世界第2位の経済大国・中国。
その勢いは止まらないと思われてきましたが、近年は社会主義への回帰、不動産バブルの崩壊、コロナ禍での人口減少など、深刻な課題が山積しています。
米中対立も激しさを増すなか、日本の私たちの生活や経済にはどのような影響があるのでしょうか。
現代中国政治と中台関係の第一人者・澁谷司氏は、「投資家は安易に中国とは関わるな」と強調します。
中国経済の現実と投資家が取るべき行動を詳しく掘り下げます。
澁谷司氏
プロフィール
1953年東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。拓殖大学海外事情研究所教授を定年退職し、現在、目白大学大学院講師。アジア太平洋交流学会(APIS)会長。かつて台湾・明道管理学院(現・明道大学)や東京外国語大学、国際教養大学等で教鞭をとる。専門は、現代中国政治研究・中台関係論・東アジア国際関係論。主な著書に、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)、『人が死滅する中国汚染大陸』・『中国高官が祖国を捨てる日』・『戦略を持たない日本』(いずれも経済界新書)がある。
目下、Youtube「澁谷司の中国カフェ」をほぼ毎日、アップ中。
習近平氏が退任しても回復不能?中国経済のリアルとは
−まずは簡単に自己紹介をお願いします。
澁谷 拓殖大学海外事情研究所で30年近く勤務いたしました。現在は、目白大学大学院で非常勤講師として働いております。また、アジア太平洋交流学会の会長を務めさせていただいております。
−中国という国を理解する上で大切なことは何でしょうか。
澁谷 中国人はメンツが命と同じぐらい大事で、メンツを潰されたら大変なことだということです。また、今の中国共産党政権はいわゆる「孫子の兵法」を元に、国内外の人々を混乱させる言動を取っています。古代帝国が現代に復活したと考えた方が良いんじゃないかと思っています。ある意味では常識が通じないですし、中国共産党の一部の人たちは平気で法律を破ります。中国人全体ということではなく、あくまでも今の共産党政権はそのような政権であるということを知っておいた方がいいのかなと思います。
−現在の中国の経済状況をどのように見ていますか。
澁谷 2012年に習近平さんが総書記になってから、それまでの鄧小平路線の改革開放を放棄し、毛沢東型の社会主義に戻ってしまいました。社会主義に戻ったことが中国経済をダメにしてしまった要因だと私は考えています。2010年代当初、習近平さんが出てきて以降、中国人のスパイである学者たちが盛んに中国経済は素晴らしいと賛美しました。でもそこで出していた数字はデタラメで、それが日本のメディアで垂れ流しされた。今や回復不可能なほど、経済は低迷していると思います。
−習近平氏の退任が囁かれていますが、退任すると状況は変わるのでしょうか。
澁谷 多少は変わりますが、共産党が政権を握っているうちは経済回復は難しいと思います。共産党の中にも素晴らしい方はいるのですが、政党内でトップに立てないですね。野党も中国民主党は弾圧されて地下に潜っているので、まともな政党がありません。中国共産党が潰れたら中国全体が混乱するだけです。それは世界も望んでいないでしょう。中国の経済を良くするのは難しいと思います。
不動産バブル崩壊、コロナ禍での人口減少。米中関係はどうなる?
