害虫駆除の経験から株の法則を発見?ラジオ番組でもMCを務める芸人が語る、楽しみながら一生続ける投資術

大和一孝氏

借金や自己破産を経験しながらも、芸人・ラジオパーソナリティとして活躍し、投資の実績を重ねる大和一孝さん。

AIと投資の壁打ちをしたり、害虫駆除の仕事から「季節銘柄」に気づいたり、ユニークな投資術が盛りだくさん。

「楽しみながら一生続ける」投資の考え方を教えていただきました。

大和一孝氏大和一孝氏

プロフィール
1976年生まれ、福岡県出身。1995年にお笑いコンビ「スパローズ」を結成。過去に400万円の借金をし、自己破産を経験。自虐と借金ネタで「しくじり先生」等多数TVに出演。現在は投資の知識を生かし、ラジオNIKKEIでレギュラーも。また、ソロキャンプ集団「焚火会」に属し、キャンプギアのプロデュースも行う。コロナ禍の中、「Zoom演劇」をいち早く立ち上げるなどその活躍の場は多岐にわたる。

目次

億トレの戦い方を間近で見て投資手法が変化

−まずは簡単に自己紹介をお願いします。

大和 お笑いコンビ「スパローズ」の大和一孝と言います。ラジオNIKKEIで「カブりつき・マーケット情報局」という番組や、キャイ~ン・天野ひろゆきさんと「マーケットプレス」という番組のパーソナリティを務めています。また「MADE IN YAMATO」というアウトドアショップを運営したり、キャンプ場を始めようとして山を開拓したりしています。もちろん芸人活動もしています。

ゲーム

−投資に興味を持ったきっかけは何でしたか。

大和 小学生の時、「松本亨の株式必勝学」というファミコンのゲームソフトにハマったのがきっかけです。結構リアルで、マンションを買ったり秘書をつけたりしながら投資をするんです。公文に3ヶ月だけ通っていて数字が好きだったので、株も数字がいっぱい並んでいて楽しそうだなと思って興味が湧きました。
実際に投資を始めたのは20〜22歳くらいの時です。芸人は「借金して当たり前」という風潮があったので、このままだとやばいなと思って、当時話題だったデイトレードを始めました。

−デイトレードの成果はいかがでしたか。

大和 最初に50冊くらい投資本を読んで、ラジオや日経新聞で情報収集をしながら始めたところ、最初の1ヶ月で30万円の元本が倍になりました。60万円のうち30万円は借金の返済に充てて、また30万円でデイトレードをしたら次の月は90万円になりました。どんどん勝っていくので負ける気がしなくなって、1回全部お金を使っちゃったんです。それでしばらく期間が空いて、また投資を始めました。
今振り返ると、上場廃止寸前の株を購入したのに途中で寝てしまうなど、危ない橋を渡っていたと思います。投資再開後は、NISAで長期投資をしたり、信用取引のパーセンテージを減らしたり、リスクを減らすやり方に変わっていきました。

−変化したきっかけは何だったのでしょうか。

大和 パーソナリティを務めているラジオ番組「カブりつき・マーケット情報局」には億トレの方がたくさん来るのですが、その方々のお話を聞いていると余裕を持って投資をしているなと思ったんです。資産が増えるまでは多少無理をしているケースもありますが、資産が増えると株価が下がるのを待って、買い足していくケースが多い。2024年夏の暴落や、トランプ政権の関税による暴落があっても、焦らずに「どれを買おうか」と考えているのを見てきました。こういう精神状態だったら負けにくいだろうなと実感し、自分もやり方が変わっていきました。

−現在のポートフォリオを教えてください。

大和 昨年までは3分の1がアメリカ株でしたが、今は一旦日本株のみになっています。日本株がよくなりそうだなと感じたのと、アメリカがどうなるのかわからなかったので。ただアメリカ株やインド株に興味はあるので、またやると思います。基本的には中長期で、短期で1〜2社持つようにしています。

−ご自身で決めている投資のルールはありますか。

大和 当たり前なんですけれど、「自己責任」であると認識しながらやるということです。例えば「ラジオでコメンテーターがこう言っていたのに」と言う人もいるのですが、そのラジオを聞いて最終的に判断を下したのは自分なんですよね。誰かのせいにしたら反省ができなくなるので、自己責任であるということは意識しています。

