貯金ゼロ・投資詐欺3回を経て30代で純資産1億円へ。人生を変えたお金との向き合い方

櫻井かすみ氏インタビュー

無職や収入ゼロ・貯金ゼロを経験し、デイトレードのストレスで救急搬送。

さらには投資詐欺に3度遭いながらも、投資と向き合い続け、30代で純資産1億円を築いた櫻井かすみさん。

現在はファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、大学院で「お金とウェルビーイング(※)」の関係を研究し、金融教育の新たな地平を切り拓いています。

投資との出会いから、教育者としての現在地まで、その軌跡を伺いました。

※ウェルビーイング…身体的・精神的・社会的に良い状態のこと。持続的な幸福を含む概念

櫻井かすみ氏

プロフィール
「ファイナンシャルプランナー」「小学校教諭普通免許状」を保有。Voicyパーソナリティ、SNS総フォロワー3.7万人。株式会社トウシナビ代表、投資の学び舎スクール経営。大阪府出身、1児の母、法政大学大学院地域創造インスティテュート在学中の社会人大学院生(2025年4月)。「ファイナンシャル・ウェルビーイング向上のための金融教育プログラムと効果測定」を研究テーマとしている。無職、ニート、主婦、パート、派遣社員、国内大手上場企業勤務、外資系企業勤務、個人事業主、経営者と、多様な働き方を経験。離婚、無職、貯金ゼロ2回、投資詐欺被害3回などお金に散々振り回されるも、お金の知識を構築し30代で純資産1億円を形成することに成功。初心者から上級者まで幅広く投資を教えてきており、お金の守り方&増やし方を延べ3000人以上に指導してきている。最近では、親子向けのお金の講演や教育イベント登壇も急増中。著書には『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)、『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)、女性誌『anan』『R25』『朝日小学生新聞』『朝日中高生新聞』『日刊SPA』、ニッポン放送『垣花正あなたとハッピー』、ラジオ文化放送『田村淳のNEWSCLUB』『立川志の輔落語DEデート』、ラジオ日本『きのうの続きのつづき』、BSテレ東『NIKKEI NEWS NEXT』、東京MX『元気ジャパン』などメディア出演も多数

目次

将来への不安や多忙な日々からの解放を求めて

−まずは簡単に自己紹介をお願いします。

櫻井 株式会社トウシナビ代表、金融教育家として活動しております。小学校教員免許を保有するファイナンシャルプランナーとしてSNSやVoicyで情報を発信したり、オンラインの株スクールを運営しております。2025年4月から大学院でお金とウェルビーイングの研究も行っている、4歳児の母です。

−投資に関心を持たれたきっかけを教えてください。

櫻井 約11年前、労働以外に収入の柱を増やしたいという思いから関心を持ちました。なぜなら、20代半ばの時に離婚を経験していて、その時に収入ゼロ、貯金もほとんどなく、実家に引きこもっていた時期を経験しているからです。そこからなんとか再就職して自分で収入を得られるようになったのですが、会社だけの収入ではまたいつどうなるかわからないという不安や、製薬会社の営業として働く日々の忙しさからも解放されたい思いで投資に興味を持ちました。

投資

−何から始められましたか。

櫻井 デイトレードを始めたのですが、知識がほとんどない中、できるだけ早くたくさん稼ぎたいという欲が出てしまって、リスク許容度を把握せずに資金を注ぎ込んでしまいました。1日で数万円大きく勝ったときもあれば反対に負けるときもあったので、仕事中や夜間もトレードのことが気になってしまい、睡眠不足になり、体調不良で倒れて救急車に運ばれるということが2回ありました。

−かなり大変な経験をされたのですね。

櫻井 その後も何か手法を探さなきゃと思っていた時に友人から投資の話を持ちかけられ、投資詐欺被害に3回遭いました。それでまた貯金ゼロになってしまい、もうこんな思いは二度としたくないという思いから、堅実な資産運用を学ぼうと、コツコツとお金の知識を身につけるようになりました。

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iDeCoとNISA、投資信託で土台を築いた“堅実な資産運用”

ポートフォリオ

−堅実な資金運用とは、具体的にどのようなことでしょうか。

櫻井 自分ができる範囲のことを最大限にやろうと思って考えた結果、確定拠出型年金iDeCoや、一般NISA制度を使って投資信託に投資をしました。賞与を投資に回したり、毎月の給与も半分は投資に回して、5年ほどかけて土台を固めました。その後、8割を投資信託、2割を個別株や暗号資産、ゴールドなどに回すように投資比率を変えていきました。

