投資をする上で、投資家の心理や需給の偏りを読み解くことは重要です。
そこで役立つのが、信用売り残です。
今後の株価の動きを予想できるようになるため、信用売り残の定義や活かし方を解説します。
信用取引とは
信用取引とは、投資家が自分の持つ資金を超える取引を行うための仕組みです。
信用取引には信用買いと信用売りの2種類があり、どちらも委託保証金を担保にすることで保有している資産の約3倍まで取引ができるようになります。
信用売り残とは
信用買い残とは何か、定義や買い残との違いなどを解説します。
信用売り残の意味
信用売り残とは、信用取引において、投資家が委託保証金を担保に証券会社から借りて売却しまだ決済されていない株式の残高のことです。
このような売り方は、信用売り、もしくは空売りと呼ばれます。
全体の数値だけでなく、個別銘柄の増減トレンドに注目しましょう。
信用売り残が多いとどうなるか
信用売りをしている株式は、期限内に買い戻して決済する必要があります。
つまり、売り残が多いということは買い戻し需要が大きくなるということで、株価が上昇すれば損失を出さないために買い戻しが増えて株価急騰につながります。
また、売り残が多いということはこの銘柄が下がると考えている投資家の数が多いということです。
これは市場は弱気であるとも考えられますが、売りが出尽くしていて反発の兆しとなっていると考えることもできるでしょう。
信用買い残との違い
信用買い残とは、投資家が委託保証金を担保に証券会社から資金を借りて購入し、まだ決済されていない株式の合計です。
買い残が多いということは、ここから株価が上昇すると考える投資家が多いということを意味します。
一方で、売り圧力が大きくなっているため、株価が急落してロスカットが発生し、連鎖的に売りが発生して株価が下がる可能性もあります。
信用売り残ランキング
株式投資をする上では、信用売り残の状況を常に把握しておくことが大切です。
どのような銘柄に信用売り残が多いか、例として2025年5月4日時点での増加幅ランキングを掲載します。
コード | 銘柄名 | 株価 | 売り残 | 対前週増加幅 |
9409 | テレ朝HD | 2,556 | 4,399,100 | +2,732,900 |
2593 | 伊藤園 | 3,399.0 | 2,988,300 | +2,314,200 |
7201 | 日産自 | 346.4 | 7,927,900 | +2,242,000 |
7011 | 三菱重 | 2,791.5 | 5,701,000 | +1,140,800 |
7203 | トヨタ | 2,780.0 | 3,465,200 | +1,076,100 |
信用売り残を投資判断に活かすには
信用売り残を投資判断に活かすためには、以下の3つがポイントです。
市場の需給バランスを理解する
信用売り残と信用買い残を活用することで、信用倍率を割り出すことができます。
信用倍率を見れば、株を買って持っている人と売っているのどちらが多いかがわかり、需給バランスを見極められます。
信用倍率が1倍以下であれば、空売りが多くそこから買い戻しを期待できます。
信用倍率が2~5倍であれば、買いがやや優勢な状況でしょう。
ただし、10倍以上など高すぎる倍率は、将来的な売り圧力の懸念があり、過熱状態として警戒されることもあります。
信用倍率の活かし方として、好材料やブレイクアウトが出たタイミングで買いポジションを取りましょう。
信用売り残の推移をから反転サインを見極める
まず、直近4週平均と比べて急増・最高水準接近など、極端さをチェックします。
もし増えているのであれば、投資家がまだまだ下がると考や信用売りを増やしている状況で、このまま下落が続くと考えられます。
しかし、売りが過熱して反転しやすくなるため、過去最高の水準に近付いたら警戒しましょう。
また、売り残が急に減った時は、投資家がこれ以上は下がらないと考えたと言えます。
そこで株価が下げ止まり、一気に反転する可能性があるでしょう。
株価と信用売り残の逆行現象を見つける
株価の動きと、信用売り残の動きが逆方向に動いているパターンは3種類あります。
株価が上昇していて売り残が減少している場合は、空売り勢が撤退していることを意味します。
売り圧力が後退していって、株価が上がりやすくなるサインです。
株価が下落していて売り残が増加したら、投資家の間でまだ下落トレンドが続くと考えられています。
売り残の増加スピードが速ければ、近々反転するかもしれません。
株価横ばいな中で売り残が急増したら、ブレイク直前のサインです。
買い戻しの圧力が蓄積して、一気に踏み上げられる可能性があります。
まとめ
今回は、信用売り残について解説しました。
信用売り残は、投資家の心理や相場の需給状況を見極めるため重要な指標です。
売り残が多いときは、株価急騰につながる可能性があります。
また、売りが出尽くしていて反発の兆しとなっている可能性についても考慮し、しっかり注視しましょう

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。