「塩漬け株」とは、買った株が値下がりしても売れずに長期間放置している状態を指します。
多くの投資家が一度は経験する「失敗トレード」の代表例ですが、正しい知識と対処法を知れば、損失を最小限に抑えることが可能です。
本記事では、塩漬け株が生まれる仕組み、放置によるリスク、そして整理・再出発のための具体的なステップをわかりやすく解説します。
塩漬け株とは?
塩漬け株とは、「株価が上がると思って買ったのに値下がりし、売るタイミングを逃して長期保有している株」のことです。
料理の“塩漬け”が「保存目的で食材を寝かせる」ことを指すのに対し、株式投資の塩漬けは「仕方なく放置している状態」を意味します。
つまり、株の塩漬けは“意図した戦略”ではなく、“損切りできずに身動きが取れなくなった状態”を指します。
投資の世界で塩漬け株が問題視されるのは、損失を確定したくない心理によって、結果的にさらに損を拡大させてしまうリスクがあるからです。
なぜ人は塩漬け株を作ってしまうのか?
次に、塩漬け株はどのようにして作られるのかを見ていきます。
たとえば、そのメカニズムは以下のようになります。
- 将来株価が上がることを予想して株を購入する
- 予想に反して株価が下がってしまう
- 「上がることを予想して買った株だから」と上がるまで売らずに持ち続ける
- さらに株価が下がってしまい売るタイミングを逃してしまう
⇒塩漬け株になる
上記のうち、塩漬け株発生は
- 「上がることを予想して買った株だから」と上がるまで売らずに持ち続ける
の部分が最も大きな原因です。
この3.の考えには「業績を見た上でこの値下がりは一時的なものだから、必ずまた株価は戻るはず」という考えや「損を抱えてしまったけど損失を確定させたくないから株価が上がるまで待とう」という2パターンの考えがあります。
これらの根底にある「株価は長期的に上昇するだろう」という漠然とした期待や考えで株の保有を決定してしまうと、「損失を確定させないために持ち続けたのに、さらに損が大きくなってしまった……」となりかねません。
塩漬け株のデメリット
塩漬け株を持つことは、損失が大きくなってしまう可能性以外にもデメリットがあります。
それぞれ、どんなデメリットがあるか見ていきましょう。
資金効率が悪くなる
自分の投資資金が限られている場合(例えば100万円)、もし60万円かけて購入した株が塩漬け株になってしまうと残りの40万円では投資の自由度が少なくなってしまいます。
もし塩漬け株が抱える損失を挽回する機会が来たと思っても、投資資金が少なかったら何もできません。
塩漬け株は資金効率を悪化させ、チャンスをも奪います。
精神的ストレスになる
一向に含み損がなくならない塩漬け株があると、損失が大きくなる不安や相場に翻弄される緊張感から精神的ストレスを負うことになります。
結果として、残りの資金を使って投資をするときも気持ちが先行するあまり冷静な判断ができなくなってしまいがちです。
上場廃止や倒産のリスク
塩漬け株になっている銘柄は株価が下がっているものが多いです。
株価が下がり続けている株は上場廃止や倒産のリスクが少なからずあります。
売るタイミングを探しているところでも、上場廃止や倒産となればその機会は巡ってきません。
このように、塩漬け株を保有し続けていると損失拡大のリスクを抱えるだけでなく投資効率の悪化を招いてしまいます。
では塩漬け株を作ってしまいそうな場合や実際に保有している場合は、どう対処すればいいのでしょうか?
塩漬け株を防ぐ・整理するための対策
塩漬け株を気持ちよく整理するのに必要なのが「損切りルール」です。
損切りルールを設定する
塩漬け株を防ぐ最も効果的な方法は、「損切りルール」を明確に定めておくことです。
例としては以下のようなルールが挙げられます。
-
購入価格から10%下がったら売る
-
投資資金全体のうち、1銘柄に投入する金額は30%までに抑える
大切なのは、ルールを「決める」だけでなく「必ず守る」ことです。感情に流されて例外を作ると、損失が膨らみやすくなります。
ルールを守ることで、「損失は限定・利益は拡大」という健全な投資サイクルを築くことができます。
塩漬け株を作ってしまった場合の対応
すでに塩漬け株を抱えている場合も、冷静に対処することが重要です。
次の2ステップで整理を進めましょう。
-
現在の状況を把握する(含み損率・業績・市場環境を再確認)
-
部分的に手仕舞いして資金を再配置する
たとえば、損失が大きくなった銘柄を一部売却し、その資金を他の有望株へ振り向けることで、資金効率を徐々に回復させる方法があります。
また、テクニカル分析を学んで「戻り売り」や「反発局面」で整理するタイミングを見極めるのも有効です。
塩漬け株に関するQ&A
Q1. 塩漬け株は長期的に持っていればそのうち値上がりする?
A. 必ずしもそうではありません。
確かに一時的な下落であれば時間とともに株価が回復するケースもありますが、業績悪化や市場環境の変化によって株価が戻らず、さらに下落することもあります。
長期保有で自然に解決すると考えるのは危険です。
定期的に業績や相場環境を確認し、必要であれば損切りを行うことが大切です。
Q2. 塩漬け株を整理する最適な方法は?
A. まず「損切りルール」を明確に決めましょう。
例えば「購入価格から10%下がったら売却する」といった基準です。
また、複数銘柄を保有している場合は、成長性のある銘柄に資金を振り替えることも有効です。
加えて、テクニカル分析を学ぶことで「戻り売り」や「リバウンド局面」で損失を抑えつつ整理できる可能性が高まります。
Q3. 含み損を抱えたままでも配当をもらえるなら持ち続けてもいい?
A. 配当目的での長期保有は一つの考え方ですが、株価下落が大きいと配当収益以上の損失になるリスクがあります。
また、業績悪化によって配当が減額・停止される可能性もあります。
配当だけで判断せず、株価トレンド・業績・配当方針の3点を確認して保有可否を見極めましょう。
Q4. 塩漬け株を税金対策に使う方法はありますか?
A. あります。
塩漬け株を損切りして確定申告を行えば、「譲渡損失の繰越控除」が適用され、翌年以降の利益と相殺できます。
ただし、NISA口座では損益通算ができないため、一般口座・特定口座での取引に限定されます。
税務面での整理を検討する場合は、必ず最新の税制を確認しましょう。
まとめ
塩漬け株は、「株価はそのうち上がるだろう」という根拠のない期待から生まれるものです。
放置すれば資金効率が下がり、精神的な負担や損失拡大につながります。
重要なのは、損切りルールを明確にし、感情に左右されない判断を徹底することです。
もしすでに塩漬け株を抱えている場合も、テクニカル分析を活用して売り時を見極め、次のチャンスに資金を再投下できる状態を目指しましょう。
冷静にルールを守る投資習慣が、長期的な成果を生み出す第一歩となります。

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。







