ディスクロージャーとは?投資家が活用すべき情報について知る

どの企業に投資すべきか考える際、もっとも大切なことは情報を集めることです。

ディスクロージャーはその中でも、非常に重要なポイントとなります。

ディスクロージャーを理解すれば、よりリスクを抑えた判断がしやすくなります。

今回は、ディスクロージャーの特徴や活用法について解説します。

ファンダバナー  
目次

ディスクロージャーとは

ディスクロージャーの概要

ディスクロージャーとは、企業が投資家や社会に対して経営内容や財務状況などを公開することです。

日本語では情報開示と訳されます。

ディスクロージャーの最大の目的は、市場の透明性と公平性を確保することです。

企業が自社の情報を積極的に開示することで、特定の関係者だけが有利な情報を得る取引状況を抑止してすべての投資家が平等に情報を得られるにアクセスできる環境づくりを行います。

企業にとっても、自社の健全性や成長性をアピールし投資家の信頼を得ることで、資金調達を円滑に進めるというメリットがあります。

企業がディスクロージャーを行う義務

企業がディスクロージャーを行う義務は、主に金融商品取引法と会社法によって定められています。

金融商品取引法では、有価証券報告書・半期報告書(2024事業年度以降)・臨時報告書などの提出が義務です。

会社法に基づく義務とされているのは、計算書類・事業報告と決算公告です。

有価証券報告書を提出する会社は、決算公告の適用除外になります。。

ディスクロージャーで開示される主な情報

ディスクロージャーで開示される情報について解説します。

財務情報:企業の健康診断書

財務情報からは、企業の活動がどうだったか結果を数値で見ることができます。

よく企業の健康診断書に例えられ、主に3つの資料を指します。

ディスクロージャーとは?投資家が活用すべき情報について知る

経営情報:将来性や戦略を読み解く

経営情報は、企業の将来的な方向性や戦略、非財務的な価値を示す情報です。

数値だけでは評価できない企業の本質的な価値が含まれており、具体的には以下の要素があります。

ディスクロージャーとは?投資家が活用すべき情報について知る

 その他の重要な開示情報

上記以外の非財務情報も重要です。

最近は特に、ESG情報も投資家から注目されています。

これは環境、社会、企業統治に関する情報で、気候変動への対応や再生可能エネルギーの利用状況、従業員の労働環境や多様性への配慮、経営陣の構成やガバナンス体制などを指します。

投資家はこれらの情報から、企業が健全な成長を続けるための基盤がどれだけ強固かを測り、長期的に安定した経営を続ける体制が整っているかを知ることができます。

また、サイバーセキュリティや災害といったリスク情報や、事業再編に関する情報も得て、投資判断に反映させます。

財務諸表とは?株式投資を成功させるための基本知識をわかりやすく解説

ディスクロージャー情報の活用方法

ディスクロージャー情報をどう活用するかについて解説します。

投資判断の材料として使う

財務分析を通じて、企業の実績を確認し今後の成長力を測ります。

損益計算書から売上の推移や利益の動きを見て、企業がどれだけ儲かっているかを判断します。

貸借対照表を見て安定性を判断し倒産リスクを評価したり、キャッシュフロー計算書で資金繰りが上手くいっているかを見たりしましょう。

企業の透明性と健全性を評価する

決算短信や有価証券報告書など各種情報を総合的にチェックし、内容が矛盾していないか確認しましょう。

もし虚偽の内容があれば、企業への信頼感は大きく低下します。

また、上場会社で取引所様式の必須項目が欠落していたり、有報の記載に一貫性のない点が多い場合は注意が必要です。

IRでの説明も、取引所の適時開示規則やフェア・ディスクロージャー・ルールに抵触しない範囲で行われます。

情報量と情報の一貫性の両面から、企業の透明性と健全性を評価しましょう。

不正リスクを見抜くためのヒント

ディスクロージャー情報からは、レッドフラッグと呼ばれる不健全な経営の信号をキャッチすることができます。

例えば、売上高が大きく増えているのにキャッシュフローが急速にマイナスになっている場合、架空売上を立てている可能性があります。

また、売上よりも異常に大きく在庫が増えている場合、商品が売れずに積みあがってしまっていたり、粉飾決算目的で在庫を過大計上したりしているかもしれません。

情報の具体性も重要で、数値や実績をベースとした発表ではなく、「今後もっと拡大していく」といったあいまいな文言ばかりの発表があったときは、重要な情報が隠されている可能性を検討してみてください。

ディスクロージャーとIR活動の違い

ディスクロージャーとIR活動の違いについて解説します。

法律上の義務があるか否か

ディスクロージャーは投資家や株主に対して公開する義務があります。

金融商品取引法に基づく有価証券報告書や決算短信などは法律で公開が定められており、その内容や提出期限も決められています。

一方、IR活動自体は法的義務ではありませんが、重要情報の選別開示を禁じるフェア・ディスクロージャー・ルール等、開示に関する法令・取引所規則の枠内で運用されます。

投資家と良好な関係を築き企業価値を正当に評価してもらうことで、自社への投資を促し、資金調達を円滑にすることが目的です。

決算説明会や個別ミーティングのほか、工場見学やメルマガなどもIR活動に含まれます。

ディスクロージャーとは?投資家が活用すべき情報について知る

投資家が両者をどう使い分けるべきか

ディスクロージャーは、客観的な事実をチェックするために使います。

例えば、有価証券報告書を読み込むことで事業内容や従業員の状況、経営上の課題などを理解できます。

貸借対照表を見て「自己資本比率が高いから、経営が安定している」「流動比率が100%を上回っているから資金繰りに余裕がありそうだ」といったように判断できます。

IR活動は、企業の今後を予測するための情報源として活用できます。

決算説明会では、経営者や経営層のメンバーから直接話を聞くことができ、質疑応答を通じて疑問を解消できます。

書面で公表されなかった判断の背景や、市場に関する見解を聞くことも可能です。

有価証券報告書で事実を確認し、IR資料や説明会で意図・戦略や前提を補完する、という順番が実務的です。

短信=速報、有価証券報告書=網羅、IR=補足と役割を分けて読みましょう。

ディスクロージャーに関するよくある質問

ディスクロージャーに関するよくある質問に回答します。

Q.ディスクロージャーは投資家以外にも公開意義がありますか?

はい、あります。

企業はディスクロージャーを通じて、社会全体の信頼性を確保し、ステークホルダーとの関係を良好に保てるようになります。

Q.ディスクロージャーを見れば利益が出せますか?

ディスクロージャーは、あくまで投資判断に役立つ情報の一つです。

ディスクロージャーから得た情報を基に、業界の動向や競合他社の状況、マクロ経済のトレンドなどを踏まえて、企業が将来どのように成長していくかを予測する力が必要です。

まとめ

ディスクロージャーをチェックすることで、企業の過去と現在を知ることができ、未来を推し量れるようになります。

企業から発表される様々な情報を読み込むことで、ネットの噂などに惑わされることなく、事実に基づいた投資判断ができるようになるものです。

これから本格的に投資を始める方は、ぜひディスクロージャーを使いこなし正しい判断ができるようになりましょう。

株価ではなく企業の本質に重きを置けば、メンタルはブレない。ノイズに流されず“本質”を見抜く長期投資のすすめ

オンライン体験会バナー
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

執筆書籍はこちら!

公式Xはこちら!

公式Instagramはこちら!

この記事を書いた人

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。

家計カルテ診断
目次