ノーリスク”で取る仕組みと注意点をやさしく解説

【初心者向け】つなぎ売りとは?株主優待を“ノーリスク”で取る仕組みと注意点をやさしく解説

「株主優待がほしいけど、株価の変動で損するのが怖い…」

そんな方におすすめなのが「つなぎ売り」という手法です。

つなぎ売りなら、株価リスクを抑えつつ優待の権利だけを確実に得ることが可能です。

本記事では、初心者にもわかりやすく、つなぎ売りの基本からメリット・注意点・始め方までをやさしく解説。

手軽に優待生活を始めたい方は、ぜひチェックしてみてください。

目次

つなぎ売りとは?|仕組みと基本の考え方を解説

つなぎ売りは初心者でも実践しやすい投資手法ですが、まずは基本的な仕組みを理解することが大切です。

現物買いと信用売りを同時に行う手法

つなぎ売りは「現物100株購入+同じ銘柄を100株信用売り」を同時に行う投資手法です。

  • 現物買い:実際に株を購入する行為
  • 信用売り:証券会社から株を借りて売る行為(後で買い戻して返却)

この2つを同時に行うことで、株価の値動きによる損益は相殺されますが、以下のコストが発生するため、実際には小幅なマイナスになるのが一般的です。

  • 売買手数料
  • 貸株料(一般信用で年率1〜3%程度、日割計算)
  • 配当金相当額の支払いと受取の差額(支払い100%−受取約80%)

そのため、これらのコストを上回る価値の株主優待を提供する銘柄を選ぶことが重要になります。

株価とはなに?株価が決まり方や変動要因をわかりやすく解説

値動きのリスクを抑えて株主優待を狙う仕組み

つなぎ売りの最大のポイントは「株価変動の影響を受けずに優待をもらう」ことです。

  • 株を買う(=優待を得る権利を持つ)
  • 同時に売る(=株価下落による損失をカバー)

このセットで、保有中の株価が変動しても損益はほぼゼロ。

たとえば、株価が100円上がっても下がっても、「買いで得た利益」と「売りで出た損失」が相殺されます。

そのため、狙いは“優待だけ”。

株価の動きに左右されず、安定して優待が得られるのがこの手法の魅力です。

株初心者向け!株主優待で銘柄を選ぶときの注意点

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つなぎ売りのメリットとは?

つなぎ売りには多くのメリットがありますが、初心者でも取り組みやすい投資手法として知られています。

株価変動リスクを抑えて株主優待だけを狙える

つなぎ売りの魅力は、株価の上下に一喜一憂せずに優待を得られる点です。

現物株を購入して優待の権利を得ると同時に、信用売りで価格変動リスクを回避できます。

たとえば、株を買った直後に急落しても、同時に売り建てしていれば下落分の損失は売りでカバーされます。

これにより、「優待はもらえたけど株価が大きく下がって損した」という事態を防げます。

リスクを最小限にしながら、優待を狙う投資戦略として有効です。

相場の上下に関係なく“確実に”優待を得られる

株価が上がろうが下がろうが、つなぎ売りなら優待の獲得はブレません。

株価に左右されずに優待を得られ、不安定な相場でも安定したリターンを確保できます。

権利付き最終日に株を保有していれば、株主優待の権利は得られます。

そのため、相場の動向を読む必要はありません。

優待目的の短期取引において、「確実性」が欲しい方には最適な方法です。

短期間の取引で効率よく利益を得られる可能性がある

つなぎ売りは基本的に権利付き最終日の前後数日で完結する短期集中型の戦略です。

権利確定日直前に売買してすぐに解消できるため、長期保有が不要で資金効率が良いのが特徴です。

株価の変動を気にせずに、限られた資金で複数の銘柄に挑戦することも可能です。

特に人気の優待(食品・クオカードなど)を狙えば、少ない労力で実質的な利益を得られる可能性もあります。

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つなぎ売りの注意点とは?

