こんにちは、インテク事務局です。
今回の特集記事では、全5回にわたって「為替(かわせ)」について解説します。
【為替③】「為替介入」って何をするの?過去の実例も解説
【為替④】為替レートはどうして変動するの?為替の変動要因とは
「為替レートはなぜ変動するの?」
「為替レートの動きを予測することはできる?」
前回は円高と円安について詳しく解説しました。
では為替レートは、どのようにして変動するのでしょうか。
今回は、為替レートの変動要因を詳しく解説します。
為替レートの仕組み
まず為替レートは、どのような仕組みで動いているのでしょうか。
その定義と、通貨が売買される外国為替市場について解説していきます。
為替レートとは
「為替レート」とは、ある国の通貨を別の国の通貨に交換するときの交換比率のことです。
たとえば為替レートが「1ドル=100円」なら、100円を1ドルに交換することができます。
為替レートは需要と供給のバランスによって変動し、円を売りたい人が多ければ円安に、円を買いたいと思う人が多ければ円高になります。
外国為替市場とは
日本円やUSドルなど異なる通貨を交換(売買)する場所は「外国為替市場」と呼ばれます。
市場といっても、魚市場のように特定の建物を指すわけではなく、実際には電子機器や電話を使って取引が行われています。
外国為替市場の取引は、大きく以下の2つに分類することができます。
・対顧客取引:企業や個人が金融機関と行う取引
・インターバンク取引:金融機関どうしが直接またはブローカーを通じて行う取引
対顧客取引には個人や輸出入業のほか、商社や機関投資家などが参加し、インターバンク取引には日本銀行などの中央銀行のほか、為替ブローカーや証券会社などが参加しています。
東京やニューヨークなど実際の証券取引所で取引される株式とは違い、外国為替市場はインターネットなどで売買されるため、取引は24時間行われています。
なお「本日の東京外国為替市場では」など、特定の都市名をニュースで耳にすることがありますよね。
これはその時間帯に中心的に取引が行われる都市を指しているもので、一般的に日本時間の朝9時から17時の取引は「東京外国為替市場」、16時~深夜2時は「ロンドン外国為替市場」、21時~翌朝6時は「ニューヨーク外国為替市場」と呼ばれます。
為替の変動要因
では為替レートが変動する要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
為替を動かす要因は多岐にわたり、非常に複雑なものとなっています。
ここではその中でも主な要因について解説します。
経済指標
国の経済状況を示す経済指標は、マーケットに大きな影響を与えます。
重要な経済指標としては、物価指数や経済成長率、雇用統計、国際収支などが挙げられます。
たとえば物価が上昇すると、モノの値段が上がってお金の価値は下がる「インフレ」状態になります。
もしアメリカでインフレが続き、日本では逆にモノの値段が下がってお金の価値が上がる「デフレ」になれば、ドル安・円高となる可能性が高まるのです。
このような経済状況を示す基礎的な条件は「ファンダメンタルズ」とも呼ばれ、長期的な為替の動向に大きな影響を与えます。
なかでもアメリカの経済指標は世界的に注目されており、特に毎月第1金曜日に発表される、雇用状況を示す「雇用統計」は、為替レートに大きな影響を与えます。
政治的要因
政治的要因には、外交問題や政権交代、規制の強化や緩和といった制度の変更などが挙げられます。
政治が不安定になると、その国の投資はやめておこうと考える人が増え、為替レートが下落する傾向があります。
また各国政府において重要な地位にある、「要人」の発言も注目されます。
地政学的要因
地政学的要因とは、戦争やテロ、自然災害などです。
大地震が起きたり、戦争が発生したりすると、その国の経済状況が悪くなり通貨の価値も下落すると考えられます。
2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始した際、ロシアの通貨であるルーブルは急激に下落しました。
心理的要因
現代における通貨の売買は、輸出入など実際の需給に基づくものよりも、通貨の売買によって利益を得ようとする投機や投資のための取引の方が多くなっています。
このため「レートが上がったから売ろう」といったように、為替レートの動き自体が売買につながることがあります。
また投資家が不安になるような情報が広がると、それが単なるウワサであっても、パニック売りが起きて為替レートが大きく動くこともあるのです。
このように、投資家の心理状況も為替レートの変動要因となります。
まとめ
為替レートが変動する理由について解説しました。
為替レートの変動要因には、国の経済状況を示す経済指標のほか、政治学的要因や地政学要因、心理的要因などが挙げられます。
非常にさまざまな要素が複雑に影響して為替レートが決まるため、その動きを予測することは非常に困難だといえるでしょう。
次回は為替介入について解説します。