−日本の私たちの生活にはどのような影響がありますか。
澁谷 影響はないと思います。例えば私達のお給料とかそういうものには一切関係ないと思っています。もちろん中国ビジネスをやってる人には大いに関係ありますけれども、それ以外は全く関係ないというふうに思っていただいていいと思いますね。
−新型コロナウイルスも経済に影響を与えているのでしょうか。
澁谷 もちろんありましたけれども、もうその前から悪かったです。悪いのにさらに悪くなったと考えていただくとちょうどいいのかなと思います。中国ではコロナで3億人くらいが亡くなったと言われています。それはスマホの解約数や葬儀場の稼働の状況から見て言われていることです。ただ中国は数字を出しませんし、誤魔化します。もしかすると今の中国はもう10億人もいないのかもしれません。
−不動産バブルの崩壊についてはいかがでしょうか。
澁谷 中国では不動産は価格が下がらないという神話があったため、みんなが不動産を買っていたんです。中国のファミリー層の40%もの人がセカンドハウスを持っていると言います。日本では信じられませんよね。ところが経済が悪化したため、ローンが重くのしかかってきています。給料も下がってきていて、ローンを払えない。不動産バブルがはじけたことで、かなり中国にいる方の状況が厳しくなりました。
−中米関係については、今後どうなるのでしょうか。
澁谷 非常に難しいところです。よく経済的にしか見ていない人がいるのですが、中国共産党が世界の覇権を握ろうと考えているという点を忘れてはいけません。一方でアメリカも中国には覇権は譲らないという強い意思があります。関税交渉はその最大の武器です。中国にはレアアースがあると言いますが、アメリカが半導体規制を行えば中国も苦しくなります。さらに中国企業を徐々に市場から排除しています。アメリカは切り札をいくつか持っていますが、中国には切り札がない。
さらにアメリカは武漢発症の新型コロナの責任を中国共産党に取らせようと考えています。実際に先日、中国共産党を相手取って責任を追求する裁判を行い、勝利しています。
−台湾情勢についてはいかがですか。
澁谷 台湾情勢は緊張してると思われておりますけども、実際は全く逆です。なぜかというと、中国軍の内部が粛清の嵐で、まともな海軍将校がほとんどいないんですよ。海軍将校がいなくてどうやって台湾を攻めるかという大問題もあるし、中国軍自体がもうかなり腐敗していますから、そもそも戦える軍じゃないんです。
また台湾は、皆さんが思うほど弱くないということもお話しておきたいと思います。例えば最新鋭の戦闘機を常時500機揃えています。これは日本の自衛隊と同じ数です。台湾は日本の10分の1ほどの土地しかないのに、日本と同じ戦闘機数を持っているんです。ミサイル防衛システム「PAC-3」(パックスリー)は日本の1.5倍所持していますし、予備兵は200万人ほどいると言われており、日本の予備兵は約4万人、中国でも200万人です。さらに台湾には至る所にシェルターがあり、台北市の駅には台湾の人口の半数が入れるほどのシェルターがあります。台湾は軍事力が高い国なんです。
中国共産党が統制、信憑性のある情報は手に入らない
−株式市場への影響はどう見るべきでしょうか。
澁谷 中国共産党も今後努力はするでしょうが、反スパイ法が強化されている現状では海外からの投資は期待できないんじゃないんでしょうか。
一方、日系企業は困ったことに中国国内にまだ3万2000社も残っています。本来ならば日本へ戻るかそれとも他国、例えばベトナムとかインドに拠点を移した方がいいんですけれども、ほとんど人質状態になってしまっているんです。なぜかというと、日系企業が他国に移る場合は工場の設備を全て置いて、従業員への保証もしろと言われているからです。ですから、日系企業が動きたくても簡単には動けない。
そんな状況なので、今こそ中国投資をやるべきだという人もいるかもしれませんが、少なくとも日本の投資家はよした方がいいんじゃないかと私は思っております。中国のマスメディアは中国共産党に統制されているので、信憑性のある情報を伝えません。私のような専門家でも情報収集が難しいので、一般の方は手を出すべきではないと思います。
−投資に向いている、良さそうな国はありますか。
澁谷 メキシコやベトナムは良いと思います。メキシコは今労働力人口が子どもや高齢者よりも多い人口ボーナスがやってきていて、これから30年ほど続くと言われています。アメリカとの関係はちょっと難しいかもしれないけれども、経済状況は良いかなと思います。ベトナムはこれからさらに民主化していくでしょうから、投資も良いのかなと思います。またインドも経済成長が著しいので良いのではないでしょうか。
−投資家に伝えたいことはありますか。
澁谷 中国とは関わるなということを強く言いたいです。素人が出資すべきところではない。それであれば、日本株や米国株で勝負した方が良いと思います。

株トレード歴40年のプロトレーダー相場師朗先生が監修する株式投資情報総合サイト「インテク」の編集部です。今から株式投資を始めたいと思っている投資初心者の方から、プロが実際に使っているトレード手法の解説までの幅広いコンテンツを「わかりやすく、気軽に、実用的に」をモットーに発信しています。