つなぎ売りには様々な注意点があり、初心者が実践する際には以下の3つのポイントを特に意識する必要があります。

逆日歩が発生する場合は思わぬ損失になる

つなぎ売りを行ううえで特に注意が必要なのが「逆日歩(ぎゃくひぶ)」です。

逆日歩とは、信用売りに使われる株の在庫が不足し、追加のコストが発生する状況のことを指します。

この費用は日々変動し、人気の優待銘柄では高額になることも珍しくありません。

場合によっては、もらえる優待の価値以上の逆日歩が発生し、かえって損をしてしまうこともあります。

制度信用を利用したつなぎ売りでは特にリスクが高いため、実行前には逆日歩リスクをしっかり確認することが重要です。

逆日歩とは?初心者でもわかるコスト発生の仕組みと計算方法を解説

信用取引のルールや在庫切れに注意

つなぎ売りには信用取引口座の開設が必須となり、一定の知識と手続きが求められます。

また、信用売りを行う際には、売りたい銘柄の「在庫(空売りできる株数)」が確保されている必要があります。

しかし、人気銘柄では在庫がすぐになくなってしまうため、売り建てできないケースもあります。

加えて、証券会社によって信用取引のルールや取扱銘柄が異なるため、事前に仕組みを理解し、タイミングを逃さないよう準備しておくことが重要です。

株の空売りとは?初心者でもわかる仕組みとメリット・デメリットを解説

売買のタイミングや証券会社選びが結果を左右する

つなぎ売りは一見シンプルな取引のように見えますが、実際は細かな判断が結果を大きく左右します。

例えば、売買のタイミングが早すぎると株価変動の影響を受けやすく、遅すぎると在庫切れになる可能性があります。

また、証券会社によっては手数料や貸株料に大きな差があるため、コスト面の比較も欠かせません。

一般信用売りの在庫状況や注文のしやすさなど、トータルで考えて最適な証券会社を選ぶことが、成功へのカギとなります。

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つなぎ売りを始めるための対応証券会社の選び方

つなぎ売りを成功させるには、証券会社の選定が非常に重要なポイントとなります。

手数料、取扱銘柄、信用取引の仕組みなど、様々な観点から比較検討する必要があります。

つなぎ売りに対応した信用取引口座を開設できるか確認

つなぎ売りを始めるには、まず証券会社で信用取引口座の開設が必要です。

すべての証券会社が一般信用取引に対応しているわけではなく、優待目的の売買に適したサービスを提供しているかを確認することが重要です。

特に、優待銘柄の在庫を多く取り扱っているか、売建ての注文がしやすいかも選定のポイントになります。

初めての方はサポート体制が整った証券会社を選ぶと安心です。

逆日歩リスクに差が出る!一般信用と制度信用の違いを比較

信用売りには「一般信用」と「制度信用」の2種類があり、つなぎ売りには一般信用が適しています。

一般信用は証券会社が独自に株を用意する仕組みで、逆日歩が発生しません。

一方、制度信用は市場から借りるため、人気銘柄では逆日歩が発生しやすく、思わぬコストにつながることも。

つなぎ売りを行う場合、一般信用売りが可能な証券会社を選ぶことが基本ですが、注意点もあります。

売建て在庫の不足や制度信用への切り替え、一般信用の抽選に落選するなどの理由で、優待取得に失敗するケースもあるため、複数の証券会社での口座開設を検討するのがよいでしょう。

売買手数料・貸株料の安さも重視すべき選定基準

つなぎ売りでは短期間で売買を繰り返すため、手数料や貸株料といったコストが利益を左右します。

証券会社ごとに取引手数料や信用売りの貸株料の設定は異なるため、複数社を比較して選ぶことが重要です。

少額取引でも手数料が無料になるプランがある会社や、優待銘柄の取り扱いが多い会社を選ぶと効率的に運用できます。

コストを最小限に抑える工夫が、成功するつなぎ売りには欠かせません。

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つなぎ売りの注文タイミングの目安

つなぎ売りを成功させるためには、注文のタイミングを正確に把握し、適切なスケジュール管理が必要不可欠です。

「権利付き最終日」と「権利落ち日」の違いを理解する

つなぎ売りでは、「権利付き最終日」と「権利落ち日」の違いを正確に理解することが必須です。

権利付き最終日とは、株主優待や配当の権利を得るために株を保有しておく必要がある最終日です。

一方、翌営業日である権利落ち日には、その権利がなくなります。

このタイミングを間違えると、優待の権利を得られずに終わってしまうため、証券会社のカレンダーなどで事前に日付をしっかり確認しておきましょう。

“権利付き最終日の前日”が基本

つなぎ売りの注文は「権利付き最終日の前日」までに完了させるのが基本です。

なぜなら、株の受け渡しには2営業日かかるため、権利付き最終日に株を保有している状態にするには、その2営業日前、つまり前々営業日に現物買いと信用売りの両方を実行する必要があります。

慣れていないうちは証券会社が公開している「優待カレンダー」を活用すると、スケジュール管理がしやすくなります。

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つなぎ売りの銘柄選びのコツ

つなぎ売りの銘柄選びは、リスクと利回りのバランスを考慮しながら、自分に合った優待を提供する企業を探すことが重要です。

優待利回りが高すぎる銘柄には注意が必要

一見お得に見える高利回りの株主優待銘柄ですが、つなぎ売りにおいては注意が必要です。

あまりに人気が集中すると、信用売りの在庫が枯渇し、制度信用での売りとなって高額の逆日歩が発生するリスクがあります。

特に、優待内容が話題になっている銘柄は注意が必要です。

利回りの高さだけでなく、逆日歩の有無や過去の傾向なども確認して、慎重に選ぶことが大切です。

「一般信用売りに対応しているか」で絞り込む

つなぎ売りでは、逆日歩リスクのない「一般信用売り」に対応している銘柄を選ぶのが基本です。

すべての優待銘柄が一般信用で売れるわけではないため、証券会社が公開している一般信用売建の対象リストを確認しましょう。

また、在庫が豊富にあるかどうかも重要なポイントです。

一般信用売り対応かつ在庫が安定している銘柄なら、初心者でも比較的リスクを抑えて優待を狙えます。

自分にとって”本当に必要な優待”かを見極める

どんなにお得な優待でも、使わなければ意味がありません。

外食券や日用品、ギフトカードなど、実際に使えるかどうかを基準に銘柄を選ぶことがポイントです。

また、家族構成やライフスタイルによっても、必要な優待は異なります。

優待の内容と自分の生活に合うかをよく考えたうえで、本当に価値のある優待だけを選ぶことで、つなぎ売りの効果を最大化できます。

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まとめ

つなぎ売りは、株主優待をリスクを抑えて獲得できる有効な手法です。

現物買いと信用売りを同時に行うことで、株価の変動による損益を打ち消し、優待だけを得られるのが特徴です。

一方で、逆日歩や在庫切れなどの注意点もあるため、制度の理解と証券会社の選定がカギとなります。

優待の内容や利用価値をよく見極め、無理なく継続できる銘柄選びとタイミング管理を意識することで、初心者でも安心して活用できる投資手法となるでしょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

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この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

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