−仕事を退職し、投資で生活できるようになったのはいつ頃ですか。

櫻井 今から2年前、投資歴で言うと8年目です。私は投資信託や個別株と並行して不動産投資も行っていて、不動産を売却することで大きなキャピタルゲインを得ることが出来たので、それをさらに米国株に投資し、資金を増やしていくことが出来ました。

−不動産投資に関心を持ったきっかけは何でしたか。

櫻井 私が務めていた会社では家賃補助が大きく、持ち家でも賃貸同様に補助が出たので、持ち家の方が自分の資産になるんじゃないかと思ったのがきっかけです。その後、投資コミュニティで色々な方のお話を聞く中で、コロナ以降はインフレも円安も進んでいましたし、株などの有価証券以外に現物資産を増やしたいと思って、ゴールドや不動産をコロナ以降増やしていきました。だから儲けたいというよりも、経済の状況を鑑みた時に、現物資産を増やしていこうという意味合いが大きかったです。

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毎月の収支と支出、正しく把握していますか?

−様々な経験をしながらご自身の考えに合う投資方法を身につけていった櫻井さんですが、投資初心者が自分に合うやり方を見つけるためにはどうしたら良いと思われますか。

櫻井 自分に合うやり方を見つけるというのは本当に難しくて、すぐに見つけられる人より、なかなか見つけられない人の割合の方が多いです。なので、まずは少額から始めていただくのが一番いいと思います。少額で色々と試していくうちに、自分の思考に合うスタイルが見出せてくると思うので、そのタイミングで投資金額を増やしていけば良いと思います。
特に初心者の方はまず投資を行う前段階に、自分の収支の把握、支出の見直しというところからぜひ始めていただきたいなと思います。

収支の把握

−収支の把握、支出の見直しの重要性について教えてください。

櫻井 健康診断と同じで、自分のお金の状態をチェックしてほしいんです。自分の健康状態が分からない中、無闇にサプリを飲んだり、健康法を試したりしてもなかなか改善されていきませんよね。どこに何が原因があって、どこを見直さないといけないのかというのをまず把握する必要があると思います。
毎月自分の口座にいくら入ってきて、何にいくら使っているのかというのを把握されていらっしゃらない方が本当に多いんです。クレジットカードを何枚も使っていて、すべてを合算して初めて「こんなに使っていたのか」と気づく方や、引き落とし金額すら把握していない方も少なくありません。そうなるといくら投資で資産を増やそうとしても、水道の蛇口が駄々洩れ状態なので非常に効率が悪いんですよね。なので、効率がいい、無駄のない資産運用をしていただくためにも、まずは支出の見直し、特に五大固定費(住宅費・水道光熱費・通信費・車の維持費・保険料)の見直しをして無駄を省く。そこで浮いたお金で少額から投資をして頂くというのをおすすめしています。

−投資は何か1つから始めるのが良いのか、色々な手法で分散させながら始めるのが良いか、どちらが良いと思われますか。

櫻井 まずは1つからで良いと思います。1つから始めて、それが出来るようになったら2つ3つと増やしていけば良いです。人生100年時代と言われているのですから、焦らずに、1つ1つ積み重ねていけば良いと思います。

−米国株はトランプ政権の動向を含めて投資すべきか不安に思う人もいますが、櫻井さんはどのように考えていますか。

櫻井 デイトレードや短期のトレードでは相場に動きが出やすいと思うのですが、私は基本的に10年以上の長期運用、ホールドの考えでいます。もちろん今後どうなるかは分かりませんが、過去の歴史を見るとアメリカが経済の中心で基軸通貨はドル、20年以上米国株を保有し続けていたらプラスになっているという実績があります。そのため私は基本のアセットとして米国株を大きな割合で置いています

−ゴールドを持つメリットは何でしょうか。

櫻井 1つは現物資産であるということ、あとは暴落時の守りの資産になりうるかなと私は思っています。世の中が不安定になってくると、現物資産にお金が流れる傾向がありますし、過去の歴史を見ると、暴落のパーセンテージが株に比べると低いところ、立ち直りも早いところがあるので、ゴールドは守りのためのアセットとして考えています。