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害虫消毒の仕事をしていて発見した「季節銘柄」

お金

−投資の成功談について教えてください。

大和 僕は害虫消毒の仕事を12年やっていたのですが、ある時、害虫消毒は季節銘柄だなと気がつきました。冬は仕事が少なくて、暖かくなって虫が出始めるとニュースにもなるし、シロアリや蜂の駆除といった仕事が増えるんです。これに気づいている人がいないと思って「害虫消毒をしているサニックス社の株を冬のうちに買う」とラジオで言ったところ、20%以上株価が上昇するということが5回くらいありました。このシステムはまだ使えるんじゃないかと思っています。他にも「このブランドの駐車場は埋まっているな」「コンビニでこの商品が最近売れているな」など、身の回りの生活で法則を見つけるのが好きです。

−大和さんは楽しみながら投資をされているのですね。

大和 それは1つポイントかもしれません。常に楽しい状態を保ちながらやれると、勉強することがもう努力じゃなくなるんです。自分が学びたいと思える状態を作ることを大切にしています。
初心者の方であれば、例えば優待目当てで購入したり、配当金が出る株を購入したりして、安定して楽しめる状態を作ると良いと思います。僕も以前、高配当株を10個買って、その配当金で攻めた米国株を買っていました。配当金で得たお金であれば損をしても落ち込まないし、ドローンのタクシー会社など、夢のある企業に投資をして楽しめる。アメリカ株は1株から買えるので、色々な株を買いながら楽しむことができます。高配当株は暴落時にも落ちにくいので、安定した精神状態を保てると思います。

−銘柄を選ぶ基準はありますか。

大和 最近はAIと壁打ちしながら決めています。Chat GPTや、最新情報だとGrokに聞いていますね。「アメリカの利下げはどうなっていきますか?」「日本は円高になっていくと思うんだけれどどうですか」など大枠から聞いていって、「それがプラスに働く業種は何ですか」「その業種の中で、最近業績の良い企業はどこですか」とどんどん絞り込んでいきます。やっぱり勢いのあるところで勝負した方が、確率が少しでも上がるかなと思うんです。
また、いくつか候補の会社が出てきたら「なんでこの会社を選んだのか」「どんな数字を見て判断したのか」を聞いていきます。そうすると自然とPERやPBRについての知識も身についていく。質問の仕方が上手くなっていくと、成長も早くなると思います。

−ただ銘柄名を教えてもらうだけでなく、それがなぜ良いのかを聞くのが大切ですね。

大和 よく億トレの人にどの銘柄が良いかを聞く人がいるのですが、なぜその銘柄を選んだのか、どうなった時に売ったら良いかを合わせて聞いた方が良いと思います。その億トレの人が一生隣にいて教えてくれるわけではありませんから、上がる理由と下がる理由を知って学んでおかないと自分の技術として身につきません。偶然上がったとしても、それが今後に役立たないんですよね。投資は一生続けることが大事なので、銘柄を聞く時はなぜそれを選んだのか、その理由を大事にしたほうが良いと思います。

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億トレの共通点は「ケチ」であること?!

貯金

−これまで多くの億トレを見てきたと思いますが、共通点はありますか。

大和 金遣いが荒かった僕からすると、皆さんがすごくケチに見えました。例えば新品のものを買おうと思わないらしいんです。なぜかというと、買った瞬間にヤフオクで売ったら半額になることが分かってしまうから。日常の全てがチャートに見えているんでしょうね。
それはケチなのではなく、何がお得なのかを真に理解しているのだと思います。よく新築物件にこだわる人がいますが、いわば星野リゾートも中古物件じゃないですか。タクシーも中古車ですよね。そう思うと、新築物件や新車にこだわるのはコスパが良くないということが分かります。億トレの人たちは時間を効率的に使うということも含め、人生を通してのコスパの良さにこだわっていると感じます。

