新興市場とは?上場基準や成長企業への投資の魅力とリスクを解説

新興市場

みなさんは、証券取引所の株式市場に上場している企業に投資をしている場合がほとんどかと思います。

上場市場について、東証一部・東証二部など知っている市場も多くあるかと思いますが、これらの市場は「一般市場(本則市場)」と「新興市場」の2つに分類することができます。

本記事ではその1つである新興市場について、上場基準や投資する際の注意点などを開設していきます。

この記事でわかること

  • 新興市場とは何か
  • 新興市場と一般市場の上場基準比較
  • 新興市場の銘柄に投資する際の注意点

株式市場の種類の中で、投資初心者が押さえておくべきポイント

目次

新興市場って何?

まずは「新興市場」が一体何を表しているのかについて、ご説明していきます。

新興市場とは、新興企業(以下:ベンチャー企業)がメインとして上場している株式市場のことをいいます。

新興市場には、以下のようにいくつか種類があります。

  • 東京証券取引所…JASDAQ・マザーズ
  • 名古屋証券取引所…セントレックス
  • 札幌証券取引所…アンビシャス
  • 福岡証券取引所…Q-BOARD

JASDAQやマザーズを聞いたことがある方は多いかと思いますが、ほかの証券取引所でも1つずつ新興市場が運営されているので知っておくとよいでしょう。

ちなみにJASDAQは、企業の実績や特徴を信頼性・革新性・地域国際性といった3つの観点から分類し、さらにスタンダード・グロースの2つに分けられています。

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新興市場の上場基準は?

東京証券取引所でいうと思い浮かぶ株式市場といえば、東証一部や東証二部(新興市場に対し「一般市場」もしくは「本則市場」といいます)ではないでしょうか?

きっと、同じ東京証券取引所が運営している新興市場のJASDAQやマザーズよりも上場基準が厳しく、知名度が高い大企業が上場しているイメージをお持ちかと思います。

実際にそのとおりで、新興市場は各証券取引所の一部市場や二部市場よりも上場基準が易しく設定されています。というのも新興市場は、純資産額や利益額よりも将来の成長性を重視しています。

ここで例として、東京証券取引所の東証一部とマザーズの上場基準を抜粋のうえ比較してみたいと思います。

東証一部 マザーズ
株主数(上場時見込み) 2,200人以上  200人以上
流通株式(上場時見込み) a. 流通株式数 2万単位以上
b. 流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上
c. 流通株式数 2,000単位以上
d. 流通株式時価総額 5億円以上
e. 流通株式数(比率) 上場株券等の25%以上
時価総額 250億円以上 10億円以上
事業継続年数 新規上場申請日から起算して1年以上前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしている 同左
純資産の額(上場時見込み)  連結純資産の額が10億円以上かつ単体純資産の額が負でない
利益の額または時価総額 a. 最近2年間の利益の額の総額が5億円以上
b. 時価総額が500億円以上
上場審査の内容 ・企業の継続性および収益性
・企業内容等の開示の適正性
・企業経営の健全性
・企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
  ・企業内容、リスク情報等の開示の適切性
・企業経営の健全性
・企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
・事業計画の合理性

(図1 日本取引所グループより当サイトにて作成)

図1をご覧いただくとわかるとおり、マザーズの上場基準では株式数・時価総額・事業継続年数においてある程度制限があるものの、純資産額や利益額は考慮されません。

上記でも触れましたが新興市場はあくまでも成長性を重視しているので、株式数・時価総額・事業継続年数などを満たしていれば赤字の企業でも上場が可能ということです。

また、もちろん上場基準を満たせば、新興市場から一部市場や二部市場に上場市場を変更することも可能です。こちらを「指定替え(記事に飛ばす)」、もしくは「市場変更」といいます。

新興市場には成長性が高い企業が集まっているので、一部市場や二部市場へのステップアップを目指す企業も多いです。株式投資をする際には要注目ですね。

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新興市場の銘柄に投資するときの注意点

「成長株投資」といって、企業の成長性を重視して投資対象を判断する投資手法があります。新興市場に上場しているベンチャー企業の多くがその対象となることでしょう。

成長株については「成長株投資」とは?ポイントとリスクについて徹底解説の記事でも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

ですが、成長株投資は通常の株式投資とは違った特徴を持っているため、注意しなければならない点がいくつかあります。

以下で確認していきましょう。

値動きが激しい

新興市場の銘柄は発行済株式数が一部市場や二部市場と比べると少なく、流動性も低いです。

よって需要超過や供給超過が発生しやすく、株価の値動きが非常に激しくなってしまいます。

上昇局面を考えると、もしうまく乗ることができれば大きな利益を得られる可能性があるためチャンスと感じるかもしれませんが、下落局面では一瞬で株価が大幅に下落する可能性があるため大きな損失に繋がります。

売買タイミングを迷っているその一瞬で、株価が大きく変動する可能性があるということです。

よって、新興市場への投資で大失敗をしたくないなら、思い切った「損切り」が鍵となります。

出来高が少ないと「仕手株」にもなりやすいので、注意するようにしましょう。

仕手株については、仕手株となる銘柄の見分け方は?過去話題になった実例も合わせて解説の記事をご覧ください。

企業の業績が不安定

新興市場の銘柄は成長性が高い一方で、業績が不安定になりやすいというデメリットがあります。

想像がつくかと思いますが、ベンチャー企業は一部市場に上場しているような大企業と比べると企業規模も小さいです。

また事業も1点に集中していることが多いため、その事業がダメになってしまったらそのまま企業の業績に響いてしまう可能性があります。

良くも悪くもアグレッシブで成長性が高いことから、事業がうまくいくと業績は大きく上がりますし、反対にうまくいかないと業績は大きく落ち込むことが予想されるでしょう。

この業績の変動は、株価にも反映されます。

よって、とくに決算発表の時期などは大企業以上に注意を払っておいた方がよさそうですね。

このような株価の大きな変動に翻弄されないためには、新興市場の銘柄1つにだけ投資するのではなく他業種の銘柄に投資したり、安定している一部市場の大企業に投資したりするなどしてリスクを分散させておくことが大切です。

特に初心者の方であれば、出来高が多く安定している銘柄の方が利益を狙いやすいことでしょう。

詳しくは、初心者におすすめの株の買い方とは?プロも活用する3つの基本ポイントを押さえようの記事をご確認ください。

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まとめ

  • 新興市場は各証券取引所が運営している、ベンチャー企業が多く上場している株式市場
  • 新興市場は上場基準に純資産額や利益額がなく、収益性よりも成長性を重視していることがわかる
  • 値動きが激しく業績も不安定である可能性が高いので、投資は慎重におこなおう

いかがでしたでしょうか?

本記事では「新興市場」が一体どんな市場なのかということや上場基準、投資する際の注意点についても解説してきました。

新興市場には、将来の成長が見込まれるベンチャー企業が多く上場しています。

発行株式数の少なさから流動性が低く、株価が大きく上昇したり下落したりと激しい値動きをする可能性があるので、投資する際には損切りをする勇気を持つことが大切です。

「ベンチャー企業に投資してみたい」と思っている方は、他業種企業や大企業などと併せたリスク分散投資を検討してみるといいかもしれません。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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