こんにちは、インテク事務局です。
今回の特集記事では、全5回にわたって「為替(かわせ)」について解説します。
【為替②】「円高」「円安」ってどういうこと?
【為替④】為替レートはどうして変動するの?為替の変動要因とは
「円高とか円安ってどういうこと?」
「円高と円安だったら、どっちがいいの?」
「たまにお店でやっている、円高還元セールってどういうこと?」
新聞やニュースでは、毎日のように「円高」や「円安」という言葉が飛び交っています。
買い物に出かけた店舗や、インターネットショッピングのサイトで「円高還元セール!」と銘打たれているのを目にしたことはありませんか?
しかし円高や円安が具体的にどういうことなのか、よく分からないという方も多いようです。
そこで今回は円高と円安について、分かりやすく解説します。
円高と円安
円高と円安とはどのような状況なのか、それぞれ見ていきましょう。
円高とは
円高とは、ある時点に比べ円の価値が高くなることです。
たとえば1USドル=100円だった為替レートが、1USドル=90円になったら、「円高(ドル安)」となります。
スーパーでリンゴが1個1USドルだったとすると、以前は100円払わないと買えなかったのに対し、90円で買えるようになります。
これはつまり日本円の価値が高くなったために、より少ない日本円でモノを買えるようになったというわけなのですね。
円安とは
いっぽう円安は円高の逆で、ある時点に比べ円の価値が安くなることです。
たとえば1USドル=100円だった為替レートが、1USドル=110円になったら、「円安(ドル高)」となります。
1個100円で買えていた1USドルのリンゴが、110円支払わないと買えなくなってしまうということです。
日本円の価値が安くなったために、より多くの日本円を支払わなくてはモノが買えなくなってしまったというわけですね。
円高と円安はどちらが良いのか
では円高と円安は、どちらが良いのでしょうか。
結論から言うと一概にどちらが良いということはなく、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
円高のメリット・デメリット
日本円の価値が高くなる「円高」のメリットは、「海外のモノ」が安く買えることです。
輸入産業を手がける企業は、輸入コストが安くなるため利益が向上し、業績が伸びる傾向があります。
また消費者である個人も、輸入品を安く買えたり、海外旅行が安く済んだりします。
「円高還元セール」というのは、急激な円高によって生じた利益を、消費者へいくらか戻そうという意図で行われるセールのことなのですね。
いっぽうデメリットとして、輸出産業を手がける企業は、日本の輸出製品が高くなってしまうため、業績が落ち込みやすくなります。
海外旅行客が減ってしまうなど、観光産業への影響も懸念されます。
また個人への影響としては、USドルや米国株といった海外資産を所有している場合、日本円換算での資産価値が下がってしまいます。
円安のメリット・デメリット
日本円の価値が安くなる「円安」のメリットは、海外から見ると日本製品が安く買えることです。
そのため輸出産業を手がける企業は日本の輸出製品が売れやすくなり、業績が伸びる傾向があります。
海外からの旅行者が増えて、観光業界が活性化することも期待できるでしょう。
またUSドルや米国株など海外へ投資している個人は、所有する資産の価値が相対的に上がり、利益を享受しやすくなります。
いっぽうデメリットとして、原油などのエネルギー資源や食料など、日常生活に欠かせない多くのモノを輸入品に頼っている日本では、生活必需品の値上げが家計に大きく影響する可能性があります。
輸入企業も輸入コストが高くなってしまうため、輸入産業の業績が落ち込みやすくなります。
まとめ
円高と円安とはどういうことか、それぞれのメリットとデメリットとあわせて解説しました。
日本は石油や天然ガスなどのエネルギー資源や食料など、多くのモノを輸入に頼っています。
そのため個人の消費者としては、海外のモノが安く買える「円高」の方が、日常生活でオトクに感じることが多いでしょう。
ただし日本の大企業は、主に輸出を手掛けるメーカーも多いため、急激な円高局面が続くと日本経済に悪影響がおよび不景気となる可能性もあります。
不景気が続くと、給与が下がってしまったり、リストラが行われたりするかもしれません。
このように円高と円安はどちらが良いか言えないため、為替レートの変動など状況を注視しながら臨機応変に対応していくことが求められるでしょう。
次回は為替レートの変動要因について詳しく解説します。