−初心者がやっておいた方が良いことはありますか。

大和 リスクなく長く楽しく続けていくということが大事だと思います。株をギャンブルのように思う人もいるかもしれませんが、競馬や宝くじは負けた瞬間に紙切れになりますし、それだけで食べていける人というのはほとんどいません。一方で株はやり続けていれば増えていくことが多いし、税率も宝くじより低い。いかに長く続けていくかが大事で、そのためには楽しく、一生やる競技だと思ってやるのが良いんじゃないかなと思います。
例えばテスト勉強は辛いですが、クイズ番組のように早押ししたり、正解したら音が鳴ったりしたら楽しいですよね。そうやって脳が楽しいと感じる仕組みをどう作るかが大切だと思います。

−メンタルコントロールのコツについて教えてください。

大和 人のせいにしないということが大事かなと思います。誰かが言ったことを信じて買ったら、何が駄目だったかあんまり分からないですよね。理由が分からないことというのはモヤモヤすると思います。だけど、自分で明確な理由を持って買っていれば、負けても負けた理由が分かりますし、今後の改善点が見つけられます。失敗しても次に活かすことが見つけられれば、メンタルも保たれやすいと思います。

−振り返りはどのくらいの頻度でやられていますか。

大和 1週間に1回など、明確に決めないようにしています。必ずやると決めてしまうとノルマになってしまうので、好きじゃなくなるかなと思っています。気づいた時にやるというのを続けていくと、一生続けられるかなと思っています。

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成功者と同じ情報を得る!大和流SNS活用術

GPT

−情報収集はどのように行なっていますか。

大和 以前は日経新聞を読んでいたのですが、最近はChatGPTに聞きまくっています。ChatGPTは情報がズレていることもあるので、大まかなトピックスを聞いた後、気になったことは別途調べるようにしています。
あとは番組で会った時に色々とお話を聞くのが楽しいですね。一緒に番組をやっているキャイ~ンの天野さんは、株の勉強は全然していないけれど、質問が上手いんです。凄い人たちの話を聞いて何となく危ないなとか察知しているので、情報収集もそうですが、質問の仕方が大事だなと思います。

−SNSなどで不確かな情報に惑わされないようにするためにはどうしたら良いでしょうか。

大和 例えばテスタさんのようになりたいんだったら、今フォローしている人を全部外して、テスタさんがフォローしている人だけをフォローすれば良いんじゃないかと思うんです。そうすれば、SNSを開いている時間に入ってくる情報はテスタさんと同じになりますよね。
恐らく正しい注意喚起もされるだろうし、変に派手な投資をすることもなくなると思います。自分が認める投資家を見つけて、その人と同じ情報を得るというのはおすすめです。
投資家を選ぶ時、投資歴が短くて、偶然成功している人は避けた方が良いと思います。その人が10年投資を続けたら、退場してしまう可能性もあるからです。大事なのは一生投資を続けることだと思うので、20年30年、成功し続けている人を選ぶのが良いと思います。

−今注目している業界や業種はありますか。

大和 過熱しているもので勝負すると退場の可能性が高いので、業種別のチャートを見て、徐々に上がっていく、低空飛行だけれども安定している業種を選ぶようにしています。
また、暴落したときに入れる余裕を持っておきたいので、株価が高い今の状況で上がっていない株は一回現金や安定性のある業種に入れ替えておいて、ピンチをチャンスに活かせる環境を整えておきたいと思います。

−今後の目標について教えてください。

大和 今はキャンプ場の準備を進めていて、これも投資だと思っています。これで利益が出たら、それも株投資に回して、資産を増やしていきたいです。長期的に見たら億トレは目指したいですね。仕事も増えるだろうし、その後負けてもネタになるので、「億トレです」と言いたいです。

−個人投資家へのメッセージをお願いします。

大和 1人で投資をしていると孤独になりがちですが、負けている時は他にも負けている人がいるというのを想像して欲しいです。そうすると「あの人よりはマシな負け方しよう」と思えるし、勝っている時も「あの人も勝って、浮かれてキャバクラでお金使っているのかな。じゃあ自分は今のうちに売っとこうかな」と思うことができる。1人でやっているのではなく、相手がいるんだということを思い浮かべてやった方が楽しいのかなと思います。

大和一孝氏の公式サイトはコチラ

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