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投資での成功体験が人生の可能性を広げる

−投資で成果を出せる人と出しにくい人の特徴はありますか。

櫻井 やはり素直さだと思います。素直に言われたことを継続できるか、ここに尽きます。プロの先生の話を聞けない人というのは、先生の話より時流を大事にされると思うのですが、時流でうまくいかないのにそれを突き通しているうちはなかなか成果が出にくいです。一方で、スクールに入る前は何もやっていなかった人でも、素直にプロの先生の話を聞いて、継続してコツコツ行動されていらっしゃる方は成果に結びつきやすいと思います。

−櫻井さんのスクールで印象に残っている方はいますか。

櫻井 50代の女性で、証券口座を開設したこともなかった方が、言われたことを素直に、コツコツと継続してやることですぐに結果を出し、半年後には投資信託に加えて個別株でも資産を増やしていました。さらにそこで自信がついたことで、今まで諦めていた趣味にもチャレンジし、海外に行くようになったり、人生の可能性が広がっていく様子を見せていただきました。

ゴール

−投資のゴールをどのように設定するべきか分からないという人にはどのようにアドバイスをされていますか。

櫻井 何年間でいくらにしたいというよりも、人生ベースで考えるようにお伝えしています。例えば5年後や10年後に、いつ・どこで・誰と・どんな生活をしていたいのか。それを想像した上で、実現するためには最低いくら必要なのかを算出していくと良いと思います。

−株式運用において、メンタルコントロールが難しいと感じる方も多いと思います。そうした方に向けたアドバイスはありますか?

櫻井 最初に目的とゴールを決めていただきたいです。短期投資なのか、中長期投資なのか。目的によってそれぞれ手法は変わってくるので、まず目的とゴールを決めて頂くことと、リスク許容度を含めた配分、ポートフォリオの比率を考えて頂きたいと思います。一喜一憂してしまうということは過剰なリスクをとっている可能性が高いので、投資金額を少し減らしたり、一旦相場を客観的に見ていただくことが必要だと思います。
また人間が体調不良を起こすように、マーケットも“風邪をひく”ことがあります。過去のリーマン・ショックやITバブル崩壊でも大きな暴落がありましたが、長期的に見れば右肩上がりになっているので、そういった過去の歴史を事実ベースで認識することも重要だと思います。

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お金は幸せになるための手段。資産運用のゴールを考えて

−今注力している活動や今後の目標について教えてください。

櫻井 今は大学院で幸せになるための金融教育、「幸せお金学」という学問を作ろうとしています。単に金融リテラシーを上げるだけでなく、金融リテラシーが上がることによってその方のウェルビーイング、幸せのスコアがどのような形で上がるのか、何をしたら上がるのかというような研究をして、それを学問として広げていく活動をしています。大学院の研究の他にウェルビーイング学会とファイナンシャルウェルビーイング分科会での学会活動や、教育企業さんとのコラボをして親子向けのお金の話をしたりしています。

ウェルビーイング

−なぜお金とウェルビーイングの関係性に興味を持たれたのでしょうか。

櫻井 目標としていた純資産1億円を達成した時に、ウェルビーイングについて考えるようになりました。私はずっとお金に振り回され、お金のない時代が長かったので、これまではいかに資産を増やすのかというのを考えてきました。10年ほど、友人や家族や恋人や趣味など様々な時間を犠牲にしながら、いかにお金を使わないかというのを意識して生活していました。そんな思いでようやく資産形成をしたのですが、お金が増えてもお金を使うことにためらいがあり、もっともっとお金を増やさなければという考えが抜けなくて、私は何のためにお金を増やしているんだろう、どうして幸せになれないんだろうと考えたんです。そこから、お金は目的ではなく、幸せになるための1つの方法なのだと感じ、研究をスタートさせました。

−最後に、個人投資家の皆さんにメッセージをお願いします。

櫻井 お金は、ただの数字じゃありません。あなたの暮らし・未来・人間関係・心の状態と深くつながっています。それは、お金そのものではなく、お金との関係が、あなたの“安心感”に影響しているということ。投資もお金も、自分の人生が幸せになるためのものなので、何を目的・ゴールにして資産運用をしているのかというのをぜひ考えて頂きたいと思います。本当に自分にとっての幸せを自分で見いだせるような状態を見出してほしいです。また、良い商品や良い銘柄を探す前に、まず自分の状態、収支の把握、支出の見直しを行うきっかけになれればとても嬉しく思います。

「櫻井かすみオフィシャルサイト」はコチラ

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