「株の成行注文って何?」「指値とどう違うの?」と迷ったことはありませんか?
株の注文方法には「指値注文(さしね注文)」と「成行注文(なりゆき注文)」の2種類があります。
どちらを使うかによって、取引のスピードと価格が大きく変わるため、初心者こそ正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、「成り行き注文とは何か」から「指値注文との違い」「初心者が成行を選ぶべき理由」「注意点」までをわかりやすく解説します。
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成行注文とは?
成行注文とは、値段を指定せずに今すぐ売買を成立させる注文方法です。
「この価格で買いたい/売りたい」と指定する指値注文とは異なり、その時点で最も有利な価格で即座に取引が成立します。
売りなら一番高い買い注文と成立

成行注文で売りを入れた場合、一番高い買い注文と成立します。
例えば株価100円の銘柄だったとしても、一番高い買い注文の価格が98円であれば、98円で売れることとなるわけです。
買いなら一番安い売り注文と成立

買いの成行注文では、一番安い売り注文と成立します。
例えば株価100円の銘柄で、一番安い売り注文が120円であれば120円で買うことになるのです。
株価の決まり方がわかる!株価が変動する理由と実例も合わせて解説
成行注文と指値注文の違い

成行注文と指値注文の違いは、値段を指定するかどうかと、取引成立のスピードです。
指値注文は、値段を指定して注文する方法のことで、指定した値段にならない限り取引は成立しません。
すぐ成立することもあれば、何日も成立しないこともあるのです。
値段を指定するかどうか

成行注文と指値注文の大きな違いは、値段を指定するかどうかです。
値段ではなく「今買いたい」のが成行注文で、「この値段で買いたい」のが指値注文です。
成行注文のほうが優先される
取引において、指値注文よりも成行注文のほうが優先される仕組みになっています。
「○○円で買いたい」という人よりも、「いくらでもいいから買うよ!」という人を優先させているわけですね。
そのため、取引成立までのスピードは、成行注文のほうが早くなっています。
単元未満株は成行注文のみ
通常、株は100株単位(1単元)で取引をしますが、100株未満で取引できる銘柄も存在します。
しかし、そういった単元未満株は成行注文でしか注文できない証券会社がほとんどです。
資金が少なく、1株~数十株単位で取引を考えている人は、そもそも成行注文しか選択肢がないということになりますね。
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初心者は成行・指値どちらで注文すべき?
初心者は成行注文と指値注文、どちらを使っていくべきなのでしょうか。
結論、初心者には成行注文を使うのがオススメです。
どの銘柄を買うかは、テクニカル分析でチャートの形を見極めて選んでいます。

つまり「買うべき形」になっていることがわかったその時に買うべきなのです。
そのため、すぐに取引ができる成行注文をオススメします。
売買タイミングを逃さない成行注文がオススメ
成行注文であれば、売買タイミングを逃しにくいです。
「これから株価が上がる形になっている」のであれば、そこからはスピードが重要になってきます。
明日にはもうチャートの形はまた変わってしまうからです。
また、損切りするときにも成行注文がオススメです。
損失が膨らまないように、スピーディーに手仕舞う必要がありますから、指値ではなくすぐに取引が成立しやすい成行注文を活用しましょう。
中~上級者もテクニカル分析なら成行注文
基本的にテクニカル分析を使っているのであれば、中~上級者も成行注文がオススメです。
銘柄を値段で選んでいるのではなく、形で選んでいるからこそ、タイミングが重要になってきます。
指値注文であれば、指定した値段に届かず注文できない事態が起きかねません。
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成行注文の注意点
成行注文には、いくつか注意すべきポイントがあります。
思わぬ落とし穴にハマってしまわないよう、注意点を押さえておきましょう。
成行注文の注意点は以下の通りです。
- 思わぬ価格で取引成立することがある
- 取引成立に時間がかかることもある
- PTS取引では成行注文できない
思わぬ価格で取引成立することがある
成行注文の場合、価格を指定しないため、思わぬ価格で取引成立してしまうことがあります。
株価が100円の銘柄を買おうとしたら、105円で買ってしまい、想定より5円分高く買ってしまう可能性があるのです。
そうなれば、保有している銘柄を105円で買ったのに対して、現状の株価が100円ということになり、5円の含み損を抱えた状態でスタートすることになってしまいます。
取引成立に時間がかかることもある
成行注文でも、取引成立までに時間がかかることはあります。
取引には必ず相手がいます。
いくら買いたいとしても、売る人がいない限り取引は成立しません。
成行注文で買おうとしても、その日のうちに買えないこともあるのです。
PTS取引では成行注文できない
PTS取引は、証券取引所の取引時間以外に行う株取引のことです。
PTS取引では成行注文ができない点に注意しておきましょう。
注文は指値のみですから、夜間にどうしても取引をしたい場合は成行注文ができません。
仕事が忙しいけど投資がしたい。それならPTS取引がおすすめ!
成行注文でよくある質問
成行注文でよくある質問をまとめました。
気になる疑問は事前に解消しておきましょう。
Q1. 成行と指値、どちらを使えばいい?
A1. 株価の「形(チャート)」で判断しているなら成行注文がおすすめです。
重要なのは値段ではなくチャートの形ですから、タイミングを逃さないよう成行注文がオススメです。
想定とは違う価格で取引が成立することもありますが、誤差の範囲と捉えられるレベルです。
Q2. 成行注文で損することはある?
成行注文によって、少し含み損を抱えた状態からスタートすることはあります。
現状の株価とはやや異なる価格で取引が成立することで、含み損を抱えてしまうわけです。
しかしきちんとチャートを分析して、「株価が上昇する」という前提でエントリーしていれば、含み損が多少あったところで利益は狙いに行けます。
Q3. 成行注文なのに約定しないこともある?
A3. 成行注文でも約定しないことはあります。
売る人が一人もいなければ、いくら買いたくても買うことはできません。
株式投資をするときは、常に相手がいることを忘れないようにしましょう。
Q4. 成行注文に時間指定はできますか?
証券会社によっては、時間指定で成行注文ができます。
「明日成行注文をしたいけれど、用事があって明日は取引できそうにない」など、状況に応じて役立てましょう。
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まとめ
成行注文は、株式トレードにおけるスピードと機動力を最大化できる注文方法です。
- 値段よりも「タイミング」を優先したい
- すぐに売買を成立させたい
- 損切りを素早くしたい
そんな方にこそ、成行注文は向いています。
一方で、思わぬ価格で約定するリスクもあるため、チャート分析による根拠あるエントリーを前提に使うことが重要です。
株の売買は「技術」です。
成行注文を上手に使いこなし、チャンスを逃さないトレード力を身につけていきましょう。

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







